出会いは必然

写真・文 沢岻久子(D’spec)

                        

 

ディ・スペック

 

どこかで会った気がする・・・
それが、ドアが開いた瞬間の第一印象でした。

 

ドアを開けてくれたのは、ディ・スペックの紹介でこの部屋に入居してくれたnayaさん。

 

実は、物件契約時に、私がご案内を担当していなかったので、私とnayaさんとは、この時が初対面。初対面と思えないこのデジャヴ感は、友人に会う時のような力みのない笑顔で迎えてくれたnayaさんのおかげか。それとも、この居心地良い空間のおかげなのか。いろいろなやり取りをしながらも、頭の中ではそんな思いがぐるぐるとしていました。

 

こんな仕事をしていると、人との出会いは毎日の事。日々誰かしらと接しているので、緊張しないと思われがちですが、実はそうでもありません。
初対面の場合、少なくとも緊張はしますし、どこか様子をみながら会話を広げていくのですが、この時ばかりはそれら全部をすっ飛ばして、打ち解けられたのです。

 

ディ・スペック

 

今回お伺いしたのは、糸満自動車学校の近くで、区画整理を外れた昔ながらの雰囲気が残る静かな港町。沖縄不動産文庫では「ROF」というタイトルで掲載した賃貸アパートの3階のお部屋です。

 

もともとは2DKだったこのお部屋。大家さんが仕切り壁や天井を取っ払い、コンクリートに直ペイントした白壁と、高い天井が特徴のこざっぱりとしたワンルーム。特に区切りのないL字型のお部屋は、家具や小物でなんとなく用途分けされ、キッチンとリビングとベットルームがゆるやかに広がります。

 

本来ならば6帖、6帖、5帖の2DKを17帖のワンルームにしたことで、それ以上の広さ見えるのは、3面採光であるがゆえの明るさが大きく影響しているのでしょう。とにかく窓の数が多く、無骨なコンクリートの白壁が光を反射してより一層明るさを引き立てます。

 

ディ・スペック

 

nayaさんとこの物件の出会いは今から2年前。
ディ・スペック事務所のお隣りにある店舗、D&DEPARTMENT沖縄で当時開催中のイベントを見に来たついでに、ディ・スペックの事務所にふらりと立ち寄ったのがきっかけでした。

 

nayaさんが探しているお部屋の条件は、糸満市で、ペットが飼えて、白壁で、天井が高くて、外人住宅のような雰囲気で、4万円台のお部屋。みんなには無理だと言われ続けた為に、この時も冷やかしと思われるだろう覚悟の上で、ディ・スペックに問合せたと言うのです。

 

一方、ディ・スペックでは、その数日前にびっくりするくらいぴったりの物件情報が入ったばかりで。写真や図面を作成して、その物件にタイトルを名付けたら、いよいよウェブサイトにアップロードしようかと準備をしていた所でした。
正直、ディ・スペックの事務所がある宜野湾市から「ROF」のある糸満市までは、お世辞にも近いとは言えません。その上、壁板や天井ぶち抜きの無骨なワンルームのニーズが糸満市にあるのかが未知数で、問合せが来るだろうか?と不安がなかった訳でもありません。

 

ところが・・・物件を公開する前に、偶然にもnayaさんが来店されたのです。

 

遠慮がちに話す彼女の条件を聞くと「そうです」「大丈夫です」「はい」「ありますよ」と、面白い程リズムよく相の手を入れる事になり、結果これ以上にはないというほどマッチしたのです。
これにはさすがに、情報を伝える側も、情報を受け取る方も驚きましたが、すぐに見学と言うことになり、あれよあれよと言う間に契約に至ったのです。

 

ディ・スペック

 

 

今振り返ってみても、こんな展開は後にも先にも経験がありません。

 

何しろ入居者募集を開始せずに、新しい情報を「現在満室」という赤字表示をする事になってしまったのです。この出来事にいちばん驚いたのは「うちのアパート、ディ・スペックさんのサイトに合うと思うんです」と掲載依頼をしてきた大家さん自身でしょう。

 

あれから2年。「ROF」の大家さんから頂いた連絡は、うちの入居者を取材したら面白いんじゃない?というnayaさんの推薦だったのです。

 

これには嬉しくなりました。オーナーと入居者のコミュニティ。入居者同士のコミュニティ。ディ・スペックとお客様のコミュニティは、ディ・スペックが望んでいた事です。始まりは物件であっても、それが徐々に人と人を繋ぐコミュニティが出来上がればどれだけいいだろう。と常々思っていたからです。

 

ディ・スペック

 

早速、取材を申し込んだnayaさんからの返答は「ありがとうございます」と、何もしないうちからお礼の言葉をいただく不思議なやり取り。
日程調整のやり取りメールを何度か繰り返す内に、お会いするのが楽しみで仕方ありませんでした。

 

本来ならば、玄関先で名刺を差し出し、ご挨拶をしながら名乗るのですが、あまりのお部屋の素敵っぷりにアレコレが気になって別の言葉が出てきました。
「このトランク!素敵ですね」
「このかごはnayaさんの手編みですか?」
「にんにくと生姜、これも大家さんから?」
「よくこんなに素敵に仕上げてくれました!」
目に見える物が、いちいち様子が良くて、甘すぎずちょうど良い感じなのです。

 

ディ・スペック

 

ディ・スペック

 

