OMAR BOOKS本で人生は生きやすくなる あなたにぴったりの1冊を処方します




洋書、絵本、ペーパーバック、新刊書に古本・・・
ジャンルや発刊日にとらわれない、様々な種類の本が並ぶ。


県立高校で7年間司書をしていた川端さんが
「急に思い立って」始めた、本のセレクトショップだ。



コーヒーを飲みながら本を読むスペースも


司書をしていた頃、個人的に勧めたいと感じる本と学校で必要とされる本が違い、ジレンマを抱えていた。
やりたいことはある、自分のスタイルも確立している、でもそれを実現できない。


「なんだか物足りなくなってしまって。じゃあ自分で店を開こう、と。」


長く手元に置いておきたい、質のいい、消費されない本というのが川端さんのセレクトの基準。
「司書をしていた時も、何千冊という本の中で埋もれてしまっている良い本を抜き出して展示会を開いていました。読み手は意外と新しいかどうかにはこだわっていなくて、やはり内容重視。生徒の反応も上々でした。」
学校でも、そのセンスを活かしてセレクトショップをしていたのだ。






学校の図書館は教職員ももちろん利用する。
「先生方はお忙しいので本を読んだり選んだりする時間が限られています。
『本は読みたいけどあまりに沢山あるので選びきれない』『お薦め、ない?』と言われることが多くて。
本って選ぶのが楽しいのに、そんなおいしいところを私がもらっちゃって良いのかしら?とびっくり。でも、そういう方の一助になれたら良いなと思ったのがきっかけ」


本を薦める時には、その人の興味のある分野、精神状態、今までに読んで来た本の系統など、様々な角度から探っていく。


「最終的にはカウンセリングみたいな感じになります。」


その人が求める本、必要としている本を探り、処方する。
川端さんはいわば本の薬剤師だ。



店の奥にはベビーベッドも。「子どもさんを置いてゆっくり本を手に取って頂ける場になれば、と」


「本の好みは木の枝葉のようなもの。キーとなる主幹の本があって、それにまつわる作家、内容、時代など、どんどん繋がって行って、一本の木のようになるんです。」
もちろん、川端さんにも好みのジャンルがある。
「でも、他の『木』にも精通していないと本をお薦めすることができません。
本は、人の人生を変えるというような大それたものだとは思いませんが、人生の方向性に影響を与えることはあるので、やりがいを感じますが責任も。もっと勉強しないといけません。」
ビジネス本ならノウハウを、絵本なら子どもの心理や精神を。
求められる分野と、勉強しなければならないことは多岐にわたる。
「勉強に終わりはないと思っています。」



ぜんそく持ちで学校を休みがちだった。「病院の帰りに親がいつも本を買ってくれて。それが本好きになったきかっけかも。」


「もともと物語が好きなんです。物語って即効性はないけれど、何かしら残るもの。ある時ふっと思い出したり、心が弱った時に支えになったり。
読まない人もいるけれど、物語を読むことで人生って生き易くなると思うんです。読んでいる時はつらい現実を忘れられたり、昔に戻れたり。そういう支えはとても大事だと思います。」
「さらに、本は想像力を養ってくれます。想像の範囲は本の世界に限らず、現実世界でも。例えば『友達にこういうことを言ったらこう思われる』といった相手の気持ちや反応を想像する能力にも繋がります。想像力は一朝一夕に養われるものではないので、是非子どもの時から本に親しんで欲しいですね。」



本の選び方をうかがうと親身に相談にのってくれる。本の持つ力を知っているからだ


本は、ある意味では音楽や匂いに似ていると私は思う。
目にし、耳にし、かぐことで、
それにまつわる、特に自分の思い入れの強い時代や瞬間に一瞬でタイムスリップできる。
当時目にした色や物、抱いた気持ちや感情を、まるで今それを目にしたり感じているかのような、なんとも不思議な感覚に陥る。
そしてその「不思議な感覚」は、人生のさまざまな場面で、私たちを優しく癒し、小さな声で励まし、そっと支えもしてくれる。


本は、そのアプローチの仕方こそ柔らかいが、人生の深層部分にまで直結してくるもので、
読書によって人生の色合いや方向性はいかようにも変化しうるのではないか。


川端さんは、本の持つ可能性をもっともっと探ろうとしているようだ。


先日、OMAR BOOKSで宮沢賢治の短編の朗読会が行われた。
賢治にちなんでお店に沢山のプランツを配し、森のような空間をつくりあげ、
音楽に携わる知り合いが作ってくれた20曲ものオリジナル曲を、ギターやアイリッシュフィドルが生演奏。
その中での朗読。
当日は70名ものお客さんで店内は大盛況。
「みな口を開けて聴き入ってらして。世界に入り込んでくださっているようですごく嬉しかったです。」


店名の「OMAR(オマー)」はピーター・キャメロン著の「最終目的地」の登場人物の名だ。
「最終目的地って、そこがゴールなわけではなく、本人が次に行こうと思えばスタート地点にもなるんだよ、と教えられた気がして。OMAR BOOKSがお客様にもそう感じてもらえる場になったら嬉しいですね。」


川端さんにとっても、OMAR BOOKSのオープンが最終目的地ではないのだろう。
穏やかに微笑む瞳は、もっと先を見ているようだった。

写真・文 中井 雅代

 

OMAR BOOKS(オマーブックス)
北中城村島袋309 1F
098-933-2585
open:14:00~20:00
close:月
駐車場有り
blog:http://omar.exblog.jp/
 
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