» plant-HOLIC/世界中の子供や動物たちの幸せを目指す、楽しく美味しいローフード

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Seasonal Smoothie

 

柔らかな山吹色のplant-HOLICのスムージー。さっぱりと自然な甘さのマンゴーに、ライムやミントのフレッシュな爽やかさが加わる。後からピリリとかすかな辛味がやってきて、その味の組み合わせに驚いた。店主で、ローフードインストラクターの斉田実美さんに伺うと、少しだけハラペーニョを加えているのだとか。少しエキゾチックで大人の“シーズナル(季節の)スムージー”だ。

 

plant-HOLICのスムージーは全部で3種。“グリーンパワースムージー”は、緑黄色野菜や果物、モリンガなどのスーパーフードに、生姜のしゃっきりしたワンポイントで、元気が湧くような味わい。“ラブカカオスムージー”は、自家製アーモンドミルクやローカカオ、ココナッツミルクなどがミックスされ、とびきり美味しいチョコレートを食べているような幸せが広がる。

 

使う野菜や果物は自然栽培のものなど、素材にはとことんこだわっているが、こだわりはそれだけではない。どのスムージーにもそれぞれ個性があって、舌に必ず印象が残る。そして共通するのは、どれもとても美味しいということ。素材の組み合わせ、そのバランスが絶妙なのだ。そんな魅力的なローフードをつくる実美さんに、ローフードとの出会いやその思いについて伺った。

 

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LOVE Cacao Smoothie(左)、Green Power Smoothie(右)

 

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ーローフードはだいぶ浸透して、スムージーやコールドプレスジュースも一般的になりつつありますね。けれど、お店の中で植物を栽培していて、それをジュースにしていただくというのは初めてです。その植物は何ですか?

 

これは、ウイートグラスと言って、小麦の若葉なんです。小麦って最近グルテンとかで悪者にされがちなんですけど、こういう若い時はグルテンが含まれていないんですよ。代わりにものすごい栄養素が入ってるってことがわかっているんです。しかもそれは若葉の時にしかない特別な栄養素なんですね。人間でも中学から高校くらいの成長期に、一番色んなホルモンが出たりするじゃないですか。いわばそれと同じ状態になるんです。注文が入ってから、この若葉を採取してコールドプレスジュースにして、ショットグラスでお出ししています。何がいいかというと、体全体が元気になるんですよ。お客さんから疲れにくくなったという声を聞くし、ウイートグラスの研究者の一人は、男性なんですけど、なんと80歳でお子さんを授かった方がいるんです! それにウイートグラスを最初に提唱されたアン・ウイングモアという女性は、80代で亡くなっているんですけど、白髪が若い頃の髪色に戻っていたと言われています。究極の若返りドリンクって言われているんです。そういう効果を得るためには、ちゃんとした小麦の種で、ちゃんとした土があってというメソッドに従ってのことなので、種も土ももちろんこだわっています。土は、これはという全国の土屋さんに「植物の堆肥だけの土が欲しい」という手紙を送って。そしたら四国にある土屋さんが、A4の紙2枚分くらいびっしりと土に対する思いを書いて返してくれて。そこから仕入れているんです。

 

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(写真提供 plant-HOLIC)

 

ーそのような栄養学やメソッドなど、ローフードのイロハはどこで学んだのですか?

 

私は、カリフォル二アにあるリビング・ライト・カリナリー・アート・インスティチュートっていうところで学びました。ローフードの学校としては世界で一番古くて、ローフードの先駆者的な人を沢山排出している学校なんです。学んだのは2010年なんですけど、その学校は単位制で、色んな単位が取れるんです。私は、グルメローフードシェフ、上級栄養学インストラクター、上級ロースイーツクラスなどの単位を取りました。その後1年間でインストラクター資格も取りました。

 

ーなぜアメリカに行ってまでローフードを学ぼうと思ったのですか? ローフードとの出会いは?

 

話せばとても長くて、幼少期の頃からの話になるんですけど、いいですか?(笑) 私、小さい頃から色々考える人で、その中の1つに「なんで世の中には、食べ物がなくて飢えで死んでいく子供達とか、戦争の地域に育った子供達とかがいるんだろう。同じ地球に生まれたのに、どうしてこんなに不公平なんだろう」っていう思いがずっとあったんです。けど大人になって、仕事が忙しくなるにつれ、そんな苦しんでいる子供達のことは忘れていってしまって。世界規模のこういう問題は大きすぎて、私にはどうしようもないよね、しょうがないよねって、時々何かの機会に募金するくらいで、見て見ぬふりをしていたんです。だけど、2007年にある本に出会って…。

 

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コールドプレスジュース・Rident Juice(左・ビーツ、人参、ウコン、生姜、レモンなど)と、LOVE Your Body juice(右・季節の緑の野菜、セロリ、きゅうり、パクチー、パセリ、生姜、柑橘、レモンなど)

 

ーどんな本に出会ったのですか?

