藤代冥砂 写真集『あおあお』

 

2011年に沖縄に移住し、以後5年の歳月をかけて撮影してきた風景を一冊にまとめた藤代冥砂さんの写真集が、今夏発売されます。

 

沖縄には政治的、歴史的な問題が常にあり、内外の写真家達はそれを一つの大きなテーマとして製作してきた歴史がありますが、今回、藤代さんの眼が純粋に反応し、移住後の島の暮らしの中で写してきたのは、そのようなものではありませんでした。

 

それは、波が砕ける瞬間であったり、海亀が身を水に反射させながら横切る瞬間であったり、人の気づきと関係なく、島に無防備にある、無量の輝きとでもいうべきものでした。またそれは、私たちの無量の輝きとも対になる、そこかしこに散在する輝きであったとも言えるかもしれません。

 

移り、暮らし、生き始めた者の腰位置というのは、きっと思っている以上に不安定で揺れていて、その分、散在する揺らぎのような輝きに同調し、写真を撮り重ねていったのかもしれないと、藤代さんは言います。

 

輝きは、日常のそこかしこにあって、それは決して稀有なことではない。

 

そう思えるほどに、沖縄という島で、暮らし、輝きの量を撮ったというこの光と色の風景写真集は、遠くから眺めるだけでなく、見る人とも連なるような、エネルギーの流動に満ちあふれています

 

発行日;2016年7月7日
出版:赤々舎
仕様:B5変型、104ページ、ソフトカバー
アートディレクション:塚原敬史
価格:本体2,600円+税

 

http://www.akaaka.com/publishing/books/bk-fujishiro-aoao.html