anella kitchen(アネラキッチン) ソースが絶品。のんびり空間で味わう自分のための料理

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「アレルギーは何かお持ちですか? 苦手な食材はありますか?」

 

anella kitchen(アネラキッチン)での食事は、食の嗜好に答えることから始まる。それは、店主のりさこさんがアレルギー持ちであることから生まれた心配りだ。

 

一人ひとりの好みを聞いて合わせて作るから、メニューはあって無いようなもの。週ごとに変わるメニューは、初めての方を戸惑わせないための用意だ。季節の食材など制限はあれど自由に食べたいものを伝えていいのだ。

 

「完全にとはいかないんですが、出来る限り対応しています。ディナーはもう本当に自由な感じで。常連さんはメニューを見ないで、こんなの作ってとリクエストしてもらったり。初めての方や迷っている方には私から、こんなのも作れますよと提案したりもします。ランチタイムは、時間の制限もあるので、メニューをできるだけ三種類は決めるようにしています。それでもトマトソースが苦手で…という方にはクリームソースで対応したり、臨機応変に対応させていただいています」

 

こんな風に一人ひとりに合わせた料理にするため、下ごしらえは浅い段階で止めておく。そのため、どうしても調理に時間が掛かる。面白いのは、その長い待ち時間を、anella kitchenのお客さんが楽しんでいること。

 

「お皿を運んでくれたり、お水をサーブしてくれたり、お客様が手伝ってくれることは、珍しくないですね(笑)。それに急ぎのお客さんはいらっしゃらないですね…。1時間のランチ休憩でいらした方は、次回はお休みの日とか、夜とかを選んで来てくれます。この店は余裕があって来ないとダメな店なんだと皆さんわかって下さっています(笑)」

 

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こじんまりとした店内には、のんびりとした空気が流れ、ここが国道沿いであることを忘れてしまいそうになる。

 

トントンと規則正しい包丁の音。ジュージュー焼けるフライパンの音。そしてごちそうのにおいが漂いはじめ、思わず顔はにんまり。

 

「お母さん、まだー?」と、台所に立つお母さんのご飯ができるのを、まだかまだかと待っているような感覚になる。そう、anella kitchenはまるで実家に帰ってきたような、そんな親しみの湧く場所なのだ。

 

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その親しみやすさは、料理にも共通している。見た目は華やかで、いかにも“ごちそう“なのだが、食べてみると、どこか家庭料理のような落ち着く味がする。その秘密は、どこの家庭にもある調味料や食材にある。洋食に和の味を上手く取り入れているのだ。

 

「魚と醤油って、当たり前だけど相性がいいじゃないですか。なので、赤魚に合わせるクリームソースには焦がした醤油を入れてるんです。わさびを使う場合もあるんですよ。わさびとコンソメソースも合うんです。あと、うちのポタージュスープは、基本的にお米で作ってます。生米と数種類の野菜を煮込んで作るんですけど、とろっとするし甘みも出るんですよ」

 

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anella kitchenの料理の話をしていると、自然とソースの話が多くなる。生姜醤油のクリームソース、バルサミコソース、ガーリックソース、チーズクリームソース……。常連さんに「アネラはソースだよ!」と言わしめるほど、りさこさんのソースには評判だ。そのソースを生かして、りさこさんは次々と新しいメニューを生みだす。

 

ぷりぷりの身がつまった海老に、スパイスが効いたガーリックソースがたっぷり染みこんだ“海老のガーリックソース”。カリッと焼かれた殻ごと食べたくなるこのメニューも、りさこさんがいつも使っているソースを元にして生まれたメニューだ。

 

「友達から『ハワイのガーリックシュリンプが食べたい』と言われて。ちょうどそのとき海老とガーリックソースは合いそうだなあと思っていたので、うちのガーリックソースでよければ作るよと言って作りました。ますソースがあって、そこに友達やお客様からのリクエストが来て想像が膨らんで、という感じで生まれるメニューは多いですね」

 

こんな風にたくさんのレシピを作り出しているりさこさんだが、味を知らずに作ったものがいくつもあるという。ガーリックシュリンプもそのひとつ。食べたことがないものを作るって結構チャレンジャーだと思うが、りさこさんは完成した味をイメージして、どんな食材を使おうか、どんな味にしようかと楽しみながら作っていく。

 

「感覚だけで作るんです。素材ごとの味がわかるから、それが合わさったら多分こんな味なんだろうなって予想がつくんです。キッシュも同じ。食べたことはないけど、見て美味しそうだな、作ってみたいなと思って本を見て作ってみたら、『美味しい』と言ってもらえたり。本来はどんな味なのか、どんな料理なのか、分かってないんですけどね。笑」

 

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りさこさんの料理好きは、祖母と兄の影響を強く受けてのものだ。特に、“がちまやぁ”であるお兄さんは、とても料理が上手で、参考にしているレシピも多くある。