形あるものすべてに興味を持ってしまう私に共感してくれたのか、nayaさんが話します。
「私は箱物が好きでね。実際に物を入れなくても、何か入れられるような箱が好きなの」
これは工具箱なんだけど、カメラを入れているの。とベッドの上に出してくれたのは、ステンレスの薄い板が所々錆た四角い箱。

 

がらんどうの四角に、自分でサイズをあわせて切った板スポンジが、カメラとレンズ、その周辺機器を保護するように囲っています。
続けて「これね、骨董市で700円だったの」「これ、いいでしょう」「これは友達のなんですけど、私の部屋に似合うからって預かってるんです」と指差しでアレコレと説明してくれます。

 

ディ・スペック

 

ディ・スペック

 

話している途中、私の足先に冷たい物が触った?と見下ろすと、小さな鼻先で突きながら、じっと私を見上げるのは、nayaさんと一緒に暮らすフェレットのペリドット・ペッシ。止まったかと思うと、せわしなくちょろちょろと動きまわり、自分の縄張りをこなれた様子で自由に移動します。

 

「この子がいるから、ペット可という条件が第一だったんです」とペッシを抱き上げながら話す物件探しの苦労話も、今となっては笑い話の様に聞こえてきます。
糸満市で5万以下という条件でネット検索すると300件ひっかかったのが、ペット可にした途端3件に。そのすべてを見学させてもらったが、それはもうひどくて、スナックそのものみたいなものから、壁に穴が空いているようなものまで。案内してくれた不動産屋さんには「自分の娘には住んでほしくない」とまで言われたと言う。

 

「そうそう、この物件のメリットと言えば。私が長期不在の間は、大家さんがペッシの面倒を見てくれるんです」
聞いてみれば、フェレットを大家さんの家で預かるのではなく、大家さんがこの家に立ち入り、食事の世話やトイレの交換などをやってくれると言うのです。それにはさすがに驚いて、嫌じゃないですか?と聞くと、「この子が普段通りに生活できるよう、大家さんが配慮してくれて。ついでに風通しもやってくれるんで、助かっています」とむしろ嬉しそうに笑顔で語ります。

 

ディ・スペック

 

「メリットは、すべての条件を満たしている所。デメリットは、、、この自転車を担いで3階まで上がることだけかな。それ意外は本当に希望通り。お部屋が心地良いから外出しなくなって、貯金ができて、それも大きなメリット」

 

ベランダには、人工芝をひきつめてペシのお庭を作ったり、もともとブラインドが付いていたキッチンの小窓は、一本ワイヤーを張ってキッチンクロスをカーテン代わりにしたり、お手製の籐カゴを天井から吊るしたり。画になる雑貨たちを飾るだけじゃなく、ほとんどの物をきちんと道具として使っている。

 

「フランスのアトリエみたいにしたくて」と語るnayaさんは、外国製品だけを贔屓にしているのではなく、漆喰のシーサーが鎮座していたり、やちむんの食器だったり、ごちそうしてくれたお茶も沖縄の野草が配合された沖縄県産品。15年前に初めて沖縄を訪れてから、沖縄が好きになり、沖縄病になったと自ら話すとおり、沖縄に対する愛情や知識はもちろん私の何十倍もすごい。

 

ディ・スペック

 

ディ・スペック

 

日本画家だったというお祖父様の話をしながら見せてくれたモノクロの写真。
そのままテーブルとして使っている大きなトランクの上に無造作に置いただけで、様子がいいです。

 

ディ・スペック

 

沖縄生活のこと、お部屋のこと、雑貨や古道具たちのこと、ペリドット・ペッシのこと、これからの展望など、どこを切り取っても楽しんでいる様子が伝わってきて、なんだか自分が褒められた様な嬉しさが込み上げてきました。

 

取材が終わり、撮影も終えたのに、居心地の良さに長居してしまったのは言うまでもなく・・・
この出会いがデジャヴでないならば、これから友達になっちゃえばいい。という答えでスッキリしました。

 

 

「箱物が好きなんだけどね、今ではこのお部屋が大きな箱。私の収集した古道具を収める箱なんですよね」
最後に言ってくれたこの言葉を、この日のいちばんとしよう。

 

 

 

Okinawa Real Estate Libraly 沖縄不動産文庫
入居者のその後を追った「取材ノート」
Vol’20 nayaさんの場合
http://www.dspec.jp/cn59/pg825.html

 

 

籐カゴ作家でもあるnayaさんのブログ
珈琲染めのカゴ nayaの沖縄カフェ日和
http://ameblo.jp/naya-kago

 

 

ディ・スペック株式会社
Okinawa Real Estate Libraly 沖縄不動産文庫 
http://www.dspec.jp
〒901-2201沖縄県宜野湾市新城2-39-8 MIX life-style2F
tel:098 893 5015 Fax:098 894 2285

 

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沖縄不動産文庫 Okinawa Real Estate Libraly 

 

懐かしい感じがたまらない。少しくたびれているからなんだか親しみ深い。
那覇市泉崎の便利な立地で、気取らず、自分らしく暮らしましょ!
売買と賃貸の同時募集です。

 

購入しちゃって、賃貸に出すという手もありです。
オーナーになっちゃう?それとも、便利に借りちゃう?
ちょっと気になる物件たち、いろいろあります。
ディ・スペック
レトロはじめました
沖縄県那覇市泉崎
間取り:3LDK(7.2・6・6・LDK10.5)

 

■売買■レトロ、はじめました
価格:1,380万円
http://www.dspec.jp/date/pg826.html

 

■賃貸■レトロ、はじめました
賃料(月々):83,000円
http://www.dspec.jp/date/pg815.html