Cafe Beans

 

大袈裟に聞こえるのを承知で告白するが、初めてCafe Beansでランチを食べた時、私は雷に打たれたような衝撃を受けた。

 

美味しいことは言わずもがな。でも、美味しいだけじゃない。それは、こんなのどかな畑に囲まれた場所で女性ばかりで切り盛りするカフェで出て来るとは到底想像できないとても複雑に、様々な味わいが絶妙に絡み合い、これ以上でもこれ以下でもないというドンピシャのバランスでスパ〜ン!っと味が決まっている。

 

 

呆然としてしばらく口をきくのも忘れてしまうくらい美味しい料理を出すこのカフェを切り盛りしているのは、実の三姉妹だ。いつ来ても、それはそれは楽しそうにころころと三人で笑っている。

 

三姉妹がカフェを開こうと決意し、行動を始めたのは約12年前。その第一歩はなんと、畑を作ることだった。

 

これらは全て食べられる花、「エディブル・フラワー」

 

カフェを出すならまず食材から!と、カフェを開いた時に使いたい野菜やハーブ、花を植えた。

 

「今でこそ畑をやる若い女性も増えてきたみたいですが、当時はすごく珍しかった。だから、色々なイベントにもよく声をかけてもらって出てましたね。」 

 

毎年4月の第1日曜日に南城市「浜辺の茶屋」周辺で開催される宮本亜門氏主催のイベント『海楽』にも、第一回から参加している。

 

「そのときはカフェじゃなく、『Beans農園』として出店していたんですが、カフェを開くことが具体的になり始めたあたりからは、まだ開店もしてないのにカフェを名乗ってました(笑)お店はどこにあるの?って訊かれると、『まだないんですけど〜』って(笑)」

 

 

畑を耕したり、収穫した野菜を農産物直売店に出荷したりしながら時が過ぎ、ある日、

 

「もうそろそろいっか!カフェ、始めちゃおうか!」

 

その時すでに、畑を始めてから8年もの月日が流れていた。

 

 

「姉妹で役割分担してます」長女はインテリアデザイン担当

 

カフェ開店の準備段階にかけたその8年間が決して無駄でなかった事は、Beansの料理を一口食べればわかる。自信を持って断言できるが、全ての料理が 

 

「ここでしか食べる事のできない、そして、今までに食べた事の無い美味しさ」 

 

なのだ。

 

三女は畑担当

 

「どれも手の混んだものじゃないんですよ、本当に。家で作ってみて美味しかったものを、店で出せるようにちょっとアレンジしてるくらいで・・・ねぇ?」

 

うんうんと頷く姉妹達。しかしそんな言葉、誰が信じる事ができよう。

 

次女は経理担当。父親が畑から穫ってきた青梗菜「今日の夕食に使います」

 

「レシピはそんな難しいものじゃありません。やっぱり、素材に助けられてるんですよ。」

 

その言葉にはっとした。そうだ、確かに、Beansの料理にはふんだんに野菜が使われている。どれも素朴な味わいでお互い邪魔しないものの、ひとつひとつがしっかり、実直に、その存在を主張している。例えば、人気メニュー「フーチバーのクリームパスタ」。

 

 

一口食べた瞬間、わっ!と香るフーチバーの香り。その後、畳み掛けるように口に広がる様々なスパイスの味わい。それは、ただ単純に様々な食材やスパイスが使われているから、という理由による「味の深み」ではない。一番の立役者はやはり、素材そのものの豊かな味わいなのだ。

 

 

Beansを訪れたら、ロールケーキを食べずに帰ることなど許されない。見た目こそ「可愛い〜☆」と黄色い歓声をあげたくなる可憐な外見だが、このロールケーキ、一筋縄では行かない。

 

まず、フォークをいれた時の触感に驚く。ふわっとしているがとても弾力がある。スポンジがスカスカでもギチギチでもない、「きゅっ」と適度に締まった感じなのだ。そして、生クリーム!黒糖ロールは黒糖の、レンズ豆ロールにはレンズ豆の味が勿論するのだが、味がする、というようなレベルではない、まさに「素材そのもの」を食べているような、とても濃厚な味わいなのだ。こんなロールケーキは絶対に、日本全国どこにも無い。

 

Beansのロールケーキを食べる時は、姿勢を正し、はっしとフォークを握り、「いざっ」とばかりに気合いを入れて挑むべし、である。

 

 

季節のスムージーも、旬の、穫れたての果物を使っている。グワバってこんなに甘かったっけ?今まで自分が飲んでいたグワバジュースは一体なんだったのか?

 

「満席でいっぱいいっぱい!っていう状態よりは、2〜3組のお客さんが食後もゆっくりゆんたくしていけるくらいが丁度良いですね」

 

「お店で寛いで欲しいもんね。」

 

「そうそう。たまにそんな感じで、満席じゃないけど客足が途切れない日ってあるよね。そんな日は『今日いい感じだった!やった〜!』って、嬉しくなるよね。」

 

高級レストランにひけをとらない料理を出すシェフたちは、あくまでマイペース。今も、店の裏にある畑を耕しながら、野菜を活かす美味しいレシピ考案に励んでいる。

 


Cafe Beans

沖縄県南城市玉城百名986-2
090-7585-8867
営業時間 火・木~日:11:00~17:30/水:14:00~17:30
定休日:月曜・第1第3日曜