 

“ハチドリのひとしずく〜いま私にできること〜”という本です。南米のアンデス地方の昔話です。どういう内容かというと、ある山で山火事が起きました。鳥たちは我先にと一斉に逃げていくわけですね。で、火事がどんどん大きくなって、森に住む動物達はどうしようどうしようってなってるんです。でも、その上をハチドリの“クリキンディ”が飛んでいて。で、動物達が「クリキンディ、何してるんだ?」って聞くわけですね。するとクリキンディは「水を運んでるんだよ」と。1滴ずつ口ばしに含んで、火の上に落としているんです。ハチドリって世界最小の鳥で、体長6センチくらいなんですよ。すると動物たちは皆笑うんですね。「お前がそんなことして何になるんだ。そんなちっちゃな体で水を1滴ずつ垂らしても、こんな山火事に太刀打ちできるはずないだろ」って。するとクリキンディは、「私は、私にできることをしているだけ」って言うんです。

 

それを読んだ時に、私の魂が震えてしまって。「私はクリキンディになりたい! ならなくっちゃ!!」と思っちゃったんですよ。何のためにもならないかもしれないけど、たとえ1滴でも何か私ができることをすればいいんだと。世の中の問題って大きすぎて、自分が何かしたって無理よって思いがちなんだけれども、私は私にできることをしようって、その時に強く思ったんです。

 

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ーそれでどうしたのですか? 何かを始めたのですか?

 

その時にすごく真剣に、私には何ができるんだろうってことを考えたんですね。たまたま一緒に買っていたのが、畜産の問題について書かれている本で。世界全体の穀物生産高っていうのは、実は世界人口の全員分を養える量になっているってことが書かれてあって。だから均等に分配すれば、みんなお腹一杯に食べられるんです。それなのに、なぜ飢餓が減らないのか。なぜ現に飢えて死んでいく子供達がいるのか。それは先進国が消費するお肉、牛や豚とかの飼料として、沢山の穀物が必要だから。他にも、家畜を育てるために使われるエネルギーとか排出物とかが、地球温暖化にもつながっているということを、その本で知るんです。

 

私、それまでお肉大好きだったんです。東京の麻布十番に住んでいたんですけど、十番って焼肉屋さんがいっぱいあるでしょ(笑)。週3くらいで焼肉行ってたんです。でもその本を読んで、動物の尊厳とか考えて。動物にだって人生があるのに、どうして私たちの食べ物になって、劣悪な環境で飼育されなければならないのって。なんか不平等だなって。私、不平等ってとてもイヤみたい(笑)。で、私にできることって何だろうって真剣に考えた結果、お肉を食べることをやめようって。

 

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アサイーボール(上)と、カカオボール(下)。いずれも、チアシードやビーポーレン、カカオニブなどスーパーフードたっぷりの自家製グラノーラがトッピングされている。

 

ーでも、焼肉屋さんへのお誘いとかもあるでしょう? きっぱりとお肉を食べないって、できたのですか?

 

決めたその日から全く動じなかったです。焼肉屋さんへ行っても、キャベツをバリバリ食べてたりとか(笑)。自分の問題だったら、例えば私がお医者さんにお肉を食べるのを止められてるとかだったら、食べたいなっていうのがあったかもしれない。けど、世界の子供達のこととか、地球のことだから。クリキンディになろうと思ってのことなので、揺るがなかったです。その日から一口もお肉を食べていないですね。

 

ー素晴らしく意志が強いですね! それから、どうしたのですか?

 

それまでも外資の会社でITの仕事をしてたんですけど、それからヘッドハンティングされて外資の金融の会社に転職したんです。金融に行ったら、資本主義の世界を目の当たりにするわけですよね。その会社は、他の企業からお金を預かって資産運用したりする会社で、その投資先は、兵器を製造することと絡んでる会社だったり。自分の会社がどういうところから利益を得ているのかというと、戦争に使われるものを製造する会社に投資して利益を得ている。そしてそれが自分のお給料になっているんですよね。私って、何のために働いているんだろうって思っちゃったわけですよ。戦争ってなくならないよね。だって投資先の会社はこんなに儲かってるんだもんとか、そういうことを考えたらいたたまれなくなって。その時ちょうど結婚するっていう話があったので、会社辞めて結婚しようって思ったんです。

 

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ランチメニューのベジお寿司。九州産の自然栽培米に黒米を混ぜたすし飯に、様々に味付けされた野菜がたっぷり。ココナッツミルクベースのローソースを添えて。

 

ーでは会社を辞めて、家庭の主婦に?

