» 『 非常時のことば 』日々の中の、すぐ側にあるあなたの「ことば」で。とっておきの文章読本。


高橋源一郎・著  朝日新聞出版 ¥1,600(税別)/OMAR BOOKS   

 

                       
早くも3月ももうすぐ終わり。送別会、そしてこれから迎える新生活と人前で話す機会が増える季節。そういう場にふさわしい「ことば」は、ふつうに話すのとは違う、どちらかというと「書きことば」に近いのではないかと思う。

 

去っていく人にどうやって気持ちを伝えようか、または自身が去る側であればお世話になった人へどう感謝の意を表すか、また新天地でどんな抱負を語ろうか。

 

そんなことをあれこれ考えている人へ、今回は私たちが何気なく使っている言葉をちょっと見直してみよう、とこちらの本『非常時のことば』をご紹介します。

 

作家であり、また大学で文章の書き方を教え、それに関連した著書も出されている高橋源一郎さんによる、紙上での文章教室。前作の『ぼくらの文章教室』の続編にもあたる特別編。

 

著者が何度も言うのは、人の言葉を借りてきて話したり、書くのではなく拙くてもいいから自分がよく知っている、使い慣れている言葉でまず始めてみよう、ということ。実際、非常時の中ではそういう言葉しか力を持たない、ということを著者が心を打たれた「良い」と思われる文章を詩人や作家のことばを引用しながら語っていく。その解説はとても優しく読みやすいので、読者はさながら教室にいるようで、文章初心者でも問題なく読み進めることができる良書。参考書よりも断然お勧めしたい。

 

ことばは武器にもなれば、誰かを励ましもし、自身を助けるお守りにもなる。使い方次第で何にでもなる。それは決して難しい言葉だけが成せるのではなく、日々の中にある、あなたのすぐ側にある「ことば」で十分ですよ、と著者は伝えようとしているのだろう。

 

文章教室は書くことを教えているようで、「書く」をそっくり「話す」ことにも置き換えて読むことも可能。まずはどうぞ一読を。普段当たり前のように使っている「ことば」が少し変わるかもしれません。学生から社会人にもおすすめの一冊です。

OMAR BOOKS 川端明美




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