2015 9月

うんけーじゅーしー

 

「石垣島のじゅーしーはね、ピパーチの葉っぱを入れるんだよ。夫のお母さんが作ってるのを食べて、『あ、これはいいね』と思ったの。本島では葉よりも実の方が知られてるみたいね。でも、葉も爽やか香りがして美味しいのよ」

 

 

「石垣島では、ピパーチは結構どこの家にも生えているよ。でも本島でも浦添とか首里ではよく見かけるさ。昔の名残なんだろうね。石垣の料理は首里から来ているものが多いのよ。本島では廃れてしまったものが、石垣に残ったという感じなんだろうね」

 

じゅーしー

 

「さて作ろうか。あらかじめ乾燥シイタケは、早めに水で戻しておいてね」

 

うんけーじゅーしー

 

「豚肉も先に出汁を取っててね。じゅーしーの具になる肉と、出汁取り用の骨と両方入れてね。私は、シャトルシェフ(保温調理器)で取ってるよ。これは楽できていいね(笑)。じゅーしーは下ごしらえさえ終わっていれば、あとは簡単だからいいよね。皆好きだし」

 

 

「それで、具を切っていくんだけど、じゅーしーのおいしさはね、それぞれの具材が自己主張しないで、調和しているところなのかなーと私は思うわけ。だから、具材は小さめに切るの」

 

 

「お肉は、出汁の鍋から取った三枚肉を使うよ。今日は煮込み時間長すぎちゃったね。柔らかすぎて切りにくいし、切り口が綺麗じゃないねえ。本当は、もう少し固くて形がしっかりあるのがいいけどね…。でも、この柔らかくなった肉に塩コショウかけて食べたら、最高に美味しいよねえ。何するよりも塩コショウが一番美味しい(笑)」

 

じゅーしー

 

「しいたけも同じく、主張しないように小さく切ってね。そういえば、最近はひじきも入れる人が多いけど、昔風っていうのかね、琉球料理本に載っているレシピにはひじきは使わない方が多いねえ」

 

うんけーじゅーしー

 

「次はかつお出汁を適当な量、取ります。かつお出汁を使わないじゅーしーも多いみたいだけど、私はいつも豚とかつおを合わせるねー」

 

じゅーしー

 

「豚の出汁をキッチンペーパーで濾して」

 

うんけーじゅーしー

 

「かつお出汁と半々で釜に入れちゃいます。出汁の分量は、普通にご飯を炊くときと同じで、今日は7号だから7の線まで」

 

 

「そして、切った具材も全部入れて」

 

 

「塩と醤油で適当な量で味付け」

 

 

「それで、混ぜたら、炊飯スイッチ押してオッケー」

 

じゅーしー

 

「ピパーチの葉を切るのは、炊ける直前がいいね。なんでかといったら、早めに切ってしまうと、せっかくの香りが飛んじゃうから。もったいないさーね」

 

 

「見た目にはわからないかもだけど、結構柔らかい葉っぱだから、生でも食べられるよ。で、他の具材と同じように、主張のない小ささがいいね」

 

 

「炊きあがったご飯に混ぜ込んだら、出来上がり。ピパーチの葉は、好きでないという人もいるから、少なめにしておいて、好きな人は自分で足したらいいさーね。うちの姪っ子は、大好きと言って、大量に入れるさ(笑)」

 

 

「いつも、なんでうんけーの日は、じゅーしーなんだろうと思うよねえ。調べてみたら昔の逸話とかがあるみたいね。私が自分で考えてみたらね、具同士が主張しないで調和する料理だからかな〜って思ったさ。盆は、ご先祖さんも生きてる人も仲良く集まりましょうってね。その気持の表れの料理。どう?あってそう?(笑)」

 

うんけーじゅーしー

 

2015 9月

 

4人のヨガ仲間でお送りする 夏の終わりに家族や友達、お一人さまでも 一日実りある時間を・・・

 

開催日:9・23(水) 6:00~15:00
場所:みんなノハコ 南城市佐敷津波古375-2 2F
tamaki@easthometown.jp

 

