『 仕事のお守り 』信頼に値することばたち、お守りとしての本

仕事のお守り
ミシマ社編 ¥1300(税)/OMAR BOOKS

 

GWが明けて、また仕事だなあと鬱々とした気分になっている人へぜひご紹介したいのがミシマ社さんの新刊、『仕事のお守り』。

 

白地に金文字で箔押しされ、本物のお守りのような装いをしたコンパクトな佇まい。
働く人のためのお守りとしての本、とは面白いことを考えるなあと表紙を捲ると、巻かれた帯の内側にくすっと笑える仕掛けも。

 

その軽やかな印象とは異なり、中身はしっかりと重みのある言葉がたくさん詰まっている。
目次を見ると一章ごとに、「パワーをもらう―勇気と元気」「不安一掃―厄除け」「仕事をする体力―身体安全」「本番で力が発揮する―集中と脱力」「伝える、受けとる―メディア力」「ひとにやさしく―包容力と温かさ」他等、項目が立てられ、ミシマ社が関わってきた著者の方々の言葉や、古今東西の名著から数々の金言が収められている。

 

この本が手元に届いたその日、夜眠る前に読み始めたらこれがまずかった。
含蓄ある言葉に刺激されて眠気が飛んでしまい眠れなくなってしまった。

 

まず最初のインパクトのある言葉。

 

「社会のためになんか役立たんでよろしゅうございます」

 

今年で83歳になられる在野の思想家・渡辺京二さんという方の言葉。

 

よく、役に立つ人になりなさい、あるいは仕事をしなさい、と言われるけれど、こうきっぱり言い切られると、ちょっと考えてしまう。それってどういうこと?
でもこの渡辺さんの歩んできた道を辿ると納得。

 

渡辺さんはまたこうも言う。「無理に自分を作り変えようとしない」

 

いわゆる自己啓発的な本で似たようなことが書かれているけれど、前者と他著の間には明白な違いがあるのもこの本を読むとよく分かる。

 

言葉は不思議で同じことを言うときでも、誰の口から発せられたかで全然違うものになってしまう。
自らの経験から出てきた言葉には嘘がないから信用できる。
信頼に値することば。
どうせ本を読むならそういう言葉にふれていたい。

 

働く人が何かに行き詰ったときに、その傍らにそっとあるといいような金言たちが集められた本。
内田樹、山田ズーニー、平川克美、山口ミルコ、上阪徹、木村俊介など仕事の達人たちやビジネス書の腕利き書店員の方々、総勢16名による「行きづまったときに効く」エッセイも収録。

 

 
読み終わると、心が楽しいと感じるままに仕事をやっていていいんだ、という安心感に満たされると同時に、また楽しく働こうと明るい気持ちが湧いてきた。

 

新緑の季節に新しい風を吹き込むような本著。
おすすめです!

 

OMAR BOOKS 川端明美

 


OMAR BOOKS(オマーブックス)
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