『 クリスマス 』スウェーデンでは女の子が家々にコーヒーとケーキを届け、北欧諸国では「ユル」と呼ばれるクリスマス。そもそもどういう日?最後の言葉に思わず微笑む。

バーバラ・クーニー 著    長崎出版 ¥1,575/OMAR BOOKS
 
― もとを正せば ―
 
クリスマスシーズンということで今回もまたこの季節に合う絵本をご紹介。
 
タイトルはその名も「クリスマス」。
著者は以前にも紹介したバーバラ・クーニー
 
小さな子どもにクリスマスってなに?と聞かれることがあるとしたら、
その質問にきちんと答えてくれそうな本。
  
この本を手にしようと思ったのは落ち着いた色合いの、
少女がキャンドルに火を灯そうとしている表紙に惹かれてのこと。
中のページも赤・緑・黒・白以外のよけいな色は使われずシックな趣き。
  
また特に内容をおすすめしたい。
「クリスマス」という今や世界中でたくさんの人が祝う特別な日。
街はツリーやクリスマスソング、リースやケーキ、プレゼントにあふれる。
でもそもそもクリスマスって何だろう?
というところに読む人を立ち還らせてくれる。
 
この本を読むとクリスマスの起源をシンプルに伝え、 
またそこから世界中へ形を変えていくクリスマスの変遷が面白く、分かりやすい。
 
サンタクロースがもともとは北欧神話のオーディンという神からきていることも知らなかったし、
その北欧ではクリスマスのことを「ユル」ということもこの本で初めて知った。
 
中でも好きなエピソードの一つがスウェーデンの慣習。
クリスマスシーズンの最初の日、
朝まだ暗いうちに女の子が家々を訪ねてコーヒーとケーキを届けるというもの。
その女の子は白いドレスに赤い帯をつけ、
ろうそくを灯した冠をかぶることになっている。
きっとそれは静寂に包まれた神聖なクリスマスの始まりなのだろう。
  
でもジングルベルが至るところで流れる
日本の普通のクリスマスだって悪くない。
ケンタッキーのクリスマスバーレルとケーキを買って
大切な人たちと美味しいものを食べ、
贈り物を交換し合い、暖かな時間を過ごすのもまた幸せなこと。
そんな中ほんの少し、遠い国で同じようにクリスマスを祝う人々に想いをはせてみる。
  
著者のバーバラは最後をこう締めくくる。
「もとを正せば、クリスマスははるか遠くの町の馬小屋で生まれた幼い男の子の話。」。


OMAR BOOKS 川端明美




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