saborami(さぼらみ)カウンターでのんびりおしゃべり、はたまたキッズルームで子供達と。旨みの効いたベジ料理とともに

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「僕は、料理はまだまだなんで」 

 

明るい黄緑色の外壁がひときわ目をひくカフェ、さぼらみ。その店主である久高浩平さんは、“謙虚”という言葉がぴったりの人。まだまだと自身を戒めているからこそ、手間を惜しまないのが浩平さんのお料理だ。

 

例えば焼きサバスモーク定食のサバ。ただサバを塩焼きするだけでなく、一度桜のチップでスモークする。燻製の香りは強すぎず、ほんのりと漂う程度。しかしその効果は、美味しさに表れる。旨みが凝縮された上、脂の乗りはそのまま。青臭さはなく、サバがちょっと苦手な人でもきっと抵抗なく食べられる。

 

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どの定食にもつく野菜のスープも、出汁の取り方に一手間。昆布とえのき茸を使っているが、えのき茸は一度ドライにして、その旨味を凝縮させる。ハイドレーターで3時間ほどかけて乾燥させるのだ。この日、定食についたのは島かぼちゃのスープ。あっさりとしていて野菜の旨みをしっかりと味わえる。

 

さぼらみのメニューは魚や乳製品を使ったものもあるが、肉を使わないベジ料理が基本だ。でもベジじゃない人にとっても物足りなさを感じさせないことが、浩平さんの目指すそれ。北インドはリシュケシュの街で出会ったレストランが、そのイメージにあるという。

 

「海外からの旅行者がいっぱいいて、メニューにはインド料理だけでなく、ラザニアやパスタもあって。あちらはチーズとかは食べるんで、チーズは使うんだけど、それ以外は全部ベジ。ちょー美味しくて、この味でベジなんだ、しっかりしてるし、物足りないって感じでもない。あの味を目指しています。例えば1,000円するベジプレートがあって、それ一緒に食べに行こうって誘われたら、ベジじゃない人はどう思うのかなって。『だったら俺ステーキ食うぜ』ってなると思うんですよ。だからたまには、これもいいかと思わせないと。そうじゃないとこの店をやる意味がないと思っています」

 

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ベジでない人でも食べたくなる、そんな味にたどり着くまで、浩平さんは試行錯誤してきた。オープン当初は、満足のいく味をなかなか出せなかった。オープン初日にお客として島かぼちゃのスープを飲んだお母様からは、「アファイ!(味が薄い)」の一言が飛んできたという。味に自信がつくまで、先に飲食業をしている弟たちや、時に取材に訪れたライターにまで意見を求めた。

 

「僕、プライドないから、聞いちゃうんですよ(笑)。ここの料理も弟たちに試食してもらってます。結構色々言われる時もあれば、『まあ、いいんじゃねー』としか言われない時もある。最近だと、バカールに勤めてた双子の弟に、新作の“さぼらみ特性ピザ”を試食してもらったんです。そしたら『イタリアのピザとは別物だけど、オッケー』って(笑)。前は、お客さんに『味、大丈夫ですか?』って聞いたりすることもあったんですけど、最近ようやく聞かなくなりましたね」

 

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自家製フロマージュ・ブランに、きのこのコンフィ、干しエビ、チーズの乗った、白ピザ。白いソースが具材をじゃませず、引き立てる。

 

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さぼらみは、オープンして約1年。浩平さんはそれまで、ヨガのインストラクターなどをしてきたが、1年前に弟たちと同じ飲食業の道に足を踏み入れた。浩平さんはそれを、お母様から大きく影響をうけてのことだと分析する。

 

「母は、僕が小学生くらいまで喫茶店やってて、料理がとっても上手なんです。いつもちゃんと作る人で、特にちらし寿司は絶品。兄弟全員が、『これ売れるよ』って言うくらい。具のしいたけとかレンコンを、ちゃんと別個に煮るんです。学生の頃は、部活で朝早いのに、いつもそれに合わせてお弁当を作ってくれていましたね。そのせいでしょうね、僕もやっぱり料理が好きですね。学生時代に東京で一人暮らしをしていたんですけど、いつもきちんとご飯を作ってました。同じく一人暮らしをしてる友人から『ご飯にシーチキンとマヨネーズと醤油をかけて食べる』とか聞くと、寂しくなっちゃって。『大丈夫?』って」

 

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ちゃんと手作りされたものが好きで、さぼらみでも、サラダのドレッシングからピザの生地まで、きちんと手作りする。けれども浩平さんは、「料理はまだまだ」と謙遜する。だからこそ挽回するかのように、接客にも気を配るのだ。殊におしゃべりは、浩平さんの得意分野。音楽や映画、海外の話やヨガの話…。話題が豊富で、浩平さんとおしゃべりをしに来る客も多い。そんな客は、店に入るなり迷いなく、キッチン前のカウンターに腰掛ける。

 

「一番下の弟がやってるたそかれ珈琲のお客さんが、こっちにも来てくれるんです。ありがたいですね。『お兄ちゃんはよく喋りますね。違いますね』って言われる(笑)。僕は喋りたい方なんで。なんか教わりたいんですよね。料理とかメニューに関することとか、『なんか食べたいのないですか?』とか。『最近食べたもので、美味しかったのなんですか』とか、なんでも聞いちゃう」

 

子連れでも来やすいように、キッズルームも作った。

 

「僕4歳の息子がいるんですけど、一緒に外食って難しいから、子供も来れる店にしたかったんです。乳製品がダメな子でも食べられるように、乳製品を使わないパンのメニューがありますし、お子様ベジキーマカレーも用意しています。お子様用の食事を先に出して、キッズルームのおもちゃでちょっと遊んでもらって、お父さんお母さんもゆっくりご飯を食べてもらえたらいいなと。時間があるときには、お子さんをあやすこともありますよ」

 

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自家製りんごパン。バターの代わりに、りんごをすりおろして生地に加える。自家製トマトソースを乗せて。

 

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浩平さんは謙虚で優しく、頑張る人だ。料理を美味しくするだけでなく、他の部分にも全力投球する。結果、ベジの人もベジじゃない人も、おしゃべりがしたい人も、大人も子供も来れる店と、間口が広がった。今後は昼飲みも充実させたいと、沖縄では珍しいマケドニア(旧ユーゴスラビア)のワインも入荷する予定とか。

 

さぼらみは、その眩しい黄緑色の外観同様、フレッシュでチャレンジングな店。店名の「さぼらみ」は、「サボール・アミ」という大好きなラテンの曲名からとった。「私の味」という意味だそうだが、さぼらみには、味だけでなく、独特の色がある。

 

文/田中えり(編集部)

写真/金城夕奈(編集部)

 

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saborami さぼらみ
那覇市松尾2-11-23
090-7451-8327
11:30〜21:00
close 日曜(月2回休み、日曜営業日はフェイスブックで告知)・木曜
https://www.facebook.com/saborami.naha/