2015 9月

 

日本に最初にガベを紹介した心厚い紳士。小野善平さんのお話し会です。
Shoka: で小野さんの選んだガベにゆったり座ってお話が聞けます。

 

ガベってなあに?と好奇心が湧いてきた方も、前回見て心奪われた方もぜひご参加くださいませ。
小野さんセレクトは、今回で最後だそうです。

 

 

*小野善平さんお話し会 「 僕のガベ 」
9月25日(金)17:00 開場 17:30 開始
参加ご希望の方は、「参加者人数・参加者氏名・車の台数とナンバー」を明記のうえ、event@shoka-wind.com までメールにてお申し込みください。
当日は、駐車場が混み合うことが予想されますのでなるべくお誘い合せのうえ乗り合いのご協力をお願いいたします。

 

<お話し会詳細>
日付   9月25日(金)
時間   17:30 ~ 19:00 (会場 17:00) 
場所   Shoka:  沖縄市比屋根6-13-6
TEL   098-932-0791
H P   http://shoka-wind.com

 

○お申し込み方法
1.参加者名(全員のお名前を書いてください)
2.連絡先(ご住所・携帯電話番号・メールアドレス・車の台数とナンバー)
3.メールのタイトルに「ガベ展お話し会参加希望」と必ず書いてください。 申し込み先 Shoka:スタッフ 金城&佐野 event@shoka-wind.com までメールにてお申し込みくださいませ。

 

以下の点にご注意ください
◯定員に達し次第締め切らせていただきます。けれどあきらめずにお申し込み下さいね。どうにか尽力いたします。
◯必ずメールにてお申し込みください。
◯Shoka:の展示期間中はお子様連れも大歓迎ですが、お話に集中していただきたいことから大人のみの参加とさせていただきます。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
◯駐車スペースが限られていますため、車でいらっしゃる方はできるだけ乗り合せのご協力をお願いします。

 

2015 9月

 

楽ロビクッキングのお知らせです☆
楽ロビとは・・・マクロビオテックを楽してクッキングしよう♪
マクロビオテックとは・・・穀物や野菜、海藻などを中心とする日本の伝統食をベースとした食事を摂ることにより、自然と調和をとりながら、健康な暮らしを実現する考え方です☆
食品添加物や動物性の食材を使わず、自然栽培のデトックス出来る野菜、有機野菜、無添加の調味料を使って美味しい料理を一緒に食べませんか?(^^)
通常の料理教室とは違い、料理に関する豆知識を楽しくお話しします♪
気になるメニューですが・・・

 

ベジ中華☆
☆大豆ミートのマーボー丼
☆きのこのスーランタンスープ
☆棒棒鶏(バンバンジー)

 

会費
大人 3000縁(アルファルファさんのパンのお土産付)
※お子様連れの際は、ご連絡下さいm(__)m
※材料の準備がありますので、ご都合が悪く参加出来ない際は、2日前までにご連絡下さい。
また、万が一キャンセルされる場合は、前日キャンセルの際は恐れ入りますがキャンセル料1000円が発生致しますので、ご了承下さいm(__)m

 

開催日:9月30日(水曜日)
11時半~14時
場所:ベーカリーカフェ アルファルファ
北谷町北谷2-8-11(カメラのキタムラ北谷店裏)
http://yuiremiyagi.ti-da.net/

 

Facebook https://www.facebook.com/events/1655715611316093/
Blog http://harikyukouyouan36.ti-da.net/

 

 

2015 9月

 

来週からはじまるシルバーウィーク、9/22火曜祝日に那覇市久茂地cheekでの開催が決まりました。
cheekは9月よりリニューアル営業がスタートしますー!
そこでリニューアルパーティーとして秋panoramaの開催
いつもはDay partyとしての15:00スタートですが、今回は那覇ど真ん中ということもあり、普段のpanoramaよりもぐっと遅く25:00までやっちゃいます

 

cheek × panorama
2015.9.22.Tuesday
Open 15:00〜25:00
¥1,000 with 1 drink

 

at cheek
https://www.facebook.com/cheek69?fref=ts

 

panorama
https://www.facebook.com/panorama.party?fref=ts

 

