アースデイやんばる “みんな地球のこどもたち” 主役は来場者。地球のために何ができるか、自分はどうありたいかを五感で感じる、体験型イベント

アースデイやんばる

 

びっしりと文字の詰まった”アースデイやんばるMap”。A4の用紙裏表に渡って書き込まれていたそれは、ギリギリまで調整していたのだろう、イベント当日の朝、来場者に配られた。表面は、会場見取図と出店者の紹介、裏面は、メインステージ、サブステージ、ミニステージに、地球シネマ館の上映スケジュールなど、プログラムがぎっしり。

 

そう、アースデイやんばるは、これほど盛りだくさんなイベントだということ。

 

実行委員長を務める浦崎公子さんは、「ワークショプやトークライブ、映画上映等を通して、地球のために何ができるかをみんなで考える、体験型のイベント」という。主役は、出演者や出店者ではない。あくまでも体験をする来場者だ。

 

 

 

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おきなわBEE HAPPYを主宰する、養蜂家の三浦大樹さん

 

蜜蝋ランタン作りのワークショップを開催、はちみつや蜜蝋を使った製品を販売していた、おきなわBEE HAPPY

 

体験の筆頭であるワークショップは、自然のものを素材にした、環境にも優しい”ものづくり”が目立つ。

 

”蜜蝋のランタン制作”は、ミツバチが生成する蜜蝋を固めてランタンを作るワークショップ。その中に同じく蜜蝋で作られたロウソクを入れて、火を灯す。昔ながらの自然の材料で作る優しい灯りを手にして、子供たちは嬉しそう。初めての体験に最初はこわごわ挑戦していた子供たちだったが、出来上がった自分のランタンに火を灯すと、ロウソクの火のように柔らかい笑顔を浮かべていた。

 

 

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ゴザに座り、膝をつき合わせて月桃を編む。おしゃべりも弾む、Flower artist Soukaのワークショップ

 

月桃を使ってブローチを作るワークショップでは、月桃のいい香りが辺りに漂い、それだけで癒される。身近な植物である月桃、その茎の部分を裂いて束ねて縄にして…。幾つかの工程を経てブローチにしていく。出来上がった作品を、満足げに身につける参加者たち。その顔には、自分の手で作り上げた喜びに満ち溢れていた。

 

遊びながら楽しく体験するワークショップがあるかと思えば、メインステージでは、これからの未来に大事になっていくテーマついて、トークセッションが行われた。

 

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持続可能な社会についてのトークセッション

 

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究極のオーガニックコスメについてトークする、amritara主宰の勝田小百合さん。このイベントでの収益を熊本地震の被災地に寄付するといち早く表明した

 

「持続可能な社会」を目指し、クラウドファンディングや自然農、ギフト経済というちょっと難しいテーマについて、楽しくてわかりやすいトークセッションが繰り広げられた。パネラーは、経済学者や自然農のハルサー、自然農を応援するためクラウドファンディング立ち上げたオーガナイザーなどで、それぞれが異なる立場からのトークは多いに盛り上がった。

 

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子供の教育について、現場の生の声が聞けたトークセッション

 

また、「子供を通して大人が学ぶ」というテーマのトークセッションでは、ホームスクーリングを行っている子育て真っ最中のお母さんや、保育園の園長さんの実感のこもったお話が聞けたり。やんばるで活躍する人の話を聞ける貴重な機会とあって、特に親子連れの来場者は、真剣な面持ちで耳を傾けていた。

 

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公子さんが主宰するホリスティックビューティセンター、Sanctuary Voidは、この日は”地球シネマ館”に早変わり。持続可能な地球、または自分はどうありたいかについて、ヒントを授けてくれる3本の映画が上映された。「みつばちの大地」という映画上映後には、やんばる産蜂蜜を使ったディップとやんばる野菜の試食会のお楽しみが。またそれぞれの映画上映後には、コーディネーターによるトークショーが開催された。

 


 

その他、魂のこもったチャンティングやスピリチュアルダンス、お腹の底から宇宙にまで響き渡るようなゴスペルや、沖縄で活躍する数々のミュージシャンによる音楽ライブ、自然素材の洋服のファッションショーがあったり。軽トラックで日本一周を成し遂げた“まいまい号”の展示があったり、物への思いも一緒に添えて物々交換するXchangeがあったり。「ホメオパシーや氣質学って、興味あるけど、一体なに?」という疑問に答えてくれる、初心者にもわかりやすいお話会があったり。公子さんが狙った、五感を揺さぶるような体験が目白押しだった。

