食堂faidama(ファイダマ)「沖縄の野菜ってめっちゃおいしい」。 食いしん坊の夫婦でつくる、島野菜たっぷり定食

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「沖縄の野菜ってめっちゃおいしいから、もっと食べてもらいたいなって思って。野菜を豊富につかったメニューにしたかったんです」

 

島野菜への熱い想いの持ち主は、沖縄の食材をふんだんに使った定食がいただける食堂faidama(ファイダマ)の店主、高江洲毅(つよし)さん。その言葉どおり、faidamaのメニューは野菜づくしだ。パパイヤに紅芋、うんちぇー(空芯菜)といった家庭でもおなじみのものから、オオタニワタリやピィパーズといった本島では珍しいものまで様々。毅さんが島野菜にこだわる理由は、その味にある。

 

「同じじゃがいもでも味が全然違うんですよ。沖縄の野菜は、味が濃ゆいです。葉野菜でもハーブでもビタミンとかを調べると、沖縄産の方がだんぜん上なんですよ。沖縄の太陽とか、ミネラルたっぷりの土がいいんですよ。前に糸満の喜屋武の農家さんが、人参を畑から引っこ抜いたそのままをかじらせくれたんです。甘さにすごく衝撃を受けましたね。そのまま食べれるんだ!って。サラダでもあるけどさらすじゃないですか。これは、もっと島野菜を知ってもらわないとって思いましたね」

 

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食材は島のものにこだわるが、調理法は意外にもそうじゃない。沖縄でオクラといえば、オクラいりちゃーかおひたしが一般的。紅芋なら、蒸かすか天ぷらにするか。それが、faidamaでは、オクラと紅芋は合わせてなんとナムルに。そんな調子で、島かぼちゃは白ワインビネガーとローズマリーで爽やかなマリネに、ウンチェー(空芯菜)は、シャッキリとしたおひたしになる。そしてそのどれもに、初めて知る美味しさがある。島野菜を多彩に味わってほしいと話すのは、奥さんの美沙さんだ。

 

「地元の人に『何これっ!こんな風にも食べれるんだ』って、沖縄の食材の食べ方をもっとおもしろく知ってもらいたいんです。毅さんが日本料理屋にいたので、和風にすることが多いんですが、中華風にしたりエスニック風にしたり色々です。それと食材も全部沖縄!という風にはこだわらないで、プラスアルファで本土ものを入れたりします。いつも、県産ものといろんな地域の美味しいものとの出会いが私たちのテーマになっています」

 

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今のスタイルの料理をするようになったきっかけは、沖縄の人が沖縄の食材について意外と知らないと気づいたことだと美沙さんが続ける。

 

「東京で10年くらい沖縄料理店に勤めていたんです。そこの若いアルバイトの子で、沖縄の子なのに、なーべーらー(へちま)を知らない子がいたんです。それに私自身も、なーべーらーとか、ゴーヤーとか代表的なものしか知らなかったんですよね。沖縄から店に週に3回は食材が届くんですけども、ドラゴンフルーツのつぼみとか、みやこぜんまいとかは、店で見るまで知りませんでした。沖縄に帰ったら、おもしろく沖縄の食材を知ってもらえるような、新発見じゃないですけど、そんな新鮮さがあるお店ができたらいいなって思うようになったんです」

 

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店の主役ともいえる島野菜、仕入れるのは主に糸満で畑を耕す毅さんのお父様から。信頼できる人に作ってもらうのが一番安心だからと、美沙さんが寝ている畑を起こしてくれと頼み込んでのこと。

 

「沖縄に戻ってくる5年前くらいから、ちょっとずつお願いしてたんです。さとうきびを少し作ってたんですけど、それでも使ってない畑が広くあって。最初は乗り気じゃない様子だったんですけど、私が親戚のおばあに『一緒にくどいて』と頼んだりもして(笑)。そしたら作ってくれるようになって、それを東京まで送ってくれたんですけど、年々美味しくなってって(笑)。せっかくだから『父畑(ちちはる)』という名前もつけました」

 

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安心の島野菜を、おもしろい食べ方でたっぷりと。傍からみれば、オープン前の理想は実現したように見える。が、二人のイメージはもっと大きなもののようで、未知食材を探し出しては趣向を凝らし料理している。最近は、聞いたこともない赤マンボウに、これまた聞いたこともない琉球サンショウをのせてメニューを作った。どちらも、石垣島出身の美沙さんが島のつてで見つけた食材だ。

 

「八重山漁港にいとこがいて、電話でのやりとりで赤マンボウの存在を知ったんです。石垣ではお刺身とか揚げて食べることが多いのかな。試食で一度送ってもらったら白身でふわふわしてて二人とも気に入ったんです。琉球サンショウは、今回ピィパーズ農園で初めて出会えて、早速使ってみました。沖縄に琉球サンショウがあること自体、あまり知られてないですよね。実はすっごい辛くて、葉はさやわやかな香りがするんですよ」

 

店名のfaidamaとは八重山の言葉で食いしん坊という意味らしい。音の響きのかわいさで選んだと言うが、二人のことを表しているようにも思う。それは、マンボウと聞いて食べてみようと思うなんてよほどの食いしん坊に違いないから。“ふぁいだま”な二人のおかげで、隠れた沖縄の美味しさにこれからたくさん出会えそうだ。

 

文/伊波さおり

 

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食堂 faidama
食堂faidama(ファイダマ)
那覇市松尾2-12-14-1階
098-953-2616
open 11:00~19:00 (月・火お休み)
https://www.facebook.com/shokudou.faidama