☆先着30名様にはコンパイルCDをプレゼント☆

 

2015 9月

 

Yukiniqueは 着心地の良いガーゼを使いOtona服やバッグ・小物などを作っているブランドです。

 

私たちは日々生まれ変わっている。
誰もがunique な存在。
世界にひとりだけのあなたに世界にひとつだけの服を。
ファブリックデザイナー yuki の作りだす 独創的で unique な服たちをあなたに届けたくて生まれました。

 

そんな 服たちに会いに来てください。

 

開催日:2015年10月6日(火) -10月10日(土)
午前11時~18時
場所:布あそびcaféてくてく
那覇市首里石嶺町2-92プラザ石嶺Ⅱ101
070-5698-2187
http://tekutekumama.jugem.jp/
P店舗前3台・横2台

 

布あそびcafeてくてく  http://tekutekumama.jugem.jp/
Yukinique  http://www.yukinique.com/

 

 

2015 9月

 

カワのせせらぎの元に生まれた私たちその恩恵に授かり出来た集落。
今、私たちの身のまわりに起きていることすべては、そのカワの行方とつながっている。
今ここに、そのカワを取り戻すことをこころみる。
この島に少なくなってしまった緑生い茂る木陰、せせらぎと涼風青い精霊たちを・・・

 

沖縄方言オーサン*青い・緑の・青二才、カワ*河川・井泉
フランス語オーサン*ウニ

 

この沖縄という小さな島の住民の多くは農民として小規模な農業と海の恵みで生きて来ました。
ですが今日、私たちは受け継いだ土地を手放し消費社会にのみ込まれ、消費中心の生活を創り出してしまった。
このような社会はまるで重いコンクリートを自ら背負い未来への道を突き進むようなものではないでしょうか。
埋め立てられた土地は息も出来なくなり動植物は排除され、自給自足の出来ない土地には雨も降らず、それは島の「砂漠化」を意味します。
オーサンプロジェクトの母体である「ギャラリーあかぎの杜」はこの地域の有志によって発足されました。
自然と共に生きる島の人々が自らの手で芸術作品を作り、販売することで文化の活動の場になってほしいという志から生まれた場所です。
オーサンプロジェクトはその場所を借り、現在の沖縄の現状を深く見つめ直し、同じ問題を抱える人々に何かしらの解決策を見いだすべく環境や生活習慣に深く関わる展覧会を開催し美術・芸術を通して、私たちの新たな方向性を創り出し、それらがこの土地の新たな土と光、美しい心の泉となるよう願っています。
オーサンプロジェクト
仲宗根牧子
(オキマキ)

 

期間:2015 年9 月11 日〜10 月31 日
木曜~ 日曜13h00 –18h00
他の曜日は予約要
場所:オーサンプロジェクト
〒904‐2143
沖縄県沖縄市知花6‐36‐44
ギャラリーあかぎの杜 内

 

2015 9月

 

まずは太陽礼拝のポーズを徹底的に解明。
その後、太陽礼拝のシークェンスを誰もが知っている曲に合わせて楽しみます。
体力・柔軟性に応じてイージーバージョンも織り交ぜながら、どなたでも音楽に合わせて太陽礼拝が楽しめます。
音楽に合わせることによって、その日・その時のご自分の呼吸の長さ・深さ・コンディションを感じることができ、
その時の『あなた』に気づくことができます。
また、太陽礼拝のシークェンスが音楽にぴったりと合った時に感じる「爽快感!」「感動!」
ヨガが 繋がること・感じること・気づくこと・・・であることを、改めて味わえるでしょう。
誰もが聴いたことのある、親しみやすい曲を使って行います。
音楽に合わせて太陽礼拝をすることが、あなたのセルフプラクティスになれば幸いです。
「涙そうそう」「イマジン」等で太陽礼拝を楽しみましょう。

 

日時:2015年9月21日(月) 14:00~16:00
場所:今帰仁村総合運動公園内クラブハウス
参加費:500円(施設利用料金を含む)
講師: an(奈良市在住 IYC講師)

