自然食とおやつの店 mana 歯ごたえと味付けに一工夫。食べ飽きないビーガンプレート。選ぶ楽しみ、安心おやつ。

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噛むと音が聞こえるほどサックサクの、“人参葉とセロリのかき揚げ”。フワッフワですぐに口の中で溶けてしまいそうな、“おからのフワフワ揚げ”。ムチッと弾力と噛みごたえのある、“ソイミートの唐揚げ”。

 

サクサク、フワフワ、ムチッ。manaのベジプレートの中には、色んな歯ごたえが揃っている。店主の尾崎夏代さんと吉田万美さんは、嬉しそうに言う。

 

「かき揚げは、2枚乗せしたいって人がいるくらい大人気です。特にフーチバー(よもぎ)のかき揚げの日は、その声が多いですね(笑)。帰り際に、『どうやって作るの』、『どうしたらこんなにサクサクになるの』ってよく聞かれます。何も特別なことはしていないんですよ。衣は小麦粉と水だけです。緩めにするのがポイントかな。おからのフワフワ揚げは、おからだけではボソボソしちゃうので、つなぎに島豆腐を入れてます。豆腐の水分量によっては米粉をプラスしますね」

 

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バラエティに富んでいるのは、歯ごたえだけでない。万美さんは、「味付けにメリハリをつけています」と言う。

 

「ソイミートの唐揚げは、玄米ご飯に合うように、ショウガと醤油の味をしっかりと効かせてます。付け合せの野菜は、素材の甘さが引き立つよう、サッパリとした味付けにしていますね」

 

味のメリハリのための工夫は、注意深く味わわないと見逃してしまうようなものもある。かき揚げの衣にはほんのりスパイスが効いているし、キャベツの豆乳ポタージュはちょっと意外なものでコクを出す。

 

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夏代さんが、ポタージュの隠し味を明かしてくれる。

 

「このキャベツ、自然農法で育てられたキャベツなんですけど、すごく甘くて。キャベツとほんの少しの玉ねぎで、だしも入れてないんです。だしを入れてない分、ほんのちょっとだけ、ココナッツミルクを入れてるんです」

 

ビーガン料理なので、動物性のだしは使わない。ココナッツミルク以外にも、一手間かけた調味料や木の実を使って自然のコクをプラスする。

 

「ブロッコリーとひよこ豆のトマト煮には塩麹を入れてます。トマトに酸味があるので、塩で味付けするとどうしても塩味だけが強くなってしまうんです。それからこの3色人参の和えものは、くるみをたっぷり擦ったもので和えてます。くるみはペーストにするとマヨネーズみたいになるんですよね」

 

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どの料理も、手が込んでいて丁寧に作られている。優しい美味しさの秘密は、県産無農薬野菜の素材の良さや、工夫された味付けだけでない。仕込み時にいつもかける音楽にもある。

 

「朝お店に来たら、手を合わせて全てのことに感謝することから1日を始めるんです。仕込みの時には、インドの有名なマントラ、ガヤトリーマントラをかけるんですよ。『生きとし生けるものが全て幸せでありますように』というマントラです。この曲を聴くと、日常で忘れてしまいがちな大切なことを思い出させてくれるんですよね。心地よくて幸せな気分になれるんで、その気持ちが料理に入るよう、心を込めて仕込みをしています」

 

夏代さんも万美さんも、旅行で訪れたインドにすっかり魅了された。「なんかクセになる(笑)」と、インドが大好きなのだ。2人の大好きな気持ちが形になったメニューが、インドカレープレートと、ベジタコスチャパティロールだ。

 

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夏代さんが、料理の説明をしてくれる。

 

