『 おいしいヒミツ 』長尾智子、有元葉子、高山なおみ…そうそうたる食のプロにとっての「おいしい」とは?

おいしいヒミツ
高橋みどり・著 メディアファクトリー ¥1,524 (税別)/OMAR BOOKS
 
― 食べること、おいしいとは? ―
  
正直に言ってしまえば食べることに対して無頓着な方だ。
だから食べることに情熱を注いでいる人を目にするとまぶしく見えるときがある。
きっと同じものを食べたとしても、その味わい方には雲泥の差があるんだろうなあとうらやましかったりして。
でも今回紹介する本を読むと「食べること」についてこういう気持ちは見当違いだったかも、と思うようになった。
 
食べることが大好きなフリースタイリストの著者が5人の料理家に「おいしいとは?」「食べるとは?」という疑問を投げかけた本書。
ただのレシピ本ではない、食べることが好きな人のための本だ。
 
写真とレシピとエッセイという構成から成るこの本に登場するのは
有元葉子・高山なおみ・たなかれいこ・長尾智子・米沢亜衣
という料理好きには知られた方たちばかり。
料理家というとそれはつまり食べることのプロ。
その彼女たちの「食べる・おいしい」はどんなものだろう?
そんなシンプルな問いかけに興味が沸いた。
 
五人に共通してあるのは「楽しむ」という気持ち。
食べること、おいしく味わうことに対する愛情が本全体を通して伝わってくる。
またそれぞれの質問への答えや、著者による彼女たちについてのエッセイからも、
その人柄が作られる料理に反映されているところが伺えて面白い。
 
合わせて紹介される料理はこんなにシンプルでいいの?と驚くようなものが意外と多かった。
茹でたパスタにオリーブオイルとチーズをかけただけのスパゲッティ、
同じくオリーブオイルをかけわさびをのせて塩をふっただけの豆腐、
コーンミールのホットビスケット、
青菜のオイル煮、
のりとレタスのサラダはぜひとも真似したい。
 
本の中では「素材重視でなるべく手を入れない」というような言葉を繰り返し目にする。
普段「食」対して真摯に向き合っている人が同じことを言っているのだからそれはそうなのだろう。
なるべくそのままで簡単に。
これだったら私も、とどれも作ってみようと思わせてくれる気負わないお料理が並んでいて実際に役立つこと間違いない。
 
それに加えて彼女たちの作品が生まれる、聖域と言っていい場所・キッチンの様子が垣間見れるので、紹介された料理と同じように比べてみるのも楽しい。
 
食べることが好きな人、そうじゃない人も楽しめる、そんな一冊。
 
その人なりに何でも純粋に楽しんで食べればおいしく頂けるのだな、
と好物のシナモンロールを食べながらそんな結論に達しました。

OMAR BOOKS 川端明美




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