» ORRS(オールズ)/「シンプルが一番カッコいい」 海とカントリーの新しいミックススタイル

orrs1

 

たとえばシャツひとつ。素っ気ないくらいにシンプル。あると言っていいのは胸のポケットくらい。リラックス感に溢れているけれどラフすぎず、このまま高級リゾートホテルにだって行けそうなほどに上品。このシャツは、ベーシックなアイテムを多く取り扱うセレクトショップショップORRS(オールズ)のオリジナル。東京のアパレル業界に長くいた佐藤陽介さんと妻の和歌子さんがディレクションして作ったものだ。

 

「ずっとアパレルでやってきて、たくさんの物とか人を見 てきたんですけど、やっぱり、シンプルなのが個人的には一番カッコ イイと思う。人が着る。人で着る。服に着られるんでなくて」

 

そう言われると、服が似合う体型にならなくちゃ!と思ってしまう。だが、佐藤さんは違うという。

 

「服って、同じものを着てても、人がでるというか、体がでますよね。だからって、体つくってくのかっていうとそうでもない。ぽっちゃりしてる人でも、自分の体型を分かっていて、すごいかっこいい人はいますよね。色々な土地で色々な体型方と会うんですがとってもかっこいいなと思う方がいるんですよね。自分の体を分かって着ているのがかっこいいですよね。無理に細く見せようとして似合ってない人もいるし」

 

orrs 長袖シャツとカットソー

 

きっと、着る人の個性を生かすのがシンプルな服。ただ、シンプルを極めるということは、デザイン偏重になりそうだとも思う。けれど、佐藤さんは機能性も重視して服を作っている。夏物シャツでいうと、長い袖丈に、全体的にゆったりなシルエット。これらにはちゃんと理由がある。

 

「沖縄だと、夏は長袖着る方が涼しくないですか?陽が直接当たらない方がいいでしょ。身幅も袖幅も大きいと、着やすいし動きやすいし、風が通って涼しい。これは、沖縄に暮らすようになってから作ったシャツです」

 

orrs-3105

 

着てみなければ気づかないような、細かなところまで気を配っての服作り。沖縄という地方での制作とあって、パターン引きや縫製も自身で行うのかと思いきや、そこは専門の人に任せるという。

 

「服飾の専門学校に通っていたので、最低限のことは一通りできるんです。でも自分でやるよりも、何十年も専門にやっている人にお願いした方が絶対にきれい。縫製工場も金額が高くてもレベルの高いところに頼みます。その方が上品に見えるから。その違いって、分からない人も多いのかもしれないけれど、すごい細かいんですよ。パターンについても同じです」

 

orrs

 

佐藤さんの服への関心が強くなったのは、中学生の頃。アメリカに留学していたお姉さんからリーバイスの501をお土産にもらい、とても嬉しかったという。その頃から現在に至るまで、流行には流されず好みは変わらないというから驚く。

 

「ネイティブ系が昔から好きでしたね。サンタフェとかナバホとかのカントリーな感じが好きなのはそこから来てるのかな。海も昔から好きですね。リラックスする感じでサーフィンもたまにやってます。頻繁にしてたわけではないんですけど。店の雰囲気もそこから勝手に考えたんです。カントリーな町が海沿いにきたみたいな。ミックスしてつくってます。海っぽくもないし、山の中にある感じでもない。そういうのが好きです」

 

中学生の頃に芽生えた服への関心はしぼむことなく、専門学校入学時に東京へ。そして、Ralph Lauren(ラルフローレン)とドメスティックブランドのPhigvel Makers Co.(フィグベル)に合わせて12年勤めた。勤め先を辞め沖縄に来たのは、自身の店を持ちたくてのこと。

 

「妻が沖縄の人で、僕が沖縄に行こうって言ったんです。住んでてこんないいところないじゃないですか。それに沖縄だと好きなことが出来ると思うんです」

 

orrs  器1
orrs-器

 

佐藤さんの言う好きなこととは、自身の店とブランドを持つことで、全て叶えたのかと思いきや、なんと5年前から陶芸まで始めている。店に並ぶブルーと白の器類、実は全て佐藤さんが焼いているものだ。形は無駄なくすっきりしていて、ヴィンテージにも見えるそのかすれた風合いと、琉球藍を使って入れた濃淡のあるブルーがその魅力だ。初めは、服同様に年配の陶芸家にイメージとデザインを伝え作ってもらっていたそう。だが、その方が病気のために制作を離れることになる。その際に佐藤さんへ陶芸を教えてくれたのだという。だが、ずっとアパレル一本で来た佐藤さんが陶芸をと聞くと意外な気もする。

 

「服でも器でも、いつも欲しいもののイメージが頭にあるんです。アメリカで出会ったダイナミックでどしっとした陶器、頭の中でこの陶器でこのデザインなら買ってたなとか、あの生地の柄を入れたいとか常に考えてしまうんです。思い通りのが無かったから妥協して買うんじゃなくて、じゃあ作るかとなったんです。それはシャツも同じで、開襟シャツってありすぎるくらいあるけど、自分の欲しいものってなるとない。欲しいものが無いので作っちゃうんです」

 

オールズ宿

 

何についてもイメージが頭にあるのは、空間でも同じこと。だから、店舗のデザインももちろん自身で手がけた。そして、店の隣で営んでいる一部屋の宿も佐藤さんの好みを表現して自身で作りあげたもの。無骨さを感じるベッドや照明が白い壁に映えるインテリアデザインで、店舗と同じく海とカントリーを感じる空間になっている。

 

佐藤さんが生み出したものを振り返ってみると、シャツに限らず器も空間も全てがシンプル。それと、海とネイティブのいかにもなモチーフを使わずに、しっかり海とカントリーを表現している。これは、佐藤さんが創った新しいミックススタイルと言ってよさそうだ。この新しさは、「シンプルが一番」「昔から好みが変わらない」という佐藤さんのぶれない価値観から生まれているに違いない。

 

 

orrs-31332
ORRS(オールズ)
住所:沖縄県中頭郡北谷町宮城1−142
定休日:火曜日
営業時間:13:00〜19:00
電話:098-988-5180
HP:www.orrs.okinawa
instagram:@orrs_okinawa