「カレーは、インドに行ったときにインド人から教わった、ダルカレー、豆のカレーです。インドの人が日常的に食べるカレーですね。今日はオーガニックのレンズ豆と緑豆が入ってます。その時にある豆で作るので、ひよこ豆の時もありますね。豆のゆで汁がちょこっと入ってますが、ほぼトマトと玉ねぎの水分だけで煮込むんです。あとはクミンとターメリックをしっかり効かせてますね。それからチャパティもインド人が普段食べている主食です。私達も好きで、家でもよく捏ねて焼くんですよ。店ではオーダーが入ってから、生地を捏ねて伸ばすところから始めるんです。インドではアタっていう粉を使うんですけど、ここでは手に入らないので、全粒粉と小麦粉をブレンドして、あとは塩だけ。ソイミートを使ったベジタコスを巻いているんですけど、ベジのタコライスは他の店でもメニューにあるので、私達らしくチャパティに巻いてお出しすることにしたんです」

 

本場仕込みのカレーは、野菜と豆の旨味がしっかり馴染んでいて、そこに爽やかなスパイスがよく効いている。辛くなくさっぱりとしていて、飽きのこないカレーだ。そしてチャパティロールも、タコスの具がずっしりと入っているのに、全然重くはない。たっぷり入った葉野菜と、レモンの効いたトマトのサルサソースが、サッパリ感を押し出している。シンプルなチャパティとの相性もバッチリだ。具のタコスが重くない分、チャパティが食べ応えを出してくれている。

 

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そもそも夏代さんが菜食料理に傾倒したのは、インドの影響が大きかった。

 

「インドは、長く滞在すると必然的にベジ料理を食べることが増えますね。ヒンドゥー教では基本的にお肉を食べないんで。元々料理が好きで仕事にもしていたんです。日本で野草料理に出会って、食べ物を見直したら、体調がよくなって。食の大切さを実感し始めていた頃に、インドへ行ったんです。インドで、『あなたは、あなたの食べたものそのものです』というブッタの教えを知って、まさしくそうだなって納得しました。食べ物が溢れてる日本と違って、インドは食材が貴重で、少ない食材でもすごく感謝して頂くんですよね。そんなこともあって、日本へ帰ったら、菜食料理とか、食についてもっと勉強をしたいなって思ってたんです。1年ぶりに沖縄に帰ってきて、まーみー(万美さん)と久しぶりに会おうってなったとき、まーみーが、『なっちゃん(夏代さん)の好きそうなお店見つけたよ』って。連れて行ってくれたのが、首里にあるNoahstyle(ノアスタイル)だったんです」

 

再会の場所に選んだノアスタイルは、沖縄でオーガニックやビーガンの先駆け的な店。そこでスタッフ募集の掲示を見た夏代さんは、その場で応募を決め、採用がすぐに決まった。

 

一方、万美さんも、食を見直すきっかけになったのは、やはり20代前半の頃に訪れたインドだった。

 

「インドで印象的だったのは、農薬の怖さですね。政府から安価で購入できる毒性の強い農薬を、字を読めない農民が、適正量をわからないまま使っていたりするんです。自分の口に入れるものは、自分でしっかり責任を持とうという意識が生まれましたね。帰国してから、食べるものはできるだけ自分の手で作ることを目標にして。元々お菓子が好きだったんで、添加物や動物性食材や白砂糖を使わない、自然おやつ作りにハマりました。それまではケーキ屋さんでケーキを買うことが多かったんですけど、どうしても吹き出物が出たりしていたんです。でも自然おやつは、そんなことないし、体調もいい。それでまずは、台所で家族の食を預かるお母さんや女性から、食の意識を変えていけたらいいなっていう思いが募ったんですよ。勉強も兼ねて、なっちゃんとともにノアスタイルで働くことにしたんです」

 

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以前から2人とも、「いつかは自分の店を持ちたい」という夢を抱いていた。しかし1人ではとても無理と、なかなか踏み出すことができなかった。

 

「まーみーは、仕事でもプラーベートでも気が合うし、沖縄の家族みたいなものだから、狙ってたんです(笑)。いつかお店を2人でできたらいいねって軽い感じでは話してたんですよね。でも実際、お店をやるとなったら生活も変わってしまうし、どうなんだろって、1人で悶々としていました。でも悶々としていても仕方ないと、ある日、意を決して、まーみーに言うことにしたんです。『あのさ、前から2人でお店やりたいって言ってたじゃん。あれ、本気なんだよね』って。もう告白ですよ(笑)」

 

その告白に対する万美さんの答えは?

