音楽の持つ力が伝わるアルバム。

沖縄もやっと肌寒くなってきましたね、
秋になると柔らかく暖かな音楽が聴きたくなりませんか?
そんな今の季節にぴったりなアルバムをご紹介。


『 akiko/across the universe 』
日本のジャズ界で人気実力ともトップのakiko。
2001年、日本人女性シンガーとしては初のジャズの名門レーベル「ヴァーヴ」からデビュー。
これまでにリリースしたアルバムには、
ビリー・ホリデイ(ジャズ・ヴォーカリストとして最も有名なアーティストの一人)のカヴァーやロック〜ニューウェイブ、ボサノヴァのカヴァーなど、
常に独自の観点からジャズを提案している。
そんな彼女が今回取り上げたのはビートルズ。





なぜに今ビートルズ?と思わなくもないのですが、
そこには彼女なりの理由がありました。
今作を作るにあたって、人とのつながりや縁をとても強く感じたというakiko。
それは震災後、周りで支援活動をしている人達を見ていて何も出来ない自分に虚無感すら感じていた時、
たまたまライブで歌うことになったのが「アクロス・ザ・ユニバース 」。
この曲を歌うことで、「音楽の力」「生きる活力」を感じる事ができ、
自分の中にあった「歌うことで何が出来るか?」という疑問が解消され
音楽が持つエネルギーを伝えたいと感じるようになったのだそう。


ここまで読むとなんだかとてもメッセージ性の強いちょっと小難しいアルバムなの!?と思う人もいるかも知れませんが、もちろんそんな事はなく、そこはビートルズのカヴァーですからバラエティーにとんだ曲達が並んでいます。


アルバムタイトルにもなっている「アクロス・ザ・ユニバース 」は、
ジョン・レノンがインド哲学や日本の俳句に影響を受けて書いたと言われていて、
サビの「Jai Guru Deva Om」の部分がマントラで歌われていたり、
なんだか全体的に精神世界(私の勝手な解釈ですが)を歌っているようにもとれる歌詞が印象的な曲。


他にも、愛があればそれでいい、愛こそすべてと繰り返し歌われる
「オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ」
といったメッセージ性の強い曲もあれば、
今風なエレクトロポップにアレンジされた
「レディ・マドンナ」や
「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」
のような底抜けに明るい曲があったりと、
メッセージだけじゃなく遊び心も入ったアルバムに仕上がっています。


「人とのつながりや縁をとても強く感じ」作り始めたという本作、
いつにも増してakikoのヴォーカルが優しく包み込みそして語りかけるように聴こえるのは、
「アクロス・ザ・ユニバース 」を聴いて彼女自身が感じた
「音楽の力」「生きる活力」
を、沢山の人に伝え感じてほしいという想いが詰まっているからでしょうか。
彼女が感じた、音楽のエネルギーをぜひ皆さんも感じてみて下さい。
 
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akiko/across the universeと合わせて聴くならコチラ↓

通称「赤盤」「青盤」と呼ばれている、ビートルズのベスト盤。
タイトル通り、赤盤が初期の楽曲を青盤には後期楽曲を収録。
年代別に分かれているだけに、彼らの音楽の移り変わりも分かる、
ビートルズを知るうえで持っていたいアルバムです。
 
ザ・ビートルズ 1962年~1966年(赤盤)

ザ・ビートルズ 1967年~1970年(青盤)


桑江成美