 

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また、個性豊かな雑貨店も数多く軒を連ねた。地元で採れる農産物の販売や、植物を加工したやんばるならではの食品店なども。こだわりの食材を使って丁寧な調理が評判の飲食店の出店も多数あって、どの店のランチにしようか頭を抱えた。

 

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完全無農薬、化学肥料不使用の野菜を育て販売している、そるべじ

 

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オーガニックファームドミンゴからは、コリアンダーの実のオリーブオイル漬けなど

 

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自然素材の木の実や漂流物を使用したアクセサリーなどを販売するのは、読谷のティーチ・ワン

 

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海の生き物達の、1つ1つ異なる表情に思わず見入ってしまう、aolani

 

まもなく今帰仁にてアトリエショップをオープンする、キャンドルショップcotan

 

見る、聞く、触れる、味わう…様々な体験を通して、来場者が何かを感じ取る。気づきを与えてくれるイベントが、”アースデイやんばる”なのだ。

 

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ノニを使ったおしゃれな商品が豊富。ビューティフルライフオキナワ

 

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小さなお弁当箱に10種類以上のおかずがぎゅっと詰まった、きっと屋kitchenのお弁当

 

優しい味の雑穀DELI Suna。雑穀を使ったグラタンやおむすびを

 

母なる地球のために、今何ができるか。感じるために設けたテーマは、5つ。「持続可能な社会に向けて」「食と農」「ていねいな暮らし」「循環型の社会」「子供・子育て・教育」だ。テーマ毎のブースが、会場となった250メートル続く名護大通りを埋め尽くした。公子さんは、5つのテーマが、それぞれ自分を大切にすることに繋がると考えている。

 

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大宜味村いぎみぬから届いた、カラギ(シナモン)を使ったジャムと、職人手作りの懐かしい風情の飴

 

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シーカヤックツァーも行っている古民家cafeほいれーやは、無添加で手作りのキャベツのキムチを販売

 

「例えば、『持続可能な社会に向けて』というテーマだけど、持続可能な農業は循環していくでしょ。私達も自然の一部として循環しているんですよね。でも、自分は地球の循環のサイクルの中にいるって気づけていない人が多いと思うんですよ。気づけていないと、結局自分らしく生きるというか、自分のスピリチュアリティを認めていくこともできなくなってしまうんですよね。それに、持続可能な自然エネルギーが広まったら、私たちはこれから色んなものが自分たちで作り出せると思うんですよ。これまでの価値観が変わっていくし、そうすると自分は何をやりたいかっていう基本に戻るしかないですよね」

 

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お馴染み、ベジタコライス弁当を販売するのは、那覇の有名店、浮島ガーデン

 

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乳製品を使わないのに、なぜこんなにクリーミー? ビーガンチーズが絶品のplus HOLIC

 

色の鮮やかさが目を引くマフィンと、香草をふんだんに使った香り高いお弁当は、ニュー夜明け

 

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どのイベントでも、すぐに売切れてしまう自然いぬ。のスイーツは、見つけたら即ゲット!

 

何をやりたいのか、自分の意思で決められる喜びを感じて欲しいとも。

 

「自分はどうしたいか、自分を大切にするっていうのが基本で、そこから何を選択していくか、自分の意思で決めて、自分の中に光を見るっていうのかな。そのことを皆さんにお伝えしたいなっていうのがあって。自分を大切に出来ていない人って、得体のしれない罪悪感があって自分を大事にできなかったり、幸せになるのを拒んだりするんだけど。自分を本当に大切にして、自分を本当に丁寧に扱うことができたら、外側にも同じようにできるはずなんだよね。だから、自分を大切にすることが基本」

 

自分を大切にすることが、ひいては地球を大切にするという逆もしかり。自分を大切にするとは、公子さん曰く「人のせいにしない生き方をする」ということ。

 

 

「17歳の時に輪廻転生の本を読んで、この世には自分で決めて生まれてきている、この人生は自分でクリエイトしているんだって知ったんです。すごい衝撃で。それまで親のせい、環境のせいって思ってきてたから、自分じゃどうすることもできない、なんで自分だけこんなに苦労するんだろうって残念感があったんです。でも自分で決めて生まれてきてるんだったら、自分でどうにでも人生をクリエイトできるんだって気づいて。それから人のせいにして生きるのはやめようって決めたんです」

