純喫茶 Mother Coffee(マザーコーヒー)サクサクッ&ふわふわっ!オーブンで焼き上げるドイツ風パンケーキ“ダッチベイビー”を、本格焙煎コーヒーとともに朝7時から。

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「シュークリームみたいな軽い皮なんで、おなかにどんどん入っていっちゃいますよ。これダッチベイビーっていうドイツ風パンケーキです。パンケーキというと流行りのハワイワンパンケーキをイメージする人が多いんですけど、ダッチベイビーは外がカリッ、中はモチモチで、パンケーキの新革命だと!」

 

純喫茶Mother Coffee(マザーコーヒー)のオーナー、桐島太郎さんがじっくり焼き上げるダッチベイビーは、軽やかな生地に特長がある。一口頬張ると、軽い舌触りに繊細なしっとり感が広がっていく。

 

「ハワイアンパンケーキはフライパンに生地を流して直接火にかけますが、ダッチベイビーはそのフライパンをオーブンに入れて焼き上げるんですよ。オーブンは強い火力で、一気に高温になるので生地も勢いよく膨らむんです。上下にムラなく熱が行き渡るから、伸びの良い柔らかい食感が生まれます。ハワイアンパンケーキよりも生地が軽くて、甘さも控えめなんです」

 

 

生地の軽さは卵が新鮮なほど引き出すことができるという。

 

「材料は普通のパンケーキと同じで小麦粉、牛乳、玉子、砂糖ですが、新鮮な卵をふんだんに使うことが大事です。良い卵はなんといっても弾力がいい。そこに空気が加わると、生地がいっそうふんわりと膨らむんですよね。何枚でも食べられちゃいそうな生地になります。アメリカのお客さんだと、ダッチベイビーを朝から2つ、一人でペロッ食べていかれますよ」

 

美味しさの要ともなるこの大事な卵は、宜野座村の養鶏農家から直接取り寄せている。

 

「卵の黄身ってオレンジ色が新鮮ってイメージを持つ人が多いですよね。でも本当に新鮮な卵は薄黄色なんです。宜野湾のファーマーズに探しに行ったら、採れたての卵を持ってきてる農家さんがいて、その場で割って見せてくれたんです。そしたら卵の黄身がぷっくりしてて、色は透き通るような薄黄色!白身もつやつやっとした、極上の卵だったんですよ。衝撃受けて、思わず話しかけたら、それが嘉手納さんで『うち来なよ!』って気さくに応えてくれて。それからここに配達してもらっているんです。小さい頃に、おばあちゃんがニワトリを飼っていたこともあって、卵選びにはその経験が生きていますね」

 

 

ダッチベイビーを熟れた手つきで焼き上げるのは太郎さんだが、この看板メニュー、実は、もう一人のオーナー上辰さくらさんの情熱と度重なる試行錯誤の末に完成したものだ。

 

「最初は、私が一人で家で作っていたんです。でも上手く膨らまなくて。太郎さんに味見してもらったんですけど、全然見向きもしてくれなくって。でも絶対に諦めようとは思いませんでした。日本ではハワイアンパンケーキを出すお店はたくさんあるけど、ダッチベイビーはあまりないし、新しいし、次のブームになるくらい美味しいんじゃないかとも思って」

 

初めは軽くあしらわれてしまったダッチベビー。それがメニューにまでこぎつけられたのは、店舗を借りてから、オープン間際のことだったという。

 

「お店を借りてから、元々キッチンに付いていた業務用のオーブンで焼いてみたら、火力が全く違って、シュークリームの皮みたいに膨らんだんです。家ではできなかった、ふわふわっとした生地が完成して。欲しかったのはこれだ!これならいける!って感動しました。太郎さんも『前に食べたのと全然違う!美味しい!』って嬉しそうにパクパク食べてくれたんです」

 

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それにしても、さくらさんはどうしてここまでダッチベイビーを出すことにこだわったのだろう。そのルーツはさくらさんのお母さんにあった。

 

「母がフィリピン人で、小さい頃からパンケーキをよく食べていたんです。フィリピンは宗教の関係で、ミリエンダと呼ばれる習慣があって、3食の他にもモーニングメリエンダとアフタヌーンメリエンダがあって1日に5食ぐらい食べるんですね。なので、パンケーキなら手軽に作れるし、美味しくて人気なんですよ。ソーセージやお肉のマリネを添えたり、野菜やフルーツをのせたりします。食事系やスイーツ系、いろんなものと合うのがパンケーキの良いところだと思うんです。ハワイアンパンケーキではボリュームが出て重たいって方でも、ダッチベイビーなら生地が軽いので、もっと楽に色々楽しめると思います。うちも果物いっぱいのスイーツ系から、グラタンやテリヤキを合わせた食事系のメニューもあるんですよ」

 

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マグカップは、2人が惚れこんだ沖縄の陶芸家ryuuhakuさんのもの。お店のロゴマーク入り。

