『坂の下の湖』お金が無くてもバカンスに行くギリシャ人のように

石田衣良 著



作家 石田衣良さんがフリーペーパー「R25」で連載しているエッセイ
「空は、今日も、青いか?」
の単行本化3冊目となる本書。
R25の若者に優しく語りかけます。


内容は、わたしたちの毎日をとりまく政治や社会の出来事についての意見、
雑誌、自転車、スピーカーなど日常のモノに対する想い、
成長が終わった成熟社会日本でのこれからの幸せな生き方など、
消費・恋愛・結婚すべての欲望が薄いといわれている草食男子へのメッセージ。


この本を読んでいると、まるで大好きな彼と一緒に、
彼が尊敬している大先輩から話を聞いているような気になります。


『自分の幸せや気分を、この国や時代のあり方から切断すること。
不景気だから不機嫌になる理由もないし、
不景気だから恋愛をしない理由もないのだ。』


『いつかあんなふうになりたい。あんな生き方をしてみたい。
ほんの一滴のあこがれが生きる喜びになり経済を活性化させるんだ。』


そして、生涯独身男性の平均寿命が既婚者よりも8歳以上も短いという調査結果や
結婚生活のメリットを次々とあげて
『要するにたのしく長生きしたいなら、なにかひとつだけメリットがある相手と結婚してみたら。』


独身のわたしが彼と一緒に聞いていたら、その日に逆ポロポーズしちゃいそう!


ここで、石田さんは成長期の日本を”坂の上の雲”を目指していたとたとえ、
現在の成熟しきった日本が目指す姿を”坂の下の湖”と表現します。


『日本の下り坂は、国の財布が空っぽでもバカンスを楽しみ自分の生活をエンジョイしているギリシャ化で、案外悪くない。
それぞれの好きな湖に向かって、優しい長く快適な下り坂を歩こう。』


日々の生活のギリシャ化、大賛成!
収入が・・・と嘆く前に、その気になれば近所でだってバカンスできる!


長く生きてきた先輩からのメッセージは、わたしの毎日をつくる一瞬一瞬の選択に
影響をあたえてくれそうです。


まずは、 毎日使うお茶碗をずっと憧れていた作家さんのものにかえよう。
とじこもりがちな寒いお休みの日のバカンス計画すすめよう。
そして次の選挙は真剣に投票してみようかな。


大人の男性とじっくり話す機会のないわたしたち女子は、たまには男性が書いたエッセイを読むのもいいかも。
その意見に共感したり反感を覚えたりしながら頭を磨こう。
毎日をもっと快適で楽しくするために!

Written by Rico