 

参加希望の方は
NPO法人ナスク
0980-56-5955
池田まで

 

2015 9月

 

ラテンダンス レッスン
WSⅠ:
時間: 20:00-20:50 
コンテンツ: ダンスムーブメント、サルサOn2フットワークコンビネーション
対象:オールレベル、初心者~経験者まで
体験にいらっしゃる方には、様々なステップとの出会いを。
経験者の方には、ステップ+ポスチュアやボディ全体の動きを織り交ぜたスタイルを提案していきます。

 

 
WS II:
時間: 21:00-21:50 
コンテンツ: 振付クラス 「マリアルダ」の振り付けを行います。
On2ステップ&フットワーク、チャチャ、ターン、スピン、シンコペーションなど重心移動、ボディアイソレーションに加えて曲のイメージと創作内容が入ってくるものを踊る、というクラスです。
対象:経験者・アドバンス。パフォーマンスに興味がある方、参加してみたいという意欲をお持ちの方もぜひ。

 

料金は1クラス \1,000です。
分厚い靴下か、ジャズシューズやバレエシューズ、飲料水をお持ちくださいませ。動きやすいレギンスやTシャツ、ジャージがお勧めです。汗をかくと思いますので着替えもお忘れなく。
FacebookのMaliarda Latin Danceページに、地図、近隣の安く止められる駐車場情報を載せています。

 

開催日:2015年9月18日 金曜日 20:00~ 以降毎週金曜日
場所:那覇市平和通り奥、すみれ服装学院ビル4F

 

https://www.facebook.com/events/1493406637651389/

 

2015 9月

 

小学校1年生以上の女子限定!
・シュシュ
・へアゴム
・ブレスレッド
・ゆびわ
・ヘアピン
など、つくってみたいものを一緒に決めて、つくりま す!

 

ー制作の流れー
☆30分間の ウォーミングアップ☆
実はめっちゃ簡単!くるみボタンをつくってアクセサ リーにしよう!
☆60分は作りたいものをつくってみよう☆
ビーズや布やヒモを使ってできるアクセサリーを一緒 に考えてつくっていきます。

 

日時:9 月19日(土)14:30-16:00
参加費:2000円
定員:3名様
場所:沖縄ガールズスクエア

 

詳細、お申し込み方法はこちらまで
http://girls-okinawa.jimdo.com/2015/09/19/studiokuroberika-%E3%81%93%E3%81%A9%E3%82%82%E3%83%A2%E3%83%8E%E3%81%A5%E3%81%8F%E3%82%8A%E5%A1%BE-%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%B5%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%BF%E3%82%88%E3%81%86/

 

2015 9月

 

『さあ、何かあたらしいことはじめよう!』
全国的に、注目されているクラウドファンディング。
クラウドファンディングとは、インターネット上で不特定多数の人から資金(支援金)を調達できる新しい仕組みです。
●クラウドファンディングってなに?
●どんな仕組み・メリット・活用方法があるの?
●どんな手続きが必要なの?
など、まずは、クラウドファンディングの基礎的な情報やノウハウ、活用方法を知っていただきたく勉強会(基礎編)を開催します。

 

具体的なアイディアをお持ちの方はもちろん!これから”何か新しいことをはじめたい”皆さんのご参加をお待ちしております。

 

日時:2015年9月28日(月) 14:00-16:00
場所:『結の街スタートアップスクエア』(浦添市産業振興センター1F)
定員:6名
参加費:無料
詳しい詳細・お申し込みはこちらから→ http://urasoe-startup.com/event/seminar0928/

 

2015 9月

写真・文 田原あゆみ

 

田原あゆみエッセイ

 

怒涛のロンドンを後にして私はParisへ向かった。

 

ロンドンでの5日間は、今までの人生の中でも色濃く印象的で、数々の事件と再会と珍事が詰まっている。それを反芻しながら飛行機の中で私の胸は高鳴っていた。
ロンドンのことはまたいつか濃縮還元ジュースのように美味しく戻して・・・いや発酵させてお酒のような旨味が出た頃に記事にしようと思っている。

