» Mở cửa sổ(モクアソ)野菜をたっぷり、もっちりパンで。ベトナム料理に恋したうちなーんちゅがつくる、ヘルシーバインミー。

モクアソ

 

モクアソ

レバーパテとたまごのサンドセット

 

レバーパテを塗ったパンの中には、目玉焼きを取り囲むように紅白なますと香草、ネギにレタスがどっさり。食べ進むごとに野菜のパワーを体内に取り込んでいくような爽快さがある。食べ終わる頃には、満腹なのに胃もたれせず、どんどんパワーが満ちてくる。

 

ベトナムカフェMở cửa sổ(モクアソ)のバインミーは、野菜サラダを閉じ込めたようなサンドイッチだ。オーナーの宮里いずみさんが目指すのは、ヘルシーな料理。

 

「ベトナムではバインミーは、家庭料理というより外で買って食べるものなんです。手軽さで言うとファストフードに近いかな。でも、うちの店では、ベトナムのバインミーより、さらに野菜がしっかり摂れるようにアレンジしてあります。それに、レバーパテは油の量を減らして、セロリや玉ねぎ、にんにくをたっぷり入れてるんです。本場のものは、野菜少なめで背油の量が多くて、日本人の胃には重いかなーと思って。他にも野菜をたくさん使ってるので、罪悪感なく満腹になれますよ」

 

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チキンとレモングラスのサンドセット

 

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ヘルシーを意識しているのは、野菜の種類と量だけでなく、味付けも同じ。

 

「もともとベトナム料理は、タイ料理に比べると辛くない、やさしい味付けなんです。ベトナムでは、お店でも、チリソースや魚醤のニョクマムなどの調味料が付いてきて、お客さんが好みの味で食べられるようになってるんですよ。そんなベトナム料理よりも、さらにうちは調味料を最低限におさえています。使うとしても身体に優しいものを選ぶよう心がけていますし、もちろん化学調味料は一切使っていません。バインミーも、なますで三温糖と酢を使うのと、仕上げにニョクマムをほんの少しふりかけるだけです。あとは、野菜からでる甘みやパテに入れたローズマリーの爽やかさとか、自然の風味を活かしています」

 

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読谷の畑から新鮮な野菜を届けてくれるモクアソファンの農家さん

 

バインミーは沖縄ではまだまだ珍しく、見慣れない具材に目が行くが、実はパンの美味しさも段違い。外はパリッ、中はもっちり。具を引き立たせる絶妙な柔らかさなのだ。

 

「ベトナムのパンは外はカリッと中は軽い感じのパンが多いのですが、うちのはもっとモチモチのパンにしたくて何度も作りました。理想の食感になったのは、発酵と焼く時間の長さを変えたからなんですよ。ベトナムで習ったパンは1次発酵が3時間くらいなのですが、これを12時間以上発酵させることでもっちりすることがわかって。焼き時間を短くしたら、皮の部分がパリっとなりました。初めは低温で20分くらい焼いてバリバリになってしまったりしていたんですけど、今は半分の時間しか焼いていません」

 

噛みしめると、じんわりと口の中に満ちる香ばしさも魅力だ。

 

「粉の香りを消さないように材料もアレンジしています。ベトナムのパンは、イーストをいっぱい入れて小麦粉で作るパンが多いんです。私は、イーストの匂いがするのは嫌だから量を減らして、風味のあるライ麦パンが好きなので全粒粉を使っています」

 

モクアソ

 

手間のかかるパンやパテづくり、仕込みは店の閉店後、毎日のことだ。その労を惜しまない姿勢は、7年半のベトナム生活で学んだものだと言う。

 

「レバーパテやパンを一から手作りしようと思えたのは、『ないものは作ればいい』っていう発想をベトナムで身につけたからだと思うんですよ。日本だと簡単に手に入るものがベトナムにはないことが多いし、ベトナム人はなんでも手作りするから、私も作るしかないなあって。根気のいることですけど、段々と楽しくなっていましたね。きな粉とかゴマなんかも煎るところから作ったり、ベーグルもふわっふわのしかなかったから友人と一から作ったりもしましたよ」

 

モクアソ

バナナの葉で包んだハノイの緑豆おこわ。
テイクアウトも多いモクアソ人気メニューの一つ。

 

