麺喰い処 うめ~家 台湾と沖縄の「おいしい!」の融合

 

スープが入っていないので、その名も「乾麺」。豪快にかき混ぜて、底にたまったタレをまんべんなく麺にからめて口に入れるとしっかりだしのきいたコクのある味に、ほのかな甘み、もっちりした麺が、のどごしも軽くするすると入っていく。

 

「こっちがメインだよ」とオーナーおすすめのスープ、だしは豚骨でとっているというが透きとおった色のあっさり味。これが、高級割烹についてきてもおかしくないほど上品で、落ち着いていて、味わい深い、お吸い物のようなスープ。

 

それにしても・・・

 

何だろう?最初の一口で「絶対、リピーターになる!」と確信するほど、麺もスープも美味しいことは違いないのだが、

 

日本料理にあっても違和感がないようなとても親近感のわく味ながら、食べればたべるほど「・・・やっぱり日本料理に、この味はないよな。」

 

この不思議な味わいを作り出しているのは・・・調味料?

 

「特に珍しい調味料は使ってないんだけどね〜。」八角とか・・・「使ってない、使ってない。」不思議なのである。

 

 

気さくに話しかけてくれるオーナーは、沖縄在住四十年以上の台湾人。

 

「あなた達より沖縄歴は長いからね、なんでも知ってるよ」

 

なるほど、間違いなく台湾料理なのに、異国情緒あふれるどころか、どこか懐かしささえ感じるような、日本人の私がすんなり受けいれられるこの味は、沖縄で過ごしたオーナー夫妻の長い年月から生まれるものなのかもしれない。

 

 

人気の「うめ〜そば」。かつおは一切使わない、豚骨スープ。台湾料理と沖縄そばの融合だ。

 

豚骨スープなのに臭みがなく、むしろ、うまみだけが抽出されたようなおいしさ。油の加減もちょうどいい。

 

しゃきしゃきもやしも台湾風ならでは。

 

うめ〜屋で困るのは、一口食べたその料理をお友達とシェアするのが惜しくなってしまうところ。全部一人で食べたくなってしまう。・・・が、シェアしてみると、今度は相手が注文したものも、やはり全部食べたくなってしまうのだ。


悩ましいまでのおいしさ。


 

セットにするとついてくる餃子。もちもちの皮の弾力にまず驚く。具はシンプルで、いかにも台湾の家庭料理といった素朴さ。それが、しみじみおいしい。

 

「もう、お腹いっぱい?まだ食べられる?うちで評判の卵焼きがあるんだけど、作ろうか?」

 

この段階ですでに、絶品の数々にことごとくハートを打ち抜かれているのだ、断るわけがない。

 

 

料理担当のお母さんも台湾人。

 

「9人兄弟の長女だからね、料理は小学校5年生の頃からやってるよ。」

 

この日、急に予約が入ったという夜の宴会のために、ミーバイも仕込んでいた。

 

仕込みが終わると、手際よく卵を割りながら、

 

「卵焼きっていうと沖縄だと塩味でしょう。うちは醤油味。」

 

たまご、醤油、ネギと、材料はやはりシンプル。油をたっぷり敷いた、もちろんこれまた普通のフライパンでものの1〜2分で焼き上がる卵焼き。

 

これが、驚くほどおいしい。材料か調理器具になにかしかけがあるのではと疑うほどおいしいのだ。味に奥行きがあって、なおかつ素朴。これぞ、台湾のお母さんの味なのだろう。アチコーコーをはふはふ言いながらほおばる幸せ。

 

うめ〜家は、隠れメニューがとにかく多い。今や一番人気の乾麺も、元は隠れメニューだったというから驚き。隠れていようがなかろうが、どれもこれも美味しいので、お客さんからの要望で隠れメニューから格上げになることが少なくないらしい。

 

 

台湾人観光客のツアーコンダクターをしていたオーナー。9・11テロで観光客が激減したことをきっかけに開店。

 

「奥さんの料理はすごいよ、本当に何を食べてもおいしいんだから。」

 

夫婦で仲良くきりもりする姿につい微笑んでしまう。

 

台湾ベースに沖縄風味が絶妙に配合されたうめ〜屋の味は「中華料理はちょっと・・・」といううちなんちゅや「沖縄料理は苦手で・・・」という観光客にもきっと受けいれられる、国境を越えたおいしさ。

 

「台湾人のお客さんたちに人気なのはビーフン。みんな必ず注文するよ。」

 

これは、明日も行くしかないか。

 


うめ〜家(うめーや)
豊見城市高安927-11
098-850-2519
open:11:00~19:00頃まで
close:火曜日午後より
・夜の宴会も承っています