 

 

話を戻そう。そうそう、巻頭の写真の紳士のことへ。

 

私が運営しているギャラリーサロンShoka:で、9月25日(金)から10月4日(日)まで開催する「Gabbenの上のしあわせ展」は、岡山でギャラリー ONOを経営されている、小野善平さんがセレクトした中近東の遊牧民が手織りで織った絨毯の展示会だ。
Parisへ通って35年、いいものを探し歩いて人々へ紹介するというこの道一筋に活躍してきた敬愛する大先輩の小野さんがParisで一緒に蚤の市へ行ってくれるというのだ。

 

Parisの蚤の市、蚤の市!行ってみたいと思いながらも人生の前半をアジアとオーストラリアの大自然への冒険へ費やした私は、まだそこへ行ったことがなかった。しかもそこへ大先輩と一緒に行けるのだ。

 

旅をしていて思うこと、一人で彷徨うように旅するのもいいのだけれど、誰と行くかで旅の質がぐんと変わる。他力が加わると倍どころかそれ以上の景色と時間と出会いが待っているのだ。

 

 

「田原さん、どうぞ岡山へガベを選びにいらしてください。僕は9月1日から6日までParisですのでその前後にどうぞ」

 

小野さんから届いたメールの文末のこの文章に私は心が躍った。
ロンドンで手仕事をされている方のオファーがあって、私は8月29日から9月5日までParis経由でロンドンに行く予定があったのだ。スケジュールを調整したらParisで小野さんと会えるかも。
私はどうしてもロンドンの帰りに小野さんとパリで会いたいという思いで、夏休みで激混みのフライトをどうにか押さえた。

 

 

 

赤木智子さんの生活道具店に小野さんの選んだガベが出るということが出会うきっかけとなり、それから届くようになった小野さんからのハガキ。そこから伝わってくる氏の人間味に触れて、あっという間に私たちShoka:チームは小野さんのことが大好きになった。

 

その氏の魅力をどうやって伝えたらいいのだろうか。
初めて沖縄でお会いした時、スーツを着てアタッシュケースを持って颯爽と現れた小野さん。沖縄ではなかなか見ることのできないスタイルに、柔らかく誠実な物腰。けれどとても正直に自分の意見を持っていて、それを話す時にはスパッと鋭い目つきになる。
それなのに、次の瞬間「いやいや、しゃべりすぎました」と相好を崩してニカッと笑う。

 

その物腰もさることながら、彼の話にも引き込まれる。思い切って飛び込んだ自営業の世界、自分の足で歩いて培った経験談は興味深く面白く、私はすぐに小野さんに敬意を抱いた。

 

 

 

 

田原あゆみエッセイ

 

方向音痴の私は、飛行機の中でパリの交通網について調べ、2日間のParis visits という交通パスがあることがわかって一安心。これで何処へでもいけるぞ、と。
私は無事シャルルドゴール空港に降り立ち、多少しくじったりしながらどうにかモンパルナスのホテルへたどり着いた。

 

 

Parisで一番古い教会、サンジェルマン・デ・プレ。
6世紀までその歴史は辿れるのだそう。
こんなランドマークがあると、私のような方向音痴はとても助かる。
その教会を目印にして小野さんと待ち合わせた場所をまずはチェックして、セーヌ川のほとりを散歩。
まん丸お目々のカモメと、お尻ふりふりで遠慮のない鴨たち、そして世界中どこへ行ってもいらっしゃる鳩がたわむれるセーヌ川。
気持ちのいい夕方。

 

田原あゆみエッセイ

 

 

 

芸術家たちが愛したモンパルナスからサンジェルマンの街を歩きながら、石やレンガに積み重ねられた時間の流れを感じ、その歴史を言葉以外の空気で受け取りながら私は歩き回った。
新しいビルへとどんどん建て替えられてゆく日本では、なかなかこんな風に肌で歴史を感じることはできない。

 

 

田原あゆみエッセイ

 