不便さをも楽しむ。それもベトナムで体得した。そんないずみさんは、生まれも育ちも沖縄である。うちなーんちゅのいずみさんがベトナムに夢中になったきっかけ、それは親近感だった。

 

「東京にあるベトナム料理店で働いていた時にまかないを出してもらっていたんですけど、そこのまかない料理がとってもおいしかったんですよ。ベトナム人のコックが作る素朴なベトナムの家庭料理だったんですけどね。異国の料理なのに親しみを感じたんです。ベトナム料理といったらフォーも有名ですけど、フォーも外食で食べるものなんです。お家で食べている料理はごはんと野菜いためとスープ、沖縄の食卓とほぼ同じです。味付けは違うのに懐かしい気持ちになりましたね」

 

勤めていた店を辞めてベトナム料理から離れたこともあったが、いずみさんはどんどんベトナム料理に惹かれていく。

 

「エビにわざわざ麺を巻いたり、緑米っていう青い米をまぶしたり。あとココナッツで蒸すとか、食材の使い方がすごいんですよ。『ベトナムめし楽食大図鑑』っていう本を読んで知ったんです。ベトナムの食文化ってやっぱりおもしろいって感動しました。知れば知るほど、ベトナム料理にハマっていっちゃいました」

 

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豆の量を2倍にして作るヨーグルトコーヒー。
ベトナムコーヒーをヨーグルトとコンデンスミルクで割る。

 

モクアソ

 

好きが高じて、いずみさんは遂にはベトナムで暮らし始め、現地の人向けのベトナムの家庭料理とお菓子を習える教室に通った。7年半ものベトナム生活の中で、いずみさんが気づいたのは、沖縄とベトナムの共通点が多いということ。

 

「沖縄とベトナムは同じの食材が多いんです。ベトナムでも肉っていえば豚だし、豚耳やパパイヤを使う料理もあるんですよ。それに沖縄には昔から『豚で食べられないのは鳴き声と足跡だけ』っていうことわざがありますよね。ベトナムでも、食材を捨てることをいやがって全部使うことが多いんですよ。バナナだと実はもちろん、つぼみも割いてサラダにしたり、麺類にいれたり、鍋に入れたりして食べて、葉っぱは防腐作用があるから包むものに使うんです。ハスもそう。ハスの地下茎であるレンコンはもちろん、実や茎も料理に使います。葉っぱは包むものに使って花びらはかざり。ハス茶はおしべで香をつけて、めしべは薬、漢方みたいにして使っていました」

 

モクアソ

 

モクアソ

 

沖縄とベトナムの繋がりの感動が少しずつふくらんで、モクアソという形になった。モクアソのあるべき場所は、やっぱり沖縄。いずみさんがうちなーんちゅに伝えたいのは、沖縄の食材をベトナム料理という切り口で見せる新鮮な驚きだ。

 

「沖縄でよく食べられている食材たちが、味付けと調理法でこんなに変わるんだっていうおもしろい衝撃を、沖縄の人にこそ知ってもらいたいなって思ったんですよ。以前、葉っぱ巻きに生からし菜を使ったら、うちなーんちゅのお客さんが『生でしまなー(沖縄の方言でからし菜のこと)って食べれるんだね!』ってびっくりしていたんです。これから、豚耳や豚の顔の皮チラガーで作ったソーセージのバインミーなど、沖縄独特の食材を使ったメニューも作ってみたいなあって思っています」

 

モクアソ

 

モクアソ

 

いずみさんの作るヘルシーなベトナム料理は、うちなーんちゅだけではなく、ベトナム人をもトリコにする。

 

「ベトナム人のお客さんから『今のベトナム料理は、化学調味料を使う料理が増えてきているからおいしくない。モクアソの料理を食べると、昔お父さんやお母さんと家で食べていた手作りの味を思い出すよ』って言われたことがうれしくって、今でも心に残っているんです。そういう素朴な味は守りつつ、ベトナム料理のおもしろさを伝えていくことがモクアソの夢ですね」

 

文/伊波さおり

モクアソ
Mở cửa sổ(モクアソ)
沖縄県沖縄市比屋根6-13-10
098-953-0619
Open/ 11:00〜18:00
Closed / 火・水
https://www.facebook.com/pages/Mo-cua-so-モクアソ/609083449191396