『 In The Wilds: Drawings by Nigel Peake 』何を美しいと感じるかは人それぞれ。丸太や廃材の絵がこんなに素敵だなんて!

in the wilds
 
NIGEL PEAKE・著 PRINCETON ARCHITECTUAL PLESS ¥1,904(参考価格)/OMAR BOOKS
 
― いつも見ているはずなのに ―
 
日に日に夜が長くなるのはうれしい。自然と本を手にする時間も増える。
夜更かしのお供に、今回は目に楽しいART BOOKをご紹介します。
 
最近「野生」という言葉に反応してしまう(ワイルドだぜぇ、が無意識に刷り込まれてたりして・・・)。この『IN THE WILDS』もまずはタイトルに惹かれて。
 
人気アーティストである彼のごく最近のドローイングをまとめた作品集。
本を開くと彼が田舎で滞在中に目にした風景(ランドスケープ)が広がっている。画家の目で切り取られた、点と線を多様に組み合わせた色とりどりの身近な自然(人工物も含めて)。
この地は家(建物)、山、地面、湖、といった要素から成り立っている、という言葉から
最初のページが始まる。
 
トラクターで均された畑の線。
積み上げられたがらくたの山。
網が破れ、壊れかけたたフェンス。
崩れた農家の建物と積み重なるレンガ
湖の水面のライン。
鳥の羽の集積。
 
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in the wilds
 
全てが画家の材料(モチーフ)になっているのが面白い。
物の見え方がきっと違うのだろう。
庭の隅の廃材や積まれた丸太、鳥の巣まで構造から機能を分解して見せてくれたり、
空から見下ろしたような耕している途中の畑のランドスケープの美しさにはっとさせられる。
 
ミクロとマクロの世界が自由自在に展開されていて、とにかく飽きない。
見ているうちに少しずつその場所の風景が立ち上がってきて、それが面白くて
何度もページを捲った。また水彩の色がカラフルなのに自然を描いているからか目に優しい。
描いている本人が自然と戯れているようで、その楽しさが伝わってくる。
 
in the wilds

in the wilds
 
何を美しいと思うかは人それぞれ。
足元に落ちている松ぼっくり(この本でも出てきます)を上、下、横からよく見てみれば
その造形美に驚かされる。こんなにも形がきれいだなんて!
 
いつも見ているはずなのに見過ごしている何か。
それを改めて発見するきっかけを与えてくれるような一冊です。
 
(著者のブログも素敵です→http://nigel-peake.blogspot.jp
 

OMAR BOOKS 川端明美




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