おやつ工房100円で買えるおやついっぱい。自分でつくるお菓子のおいしさを伝えたい。

おやつ工房

 

アーモンドクリームをたっぷりつかった贅沢なキャラメルナッツタルト。その値段なんと180円。夕方になると、お小遣いをにぎりしめた子どもたちも姿を見せる。

 

「駄菓子屋感覚で楽しんでほしくて」

 

店主・香奈さんのお菓子作りの記憶は、子どもの頃にさかのぼる。

 

「ケーキやクッキーを母とよく焼いていて、それがすごく楽しかった。高校時代は食物(しょくもつ)科で学び、卒業後はお菓子作りの専門学校に進学しました」

 

香奈さんにとって、食べ物を作って楽しむことは小さな頃から身に付いたごく自然な行為だった。

 

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りんごとレーズンのべイクドチーズ、バニラアイスのせ

 

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看板犬「ししまる」をかたどったクッキー

 

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専門学校を卒業後、カフェでスイーツを作っていたが、ひょんなことから居酒屋でも働くことになった。

 

「作り手としてしか働いたことがなかったので初めての接客業でしたが、想像以上に楽しかったんです。食べているお客様のリアルな反応が見られますし、接客ひとつで食べ物の味そのものは変わらなくても、感じるおいしさは変わるんだということにも気づきました。飲食の仕事っておもしろいな、これは私の天職かもしれない! と思うようになりました」

 

食べ物と接客でお客様をもてなしたい。自分の店を持ちたいという夢が膨らむきっかけとなった。

 

おやつ工房

 

おやつ工房

 

3年前に沖縄に移住、店をオープンさせて1年半が経った。

 

「最初は販売のみだったのですが、半年後にイートインスペースをつくるべく改装しました。やっぱり接客がしたくて」

 

店頭には1枚5円から買えるクッキーも並ぶ。

 

「チョコバークッキー40円、きなこボール30円、スノーボール30円なので、一個ずつ買うとちょうど100円になる。
だから、100円一枚にぎりしめて買いに来てくれる子もいるのですが、その様子がまた可愛くて」

 

ケーキの種類も豊富だが、あえてケーキ屋とは名乗らない。

 

「子どもだけでも気軽に買いに来てほしくて」

 

その名のとおり、「おやつ」の店なのだ。

 

おやつ工房

 

おやつ工房

 

「毎週のように通っています」と笑う常連客の男性は、頂き物で食べたのがきっかけでハマったという。

 

「もともと甘いものは食べないタチだったのですが、こちらのお菓子は甘過ぎないところがいい。みんなに教えたくなるので、手みやげに持って行くことも多いんですよ。そうやって僕のまわりでもおやつ工房ファンの輪が広まっています。コーヒーもこだわっていておいしいんですよね」

 

「神戸の炭火焙煎珈琲、『萩原珈琲』の豆を使っています。新鮮なのでクセがなく、すっきりと飲めるんです」

 

と、香奈さん。

 

おやつ工房

 

子どもだけでなく、大人のリピーター率も高い。

 

「イートインスペースを設けてから、お客様の年齢層が一段と広がりました。子どもたち、お母さん、おじいちゃんおばあちゃん。色んな方に会ってお話ができる、本当に幸せです」

 

夜の営業は遅めの22時まで。

 

「暗くなってからまったりする時間も素敵だな〜って。私でよければいつでもお客様の話し相手になりたいと思っています」

 

接客好きを自称する香奈さんだが、決して饒舌なタイプではない。しかしその穏やかな笑顔を前にすると、初対面でもいつの間にか心を許し、つい長居をしてしまう。

 

おやつ工房

 

おやつ工房

 

子どもを対象にしたおやつ教室も好評だ。

 

「小学生を対象に3〜4人で行っています。参加費は1,000円くらいから。自分で作ったおやつってこんなにおいしいんだよーって知ってほしくて始めました」

 

母親に教えてもらったおかし作りの楽しさも、香奈さんはお店で伝え続ける。

 

常連客の赤ちゃんを優しく抱き上げてあやす。

 

「ちょっと見ない間にすぐ大きくなるね〜」

 

私よりずっと年下の香奈さんに、つい母親の姿を重ねてしまう。
おかし作りを通して受けてきたたくさんの愛情を、手づくりおやつという形で私たちに与えてくれる香奈さんはまるで、店を訪れるひとを母親のように暖かく迎え入れてくれるから。
100円を握りしめて戸を開ける小学生だけでなく、大人になった私たちのことも。

 

写真・文 中井 雅代

 

おやつ工房
おやつ工房
名護市大東2-20-7
0980-43-0482
open 15:00〜22:00
close 月・第2,4日曜
ブログ:http://oyatsu.ti-da.net