全くと言っていいほどの前知識がないと、思考よりも感覚の方が冴えてくる。ただそのままの景色が美しくてどこを歩いても興味深い。

 

その後私は約束の場所を間違えたり、街をぐるぐるとさまよったりはしたものの無事小野さんと会い、美味しいお夕飯をご馳走になり翌日の蚤の市へ行く段取りを交わしたのでした。

 

 

 

田原あゆみエッセイ

 

 

美味しかった夕食。そのレストランはメニューがワンメニュー。座るとくるみとレタスのサラダ、フレンチフライをサイドメニューにしたマスタードソースのサーロインステーキが自動的に出てくる。

 

 

田原あゆみエッセイ

 

皿が空くと、ささっとおかわりをよそってくれる。
もちろん大人気で、どんどん行列は長くなる。

 

 

「今回僕はクートラスのお墓参りに来たんです」

 

小野さんは、1985年に亡くなったcarte画家のクートラス氏のフアンで、今回最後のParisと決めて、彼のお墓参りに来たのだという。今までゆかりの深かったサンジェルマンの様々なギャラリーを挨拶しながら周り、最後まで商業的な活動を拒み、清貧の鏡のように毎晩自分の暗闇に向かって小さなカードに絵を描き続け孤高のうちに亡くなった画家の墓前で手を合わせる。

 

この旅は小野さんにとって、とてもとても大切なものなのだ。

 

お墓参りをした時の写真を見せてもらった時に、ずっと暗くて曇り空だったその日、墓前にお花を捧げた途端に雲が割れて太陽のきらめく光が墓前に注がれたという。

 

「もう僕は感激して全身鳥肌が立ってしまいました」

 

私は、誠実で心のこもったそのエピソードを聞きながら小野さんのこの大事な時間にお邪魔してしまったことを、良かったのかしら?と少し後悔した。けれどそれ以上に、私の案内ができることを喜んでくれ、楽しそうに今までの仕事のことや旅のこと、思うことなどを色々と話してくれる先輩と、こうしてParisで会えたことを心から幸運だ!と感じ、喜びの気持ちの方が勝ってしまった。
有難いことだ・・・。

 

人生はやはり不思議だ。思い返すと、出会うべくして人と出会い、誰かに肩を押されるように次の扉が開く。いつのまにか自分の道は今立っているところがそのど真ん中。この後もずっと必要なことが起こり、必要な人と出会ってということを繰り返してゆくのだろう。

 

今はなぜこのような有難い機会が自分に起こったのかその意味や意義はわからないけれど、きっといつか、ああ、と腑に落ちる日が来るのだろう。
そんなことを噛み締めながらモンパルナスのホテルでその印象的な一日の帳を下ろした。

 

 

 

田原あゆみエッセイ

 

 

翌朝8:30にクリニャンクールへと出発。
まだ開店していないお店も多い静かな市場で、
「田原さん、ゲームをしませんか?時間制限は2時間。100ユーロで何が買えるか!2時間後にここで待ち合わせましょう」と小野さん。

 

私は初めての蚤の市でそんなベテランの小野さんとのゲームに燃えた。O型の牡羊座。単純なのである。

 

その2時間は無我夢中に店から店へと歩き回り、いいもの好きなものがないかと様々なものを見て回った。

 

蚤の市にはなんでもあった。古いまな板、銅鍋、椅子や額縁、リトグラフ、おもちゃ、アクセサリー、リネンの部屋着に、銀製品、ガラクタから古美術まで、誰かがいいと思ったものが所狭しと並べられている。

 

市場は時間とともに目覚めて行って、1時間後には人で溢れかえった。

 

私は道に迷いながらも、好きなものをいくつか見つけ、探す、収集するという自分の本能を満たした。

 

古い銀製のラトビアピン・形が個性的で美しい銀のフォークのセットがその時間の戦利品だった。

 

 

好きな佇まいの小さな店を発見した。その店に置いてあるものは品が良くて、私の好きな空気感が詰まっていた。
店主の好きなものだけを集めているのがわかる空間。

 