 

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お弁当の出店が多い中、温かいカレーが嬉しかった、nicenessのネパール風カレープレート

 

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「今まで食べたチュロスの中で、一番美味しい」との声が続々。チュロス屋チリンの鈴

 

 

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タピオカ粉をフライパンに撒いてしばらくすると繋がって1枚の皮に!の不思議。ブラジル人店主が作る、リマタピオカサンド

 

店主自ら、喜如嘉で栽培、精製、焙煎したコーヒーを、ハンドドリップで淹れてくれる。コーヒーの実や花の展示も。KIZAHA COFFEE

 

17歳の時からそう思ってきた公子さんだったが、結婚して家族を持ち、さらにその思いを強くした経験がある。

 

「今から15年くらい前かな、『ニンジンから宇宙へ』という本を読んで、社会の裏側や、人間によるコントロールとか、食べ物の危険性とかを知って、それを排除するために、マクロビとかビーガンとかやり過ぎてしまった時があったんですね。子供がよそから飴をもらってきたらキーっとなったり、『これはダメ、あれもダメ』って色々否定して、排除して。そうしてる自分は正しいと思い込んで。そしたら家族から『こんなお家に帰ってきたくない』ってボイコットされて、すごいショック受けて、目が覚めた(笑)。自分がよかれと思っていることに対して、そうじゃないものを否定する。社会のせいにしたり、戦争のせいにしたり、どうのこうのって言ってる時点でダメだなって。自分は正しいってことを認識した時点で、窮屈になって、自分の中にこだわりというか、枠を作ってしまうし、自分ではどうすることもできないってことも同時に抱え込んでしまうんですね。そうすると自分の中にパワーもなくなっちゃう。結局は、自分はどうしたいか、どうありたいか、ここだけを大切にしようと思ったんですよ。ここに焦点をあてれば、何も否定しなくてよくなるでしょ」

 

園児が作ったショートブレッドや石鹸などを、園児の絵のパッケージに包んで。自然保育のそらいろえんの児童と園長の山本真紀さん

 

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音楽家、三宅洋平さんが旅をして気に入った自然食品などを集めた、三宅商店

 

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Aun-to jabonは、自然素材の手作り石鹸等を販売

 

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みつろうクリームやオリジナルアクセサリー、
旅して出会った布などを販売する、ふわふわてい

 

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編みや細工の美しさに思わず見入る、マクラメアクセサリー、Freaky Hands

 

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BIOワインで作る自家製サングリアは、パンとともに大人気。パン屋水円

 

自分に軸を置くということ。自分の中に自分を取り戻す、自分らしく生きる、あるがままで。公子さんが根本に抱く、伝えたい思いだ。

 

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アースデイやんばる実行委員の4人。左から、ていないな暮らし隊長・新垣友美さん、ワクワク隊長・益田みどりさん、地球自然農隊長・益田航さん、代表の浦崎公子さん。「この4人でなければ、無事にこのイベントを成し遂げることはできなかった」と公子さん

 

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仮装していない普段の公子さん(笑)

 

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公子さんのご主人の均さんも、ハマり過ぎてる仮装を披露

 

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浦崎夫妻によるヘアショーは、幻想的で五感を揺さぶられる演出

 

辺りが暗くなり、ついに迎えたエンディングでは、ちょっとしたセレモニーが待ち受けていた。公子さんのアナウンスに促され、見知らぬ隣の人と手をつなぐ。みんなが手をつなぎ、名護の街を見守る2つのがじゅまるを取り囲んで、1つの大きな輪になった。

 

「みんなひとつ、潜在意識ではみんなつながっています」と公子さんの声。

 

目をつむり、今日のこの日を振り返りながら、しばらく瞑想をする。手のぬくもりや感動が、静かに心に染み入ってきた。みんな一緒で、みんなは私、地球は私なんだ。この場所でこの時間を共有したみんなのエネルギーが、心の隙間を埋めていく。そこはかとない安心感とともに、「人のせいにしない」勇気がふつふつと沸いてくる。最後まで、得難い体験の連続だった。

 

写真・文/和氣えり(編集部)

 

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アースデイやんばる
http://earthday-yanbaru.com

 

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