monoca(モノカ)アメリカ仕込みの多国籍料理に舌鼓。「モノ」プラス「カフェ」のくつろぎ空間。

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「当店のパンケーキは、うんと軽くて食べやすいんですよ。
ご近所のおばあも、ランチのあとにぺろりと平らげていくほどです(笑)」

 

マネージャーの金山剛史(たけし)さんが運んできたのは「フローズンベリーパンケーキ」。
優しい色合いに焼きあげられたパンケーキの上に、クリームとベリー類がたっぷり乗せられている。そのキュートな見た目に、思わず「かわいーっ!」と歓声をあげてしまった。

 

それにしてもなかなかのボリュームだ。「さすがにぺろりというわけには…」と怖じ気づいていたが、ひとくち食べた瞬間「これならいけちゃうかも!」という気持ちに変わった。
驚くほど口当たりが軽いのだ。
生地もクリームも甘さ控えめな上に、パンケーキの食感もどっしり系ではなく、ふんわりと柔らかい。
もたれる感じがまったく無いので、どんどん食べ進めてしまい、あっという間に完食してしまった。
なるほど。これなら小腹が空いたときだけでなく、食後のデザートにもイケちゃいそうだ。

 

剛史さん、淳子(あつこ)さん夫婦の営む monoca(モノカ)は、パンケーキなどのスイーツだけでなく、食事メニューも充実している。
中でも、タコスとサラダを掛け合わせた「タコサラダ」は、沖縄ではあまり見かけない一品だ。

 

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使用している具材はタコスと似ているが、こんがり揚げられた大きな皮が器代わりとなっている。

 

「これは、とうもろこしで作った『トルティーヤ』です。適当な大きさに割り、具材を乗せてお召し上がりください」

 

初めて食べる料理と、そのちょっと変わった食べ方にワクワク。
大きめにトルティーヤを割り、レタス・トマト・チーズのほか、アボカドソースとサワークリームもたっぷり乗せる。
仕上げにサルサソースを少々とライムを回しかけ、いただきまーす。

 

香ばしく揚げられたトルティーヤと、ピンクペッパーのアクセントが効いたひき肉はまさにベストマッチ。
サワークリームの存在感も絶大だ。濃厚なアボカドソースとちょっぴりスパイシーなひき肉を、口の中でしっかりまとめあげてくれている。
シャキシャキレタスに大きめにカットされたトマトなど野菜もたっぷり摂れるし、女性に人気のメニューというのもうなずける。

 

「トルティーヤと具材を、皿の上でかき混ぜてから食べても良いんですよ。
サラダとはいえ、結構ボリュームあるでしょう? この一品で『お腹いっぱい!』と満足される女性も多いですね」

 

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剛史さんも淳子さんも、アメリカで長く暮らしていた。
2人が作る料理は、メキシコ・イタリア・スペイン・アジアと多国籍な上、メニューの数も驚くほど多い。
また、ロサンゼルスのバーで働いていた剛史さんは、ハーブチキン・ナチョス・海老のアヒージョといった多国籍なおつまみや、モヒート・ファジーネーブルなど、20種類以上のカクテルを作るのもお手の物。

 

「どの国の料理というこだわりは無く、これまで食べてきて美味しかったものをメニューにしています。そうしたら自然と多国籍になって。
私たち夫婦は、とにかく食べることが大好きなんです。だから、『おいしければ何料理でもいいよね』って(笑)」

 

メニューは、夫婦で協力して考案している。
納得いく味に仕上がるまで妥協することなく、試作や研究を繰り返すと言う。

 

「ここでしか味わえない料理をご提供したいので、どのレシピにも一工夫加えるようにしています。
例えば、当店のタコスのシェル(皮)はソフトタイプなのですが、通常の作り方とは一味違います。生地に白玉粉を混ぜているので、もちもちしてるんですよ」

 

そして monoca は、沢山のおいしい料理で私たちのお腹を満たしてくれるだけの場所ではない。
店名は、「物(mono)」プラス「カフェ(ca)」という意味を込めており、雑貨店としての顔も持っているのだ。

 

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ロサンゼルスのブランド「GROWZE(グローゼ)」のネックレス。

 

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雑貨のセレクトは、輸入家具・雑貨を扱う会社で働いていた淳子さんが担当している。
取り扱う品の種類は幅広い。県内外の作家ものの器や衣類、イタリアの Arte Legno (アルテ レニョ) 社による手彫りのオリーブウッドの食器やカッティングボード、オーガニックのコスメやトマトソースなど、ジャンルも国境も問わず仕入れている。

 

「作家ものはもちろんですが、そうではないものでも、作り手のぬくもりを感じられるものが好きなんです。
オリーブウッドの食器は、樹齢200〜300年のものだけを使い、ハンドメイドで1つずつ作られています。実際に触れてみるとわかるのですが、特有の温かみがあって手に馴染むんですよ。使い続けると見た目にも味わいが増し、木目の色合いも変わっていくんです。
しかも、傷が付きにくくて割れない! 長く愛用していただける器なんです」

 

食料品のセレクトは、剛史さんも携わっている。

 