 

「東京に住む兄の家に泊まりに行ったときに、『朝ご飯できたよ』って起こされて、出てきたご飯は、白身魚の麹焼きと、鶏と銀杏の炊き込みご飯と味噌汁。炊き込みご飯とか、いつ作ったの?って思うくらい手が込んでるんです。美味しいものが好きで、作るのも好きな兄の部屋は、散らかっているんだけど、キッチンだけはピシっときれい。いつでもすぐに作れる状態なんです」

 

そんなお兄さんから小学校1年生の時に教わったのが、ご飯、味噌汁、玉子焼きの三品。それからずっと料理が好きで、いつか料理の道に進みたいと思ってきた。料理への思いを抱きながらも、家族が美容関係だったこともあり、美容師の道へ進んだ。

 

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転機が訪れたのは、仕事を始めて2年経った頃。

 

「職場のパーティで、私の料理を初めてたくさんの人に食べてもらって、『美味しい!!』と言ってもらえた時に、わあ〜って鳥肌がたって。やっぱり私は料理がやりたいんだと思って、翌日オーナーに辞めますと伝えました」

 

美容師を辞めたあとは、ダイニングバーやイタリアンレストランで働いた。中でもイタリアンレストランでは料理の基礎や経営者の姿勢など、たくさんの学びを得た。

 

「それからは、メイクの仕事やダイニングバー、他にもバイトをしていて、もう三足のわらじを履いていたんですね。いい加減一個に絞らないといけないと思っていて。そんな時にたまたま入ったレストランが美味しくて、こういう所で働きたいなと思ったんです。その時は厨房の募集がなくて、最初の一年はホールをやりました。やりながら、厨房のスタッフじゃないくせに厨房の手伝いしたり、それがもう楽しくて。オーナーに色々聞いたら、聞いた分、全部答えてくれるんですよ。レシピでもなんでも。自分の知識を出し惜しみしない人で、全部教えてくれて。夜、私はもう時間外だけど『次の日の前菜を仕込んだりさせて下さい』って頼んだりもしました。その時は必死だったから」

 

心から料理が好きな自分に真っ直ぐに、ひたむきに修業を積んだ。

 

りさこさんは一見すると、穏やかでゆったりした雰囲気だが、その心に秘めた料理への想いは熱い。
そんなりさこさんが心がけていることは、料理を作るときのテンションだ。料理を作るりさこさんを、先の常連のお客さんはこんな言葉で表した。

 

「彼女がテンションあがってる時って、それが料理に入ってるんですよ。きっと、お客さんの顔が見えるとアドレナリンがぐっと出る。その方のイメージで味が出るんじゃないんですかね。予約をするといいですよ。そうすると、どんな人だろう、どんな料理がいいかなってテンションがあがって更に美味しくなるから(笑)」

 

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こんなにも料理が好きで、美味しいものを作るためには努力を惜しまないりさこさんだが、意外にもデザートは仕入れたものを出している。

 

「豆ポレポレという店でコーヒー豆の仕入れをしているんですが、そこに置いてあるお菓子がすごく美味しくて。ラベンダーが入ったビスコッティを食べた時にその組み合わせが面白くて衝撃を受けたんです。それで、その美味しさや発想に惹かれて、りえさんという方にデザートをお願いしています。」

 

りんごとローズマリーのパウンドケーキには、ほんのりピンクのクリームが添えられている。これは、りさこさん特製のさくらんぼのホイップクリーム。どっしりと大満足な大きさのケーキなのだが、爽やかなローズマリーがふわっと鼻を抜け、後味が重くない。さくらんぼのホイップはこっくりとしていて、その爽やかさとよく合う。

 

デザートは仕入れしているとはいえ、りさこさんはサーブする直前に一手間を加えている。特製ソースやクリーム、果物の飾りを施すと、あっという間に目にも美味しいごちそうに。

 

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ごちそう=ハレの日のものというイメージがあるが、anella kitchenのごちそうは「日常的なごちそう」とでも言えばいいのだろうか。日常をより豊かに飾ってくれる料理は、私達のくらしのスパイスになる。外食にはもちろん美味しさを求めるけれど、日常を忘れてリラックスできたり、落ち着いて会話を楽しめたりできることが大事だ。それには店主のもつ雰囲気や店の空間すべてが重要で、それもまた店の味となるのだと思う。

 

私だけのために作られた料理。なんだか特別で、うきうきしてくる。今日はごちそうの日!と決めて、時間を気にせずのんびりごちそうを食べにいきたくなる店。それがanella kitchenだ。

 

文 杉村彩

 

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anella kitchen(アネラキッチン)
沖縄県沖縄市高原4丁目4−6
098-989-5722
Lunch 12:00~15:30 (Lo15:00)
Dinner 19:00~22:30(Lo21:00)
Close 毎週月曜 (その他不定休あり)
Blog http://anellakitchen.ti-da.net