『 お世話され上手 』安心の度合いを高めてくれる。上手にお世話されるには?

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釈 徹宗 ・著  ミシマ社  ¥1,600(税別)/OMAR BOOKS           

 

幸運にも周りには世話好き、世話上手な人が多い。おかげでこれまでずいぶんと助けられてきた。が、果たしてこの本のタイトル通り「お世話され上手」と言えるかどうかはなはだ疑問が残る。
誰にも世話にならずに生きることは不可能だ。
では上手にお世話されるには?

 

宗教学者で、浄土真宗本願寺派のお寺の住職を務める著者の最新刊、『お世話され上手』を今回はご紹介します。本の帯にあるのは「老い、認知症も、こわくない!迷惑かけ合いながら生きましょ。」。本職の
傍ら、寺子屋活動の場を設けたり、築60年余りの木造民家を改修してできたグループホーム「むつみ庵」の運営をも行なう中で、「世話をする/される」ということについて仏教的観点を交えながら様々な角度から考察していく。

 

本書の中では、複数のコミュニティに首を突っ込んで暮らしていく「コミュニティの重所属」、という考え方が今後より必要となってくるのでは、とあり確かにすでにそれを実践している感度のいい人たちがすぐさま思い浮かぶ。言わばセーフティネットがいくつもある、ということだろうか。つまりそれは「安心」の度合いを高めてくれる、ということなのだろう。また文中に出てくる「暮らし抜く」という言葉がとてもいいなと思う。ただ暮らす、のではなく「暮らし抜く」。
それは人と関わり合うことでしか実践できない。

 

誰もがいつか老いを迎える中で、世話をする場合もあれば、世話をされる場合もあるだろう。どちらかだけ、というのはありえない。
ならば、今から「お世話され上手」になっておくに超した事はない。
これからの時代を生きていくためのヒントが満載。お世話する方もお世話される方にもおすすめしたい一冊です。

 

OMAR BOOKS 川端明美

 


OMAR BOOKS(オマーブックス)
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