「イタリアのCereal Terra(シリアルテラ)社によるトマトソースは、完全無添加のオーガニックのもの。
そのまま使ってもとても美味しいのですが、生クリームと混ぜてリゾットを作ったりハンバーグのソースにしたりと、これ一つで色々な料理が作れます。値段も手頃なので、我が家のごはん作りでも重宝してるんですよ。
また、シリアルやスナック類も、安心してお子様に食べさせられるオーガニックのものを選んでいます」

 

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左はオリーブウッドのボウルとサーバー。「オリーブは丈夫で傷もつきにくく、使うごとに味わいが出るのも魅力です」と、淳子さん。オーガニックトマトソースはアラビアータ、トマトバジル、トマトマッシュルームの3種類。

 


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見慣れない異国の料理を家族と楽しむも良し、友人とスイーツに舌鼓を打つのも良し。また、コーヒーやお酒をお供に、じっくりと店内の雰囲気を楽しむ一人時間も捨てがたい。
monoca には、誰もがゆったり寛げる空間が広がっている。

 

「人が心から『ほっ』とできる場所を作りたかったんです」という2人。
店内には、押入れを改造してベッドを置いたスペースまである。

 

「赤ちゃんを寝かせたり、疲れた時に横になったり、好きなように使っていただけたらと思って。なんだか静かだなぁ〜と思って見に行ったら、男性のお客様がぐっすり眠り込んでいたこともありました(笑)。
それくらいリラックスして頂けたということですから、私たちは嬉しかったですよ」

 

店をオープンさせたいと思うようになったのは、ロサンゼルスでシェアハウスに住んでいた頃の体験がきっかけだったと淳子さんは言う。

 

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南アフリカで育った植物たちのエキスやオイルをふんだんに使っているオーガニックコスメ「botany(ボタニー)」。日差しの強い沖縄で使うにはぴったり。

 

剛史さんは大学へ通うため、淳子さんはダンスを学ぶために、それぞれロサンゼルスへ渡っていた。

 

「主人とはもともとシェアハウス仲間でした。一軒家に合計8人で暮らしていたんです。
私はダンサーとして働きながら日本料理屋でバイトをしていて、夫はバーで働いていました。
2人とも、当時から食に対しての興味はめちゃめちゃ強かったですね。美味しいタコスを求めて、一緒に色んな店を食べ歩いたこともあります。

 

シェアハウスでは、寮のおばさんみたいなこともしてたんですよ(笑)。仲間がみんな揃う日があると、腕をふるってご飯を作っていました。その時みんなに『おいしい!』と言ってもらえるのがすごく嬉しくて。 その一言を聞きたいがために、8人分も作っていたようなものです。
それまでは、自分が美味しいものを食べるだけで満足していましたが、自分だけではなく人を喜ばせたい! と、強く思うようになりましたね」

 

アメリカで生活を続けるうちに、淳子さんは徐々にダンサー以外の将来を考えるようになったと言う。

 

「30歳を過ぎると、体力的にも限界を感じるようになって。ダンスは大好きですが、一生続ける仕事ではないような気がしてきたんです。
そんなときにたまたま、半年という期間限定で貸しだされている店舗物件を見つけ、夫と2人でカフェを開くことにしました。
メニューは軽食中心で、中でも人気だったのがカキ氷! 抹茶を立ててシロップを作ったりと、今と同じように一工夫加えたメニューを提供していました。
日本人や日系人が多く住む地区でしたが、アメリカ人にも好評でしたね。

 

この半年間だけのカフェ経営が、私も夫もすごく楽しかったんです。
ご飯を作ること、『おいしい』とお客様が喜んでくれること、色んな方と出会って話をすること、2人でひとつの空間を作り上げること…。そのどれもが素晴らしくて。
あの時の経験がなかったら、こうやって店を開いたりしてなかったでしょうね」

 

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気持ちの良い、広々としたテラス席も。

 

のちに2人は帰国し、東京でそれぞれサラリーマンとしての生活を始めたが、なかなか馴染むことができなかったという。
2011年の震災を機に会社を辞めて沖縄へ移住、monoca をオープンさせた。

 

「旅行で沖縄を訪れたときに、『ロサンゼルスに似ているな〜』と思ったんですよ。いつも潮の香りがしていて、みんなゆったりと暮らしていて。外国人の方も多いですしね。
ですから震災後、すぐに移住場所として沖縄が浮かびました」

 

今後はさらに、メニューを強化していきたいと言う。

 

「季節を感じるお料理を増やしたいですね。夏はさっぱりと食べられるもの、冬はからだが温まるものをご用意して、お客様に喜んでいただきたいです。
雑貨も、シーズンに合ったアイテムをどんどん増やしていこうと思っているところ。
来る度に、変化を感じていただける店でいたいですね」

 

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monoca には、自由な雰囲気が漂っている。
好奇心と行動力に溢れた剛史さんと淳子さんが、いつでも身軽で自由だからだろう。

 

美味しいこと。そして、ほっとできること。

 

店のコンセプトは単純明快。
本当に大切なことは、いつだってシンプルなのだ。

 

そのシンプルなコンセプトをもとに、2人はこれからも多彩なメニューを生み出していくのだろう。
そして美味しい料理と心からの「ほっ」を求め、多くのひとがやって来るのだ。

 

写真・文 中井 雅代

 

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