 

会社を辞めてから時間ができたので、何か自分の興味のあることを習おうと思って。彼のためにもなるし、お料理するのも好きだったので、お料理を習おうと。どうせだったら一流がいいなってことで、フランスに本校がある、とても格式のあるフランス料理の学校へ行こうと思ったんですよ。そしたら入学拒否されて(笑)。「私、お肉食べないんです」って事前に伝えていたら、「お肉食べない人は、味見ができないので無理です」って。じゃあ、私が習える料理って何?ってなった時に、雑誌で見つけたのが、ローフードのお教室だったんです。

 

ーやっとローフードが出てきましたね(笑)。ローフードには、すぐはまったのですか?

 

ローフードマイスターっていう資格も取れるみたいだし、まあいいや行ってみようって、3日間のコースに行ったんですね。行ってみたら、「なんじゃこりゃ! ちょっと面白い!!」って。火を使わないのに色んなことができて、びっくりしたんですよ。でも3日間だけじゃね、わからないことがいっぱいじゃないですか。その当時、先生もあんまりよくわかってなかったんじゃないかな(笑)。ですぐにグーグルをしまくるわけですよ。「世の中でローフードを一番教えてくれるところはどこだ?」って。そしたら、先ほどのカリフォルニアの学校に行き当たって。もうこれに行く!と。

 

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ーそれでアメリカでみっちり勉強されてきたんですね。ローフードを学んで何か変化はありましたか?

 

そこで世界が変わったというか。それまで私は “no meat eater”、お肉を食べない人だったんだけど、そこで初めてビーガンになるんです。それもロービーガンですね。ローフード面白いし、自分の体もどんどんよくなっていくんですよ。それまで生理痛がひどくて、その痛みで戻すくらいだったのが、一切痛みがなくなったし、病気がちだったのに、病気になることもなくなりました。それからマインドがどんどんクリアになっていって、すごくエネルギッシュにもなりましたね。ローフードの良さを知っていって、自分の体でも体感していって、私はこれを伝えなきゃいけないっていう思いにかられるわけですよ。もっとアメリカで学びたくて、結婚なんてしてる場合じゃないって、婚約を解消したんです。

 

ーそうするほど、ローフードは実美さんに衝撃を与えたんですね。学び終えて帰国したんですか?

 

はい。帰ってきてから、東京で忙しくやっていたんですが、家族である飼い犬の健康を振り返る機会をいただいたり色んなことがあって、東京から沖縄にやってきて今に至ります。

 

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ビーガン、グルテンフリーのマカロン(バニラと麻炭)。卵白、小麦粉を使わずに、マカロンのしっとりとした濃厚な美味しさを表現。

 

ーこの“plant-HOLIC”はオープンしたばかりですが、実美さんは何を伝えたていきたいですか?

 

まずは菜食やローフードって、美味しいんだって思ってもらいたいし、店名の“plant-HOLIC”って、植物中毒って意味だから、植物でどこまでできるのかっていうので、みんなを楽しませたいですね。例えば、乳製品や小麦粉を一切使わないマカロンみたいに「ありえないでしょ」っていう、びっくりするようなものを作っていきたいです。フレンチとかイタリアン食べて「わぁ〜、美味しい!」「すごい!」ってなるみたいに、ローフードで皆をエンターテインしたいし、ハッピーにしたいって思います。そして皆に、ローフードに興味を持ってもらえたらっていうのがありますね。

 

それからただ単に「体にいい食事をしましょう」って言うだけじゃなく、「何が本当に体にいいのか」を考えられる、意識を持つことのできる人が増えればいいなって思います。食材がどこからやってくるのか、この野菜はどうやって作られているのか、世の中のからくりとか、畜産の現状とかを知ってもらって、その上で選択をしてほしいんです。そういう人材を育てたいっていうのもありますね。でも前提として「楽しい」というのが一番で、「私がこう言うからこう」じゃなくて、「そっちの方が楽しいよね」みたいな感じで選択してもらえたらいいですね。

 

ーそれで、カフェの運営だけでなく、月に何度かクラスを開催したり、自然栽培の農園見学ツアーを主催したりして、知るきっかけ作りをされているんですね。でもカフェだけでも忙しいだろうに、どうしてそこまでできるのですか?

 

それはやっぱり、“クリキンディ”になりたいからじゃないですかね。10年前にあの本に出会ってから、何も変わっていないんです。今、私にできることは、お肉を食べないこと、美味しいものをお出しすること、知識を共有すること。それだけ。それで願わくば、少しでも食肉の量を減らす事で、未来の子供達のために地球環境を守ったり、動物の尊厳を守ったりしたいと思うのです。でも基本は、自分が楽しいからやってるんですけどね。

 

写真・インタビュー 和氣えり(編集部)

 

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