『暮らしのヒント集』日々の暮らしを豊かにする469個のアイディアカチコチの気持ちと表情をほぐす精神安定剤的一冊

 
暮しの手帖編集部/著  暮しの手帖社  1260円/OMAR BOOKS 
 
― あたりまえのことを、あたりまえに ―
 
日々の生活に追われてコチコチになった心と体。
誰でもたまにはメンテナンスが必要。
その方法は人それぞれだけれど、
まずは気分だけでも変えてみませんか?
そんな時におすすめしたいのがこの『暮らしのヒント集』。
 
雑誌『暮しの手帖』に連載されている記事をまとめたもので、
469もの暮らしにまつわる工夫とアイデアが詰まっている。
見開きページにつき一つの短いエッセイが寄せられている
(現編集長、松浦弥太郎さんの
シンプルで温かな言葉たちがまたいいのです)。
 
この本を教えてくれたのはお店のお客さま。
彼女はこの本をいつもバッグの中に入れていて
ちょっと落ち着きたいな、というときに開くという、
まるで精神安定剤のよう。
 
確かに読んでいるうちに、荒だった心から
波がすーっと引いていくような気がするから不思議。
ページをめくるごとに気持ちがほぐれていくのが分かる。
 
この本の魅力は「さりげなさ」。
収められた文章も、この本の佇まいも、
鉛筆でささっと描いたような線画の挿絵も、
どこか読む人をほっとさせる。
全然それが押しつけがましくない。
それでいて読む人を自然と元気づけてくれる。
 
人に例えていうなら
友達でも黙ったまま隣にいてくれるだけで有り難いってときがあるけれど、
そう、まさにそんな存在。
 
本の中のヒントを紹介すると、
 
「166.テーブルにコップを置くときは、静かに置くことを心がけましょう。やさしいしぐさが気持ちをやわらげます。」
 
「185.やさしくすればすくすく育つし、冷たくして傷つければ枯れてしまいます。人も草花と同じように、それほど強いものではありません。」
 
といったものが淡々と続く。
 
あたりまえのことを、あたりまえに。
それが出来て初めて、
美しい暮らしにつながる。
 
心に余裕がないときは、
忙しさに紛れておろそかにしてしまいがちな
暮らしのあれこれについて思いをめぐらすこと。
ちょっとした工夫やアイデアで
毎日はこんなにも豊かになる!
  
一日の終わりに読むのにもいいし、
例えば、ぱっと開いたページに書かれているヒントの言葉通りにその日を過ごしてみるのもいいかもしれない。
憂鬱な気分のときに読めば
ほんの少し明るい気持ちになる。
いろんな効用がありそうな一冊。
 
この本を読み終わったあと、
ちょっと鏡で自分の顔を見てみてほしい。
それまで強張っていたのが、
柔らかい、優しい表情のあなたがきっとそこにいるはず。
 



OMAR BOOKS 川端明美




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