 

「『そうそう、やりたい』って、即答でした。待ってた、じゃないですけど、私もずっとそう思ってたんで。両思いだったんです(笑)」

 

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店で使用しているこだわりのやちむんや、職人手製の竹箸の販売も

 

時をほぼ同じくして、ノアスタイルの閉店が決まる。

 

「閉店はすごくショッキングだったんですけど、お陰で背中を押してもらえました。閉店してからは、もう急ピッチでmanaの開店準備にとりかかりました。場所を探して、大工さんとお店の左官作業をしたり、名護のリサイクルショップまで足を運んで家具を揃えたり。忙しかったけど、楽しかった。ノアスタイルのオーナーには、店のオープンにできる限り協力すると言っていただいて」

 

manaのショップカードには、“produced by Noahstyle”の文字。2人は、感謝の気持ちを込めて声を揃える。

 

「ノアスタイルでは、ソイミートの唐揚げだったり、卵やケーキを使わない焼き菓子だったり、基本をしっかり学ばせてもらいました。ショップカードに店名を入れることで、ノアスタイルの想いを引き継ぐ気持ちも表しています。“美味しくて安心できるものを食べて、心から笑顔になってもらいたい”という想いですね」

 

お陰で、ノアスタイル時代のお客さんも、足繁く通ってくる。かつてノアスタイルで販売していた、自家製ドレッシングの復活を望む声もある。ゴマとアーモンドで作る、抗酸化作用のあるアンチエイジングドレッシングだ。準備ができ次第、持ち帰りのできるドレッシングや、manaのオリジナルであるヘンプシードの入った豆乳マヨネーズなどの瓶ものも、充実させていきたいそうだ。

 

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小麦アレルギーでも安心。米粉のブラウニー豆乳ホイップ添え

 

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ネパールで仕入れてきた茶葉とスパイス、自家製ジンジャーシロップで淹れたソイチャイ

 

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県産さつまいもプリンと黒ゴマプリン

 

夏代さんは、2人で店を切り盛りする良さを繰り返す。

 

「『似てる』とか、『双子みたい』ってよく言われます。2人でいると、1人の時よりお客さんの印象に残るみたいで、2人だからこその効果みたいなのがありますね。それに、2人でやってるとお互いに心強いです。すごく助かってる」

 

と言えば、万美さんも「ねっ」と同意する。お互いに足りないところを補い合う。衝突することもないのだという。

 

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万美さんが、近い将来の夢を話す。

 

「お店にスタッフが増えて、どちらか1人でもできるようになったら、そのうち1人は、また外の世界を見に出たいんですよね。旅先で調味料などを新たに仕入れて、刺激をもらってきたいですね」

 

夏代さんには、新たなメニューの構想がすでにあるよう。

 

「前にタイへ行ったとき、知り合いのおばちゃんが、買い付けから料理まで全て教えてくれたんです。ソムタムとか習いました。夏になったら、ここでも出したいですね。タイ料理は、カピっていう海老のペーストだったり、ナンプラーだったり、動物性のものを多く使うんですけど、植物性のものでも代用できるんですよ。海老のペーストの代わりに大豆を発酵させたペーストがあったり、魚醤の代わりに醤油を使ったり。これからどんどんメニューを増やしていきたいですね」

 

ノアスタイルで学んだことをベースに、旅の途中で出会った美味しいものをプラスして、2人の好きが詰まったお店にしていきたいと言う。

 

夏代さんと万美さん。お互いを家族のように思う2人。1人よりも2人。そのほうが、しっくりとくる。manaはまだ産声をあげたばかりだが、この2人だからこそ出せる色が少しずつ色づき始めている。大好きなアジアへの尽きない好奇心で、その色は、深く濃く色味を増していくことだろう。

 

文/田中えり(編集部)

写真/金城夕奈(編集部)

 

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自然食とおやつの店 mana
那覇市壷屋1-6-9
098-943-1487
11:00〜18:00
close 火・水
http://okinawamana.ti-da.net