 

田原あゆみエッセイ
田原あゆみエッセイ

 

 

ショーウインドウに並べられた小さな人形と、古い日記。
店内には絵や、鳥かご、テーブル、布、服や生活道具などいろいろなものが並べられているが、どれも一つの基準に従って選ばれているので統一感がある。その基準が店主の好みなのは、雰囲気を感じるとわかる。

 

 

 

 

田原あゆみエッセイ

 

 

 

私はこの店で銀のスプーンのセットを見つけて購入。あまりに好みの店だったため、店主にお願いして写真を撮らせてもらった。
そして、その店主のかっこよさにうっとり。

 

 

 

田原あゆみエッセイ

 

 

 

色んな意味で目と魂の保養になる、そんな空間。・・・・見つけてよかった・・・
その一言に尽きる。

 

 

 

そして、あっという間に!本当にあっという間に、2時間のゲームの時間は終了。
私たちは戦利品を抱えて、イタリアンのお店でランチをとりながら見せ合いっこ。

 

 

田原あゆみエッセイ
田原あゆみエッセイ

 

 

 

買ってきたものを見せてくれる時の小野さんの嬉しそうなこと。
目がキラキラと光って、しかもとっても幸せそうにその戦利品のことを話す。
「オフセット印刷と違って、リトグラフの印刷で作られたポスターは味わい深いんだよ。全く違うんだよね、印象が。ほら、この二つを選んできたよ。ピカソとミロ。ええじゃろ~~。これをこの額縁に入れてねえ・・・ほらこのグラスの青い色、これが僕は好きでねえ・・・」と話は止まらない。

 

 

私が買ってきた銀のフォークを見て「おお!これはええもんじゃ」と小野さん。

 

私は嬉しくなって、さっき見つけた私好みのお店のことを話して写真を見せた。すると小野さんはランチを食べたら連れて行って欲しいという。
「ベテランの小野さんでも知らないお店があるのですね?」と私が言うと、
「私の仕事は蚤の市で扱っているものとは違うところで仕入れするんじゃよ。古美術品はなかなかここでは扱えないからね」と。

 

「蚤の市は遊びじゃあ」という小野さんの言葉を聞いて、私は気づいた。小野さんの仕事場は蚤の市だと勝手に思っていた私、そこで仕事をする小野さんの姿を取材できるといいなと思っていたのだけれど、それは違ったのだ。小野さんは私のために時間を作って蚤の市に付き合ってくれたのだ。
じ~ん・・・・

 

 

私はその感動を胸にしっかりと植えつけた。最後のParis。その貴重な数時間を私にくれたのだ。

 

 

 

田原あゆみエッセイ

 

 

絵を壁に飾る習慣のない私が惹かれたセピア色の古い絵は、1789年フランス革命の年のものだ。
焼け野原の様な空き地で、4人の人が木を切っている。きっと再建のためだろう。
砲弾で折れてしまったような木の枝に、血を流してでも自由を勝ち取るために戦おうと決意した市民のエネルギーを感じる。

 

絵の裏側には、夫人の洋服や横顔、市民の様子などの落書きが施されていて、それも見える様に額の裏にも窓がある。いい絵だ。
けれど、絵を買ったことのない私は躊躇していた。

 

その私を見て、

 

「田原さん買いやあ~!それはいい絵じゃあ~。わしゃあ、たくさんの人に背中を押されて、育ててもらって今がある。ほら好きなもんがあったら買いやあ~。買わんと分からんことがある」

 

そう言って何度も煽られ、とうとう私はその絵を買った。

 

 

 

 

 

この絵に象徴されている様に、どうやら今私にはレボリューションが起こっているらしい。

 

アジアの旅からヨーロッパへと私の好奇心は移ってきた。もう何度でも行きたい欲求にかられて困っている。心は困ってはいないのだけれど、欲求に従っていいものかどうかと思考や理性が困っているのだ。
人生後半分もないかもしれないここへきて、またこんなにも心が動くものに出会えたことが嬉しくて、そんなきっかけをくれたジェントルマンの小野さんがここへ案内してくれたこと、色んなことがただただありがたく不思議で、胸が暖かい。火を灯してもらったような気がしてならない。