 

さくらさんのこだわりはもう一つ、Mother Coffeeの店名のとおりコーヒーにも。一口飲むと、ふわーっとした爽やかさが鼻から抜け、後に残る大地のようなコクが独特でやみつきになる。雑味がなくブラックでもすんなり飲めるがのにインパクトがある。

 

「私たちが目指した味は、深煎りでコクのあるコーヒーです。ストレートに近いコーヒーですね。自分たちが少し癖のある人間だから(笑)、喉越しはいいけど、後味に衝撃も残す味にしたいと思って。5~6種類の豆を混ぜ合わせるブレンドはまろやかな味わいになりますが、ひとつひとつの豆が持つ個性は隠れてしまうんですよね。うちの店では、豆をエチオピア産とインドネシア産の1、2種類に絞ってます。シングルオリジンというんですけど、産地ごとの独特の香りと味を思う存分楽しんでもらいたくて。思い描く味になるまで、産地を変えたり、割合を変えたりして何度も味見をしましたよ。同じ酸味でもフルーティーな酸味なのか、浅煎りの酸味なのか色々あるのでね。最後は気持ち悪くなって、吐いてしまうほどでした(笑)」

 

壁の漆喰は太郎さんが塗ったもの。

 

種類を混ぜないということは、豆がの質が味を大きく左右する。だから、豆を選ぶ時には相当の力を入れる。

 

「豆は同じ木のものでも、育て方や管理方法で味が変わってしまいます。焙煎で何とか味を戻そうとしてももう難しいんですよ。だから豆は良くないと。買い付けは太郎さんの知り合いで、豆の販売をしている中村さんという方を紹介してもらいました。中村さんは自ら現地に行って調べているので、生産者のことも非常に詳しくて信頼出来るんです。どこで誰が作っていて、どんな風に生成しているのかわかるのは安心ですよね。実際に豆を見せてもらったら、どれも状態が良くてびっくりしました」

 

こうしたストレートコーヒーを出す店は数少ない。それは、豆の焙煎・抽出がきっちり出来ていないと、豆の持つ魅力をちゃんと引き出せないからだ。

 

「豆の挽き方、淹れ方、ひとつで味が大きく変わるので、細かいところまで気を配らないと行けないってのはあります。その日の湿度や温度に合わせて、ミルの粗さを変えたり。コーヒー豆がお湯に浸かっている時間が長いと苦味が出てきてしまうので、豆と豆の間をお湯が通っていく速さも考えないといけないですし。お湯の温度が苦みや酸味にも影響するんですよね」

 

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一杯のコーヒーの味を作るのに、並ならぬ情熱を注ぐさくらさんだが、昔はコーヒーが嫌いだったという。

 

「父が愛媛で珈琲店を経営していたんですが、私、コーヒーが全然飲めなくて。お店のお手伝いもしていたけど違うことがしたくて、ついには家出までしてしまったんです。でもある時、ラテアートに出会ってからハマッてしまって。それからやっとコーヒーの魅力が見えてきて、自家焙煎の美味しさを知って…。コーヒーという一つの素材が世界中に愛されているって分かって、好きになりましたね」

 

 

マザーコーヒーの営業時間は朝7時から。沖縄の生活リズムは夜型。朝から開いているお店はまだまだ少ない。

 

「沖縄は朝からやっているお店がないからこそ、始めたんです。『幼稚園に行った帰りに寄るところが出来て良かった』とお母さん方に言ってもらえることも多くて、朝開いてよかったなッて思います。愛媛ではモーニング文化があって、朝から外に食べに行くんですよ。朝から開いている店があれば、他の観光客の方も喜ぶんじゃないかと思ったのもあります。それに北谷が近いから外国人も多かったのも、理由のひとつですね。外国人って朝早い方多いんですよ。最近では朝ジョギング帰りの外国人の方がテイクアウトしてくれたり、そのまま家族で食べに来てくれたりします」

 

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朝から充実した時間を過ごせる場所として、地域に溶け込んだMother Coffee、二人が今後目指すのは、“人と人とが繋がる場所”だ。

 

「マザーコーヒーとつけたのは、みんなの母のように温かく包み、そこから出会いやつながりを育てていく場所にしたいという気持ちからです。実はうらにちょっとした庭もあって、そこもドッグランとかできるようにしたいし、色んな人に楽しんでもらえる場所にしたい。ここで野菜市も開催して、地域とのふれあいも大切にしていきたいと今からワクワクしています」

 

文/足立 真希

 

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純喫茶 Mother Coffee
住所:沖縄県北中城村瑞慶覧588
電話:098-923-3723
営業時間:7:00~19:00/モーニング 7:00~11:00
定休日:木曜日
駐車場:有り
※台数が限りがございますので、乗り合わせていらしていただけると嬉しく存じます。
http://mother-coffee.com