 

 

人間が同じ時間に生きていて、誰かと出会ったり、時間を共有することの確率は奇跡的なものだという。そんな中で共有した時間とそこに詰まったエッセンス。それは種となって私の中に落ちた。一体どんな芽が出てどんな木に育つのだろう。

 

 

こんな木になって欲しいと願ったり、計画をするのはやめよう。種は育ったものになるのだから。ただ大事にして成長を見守りたい。

 

田原あゆみエッセイ

 

 

小野さんと別れて、一人で歩いたパリの街、エッフェル塔にも行ってみたけれど、観光地に私の喜びはなかった。なので私は歩きながら今回の時間と起こったことを反芻反芻。帰り道はもぐもぐと咀嚼して、味わいながら日本は南の島沖縄へと帰ってきたのだった。

 

 

To be continued. 旅は続く・・・・

 

 

 

そうそう、小野さんの選んだガベたちがShoka:へやってきます。小野さんのセレクトは今回で最後。
前回見逃した方も、いつか自分の好きなガベに出会いたいと願っている人も、ガベってなあに?と好奇心が湧いてきた人も是非、日本に最初にガベを紹介した心厚い紳士。ジェントルマン・小野さんのセレクトを見にいらしてください。

 

ガベについてはこちらをどうぞ!

 

 

 

 

 

 

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田原あゆみエッセイ

 

「Gabbenの上のしあわせ展」
2015年9月25日(金)~ 10月4日(日) 会期中無休

 

見ているだけでにっこりと顔がほころぶガベの、この明るい魅力はなんだろう?
イランの遊牧民が羊毛を草木で染めて、手で織られたガベはいろいろな意味で彼らの生活の基盤となっている。この上でお茶を飲み、憩い、夜はベッドにして寝るのだ。代々伝わってきた模様のほとんどが家族の健康やしあわせを願うシンボルとなっている。
生命の木は先祖から子孫へと、その繁栄としあわせが広がってゆくことを象徴している。花が咲き、実がなり、鳥たちがやってきて豊かな調べを歌う。そこには万国共通のしあわせの原風景がある。なので、ガベに触れると気持ちがほっこりとするのだろう。そしてその魅力は羊毛の素晴らしい特質にも支えられている。日が昇ると暑く、夜は気温がぐんと下がる砂漠地帯の羊毛は、暑い時には放熱し、寒い時には保温するという特性をもっているのだ。沖縄の暑さや湿気もなんのその。この上でゴロンと寝転がったり、撫でたり、お茶を飲んだり、座って映画を観たり。夜、私はこの上に布団を敷いて寝る。すやすやと羊を数える間もなく夢の中。 人のしあわせはほっこり心の温もりと、ゆるりくつろぐ場所にある。

 

今回もガベのセレクトは、日本にガベを最初に紹介した第一人者の小野善平氏にお任せしました。(25日在廊)
25日の17:30からお話し会を開催します。詳細はShoka:ホームページまでどうぞ。

 

 

場所:Shoka: 沖縄市比屋根6-13-6
日時:2015年9月25日(金)~ 10月4日(日)12:30 ~ 19:00 (会期中無休)
TEL:098-932-0791
H P:http://shoka-wind.com

 

 

 

 

 

 
田原あゆみエッセイ

 

暮らしを楽しむものとこと
Shoka:
http//www.shoka-wind.com

 

12:30~19:00
沖縄市比屋根6-13-6
098-932-0791

 

2015 9月

 

「薬膳や漢方、鍼灸など東洋ケアを日常に!」
特別・敷居が高いと思われる東洋医学。
実はちょっとした不調の時にこそ取り入れたいケアです。
今回は無料セミナーや、料理教室、相談、食材・生薬販売などオリエンタルライフプランの紹介です。

 

開催日:10月8日(木)10:00~16:00
場所:沖縄ガス ショールーム(那覇市西3-13-2)

 

http://asiabijin.ti-da.net