» LITTAI metal works(リッタイ メタルワークス)ステンレスという選択。無機質さと冷たさだけに支配されないメタルプロダクト。


 
ワゴンなし、引き出しもなし。
キッチンツールはバーに下げて見せる収納。
ビルトインの食器洗浄機やごみ箱もなし。
シンク下には黄色いバケツだけがぽつんと置かれて。
 
ステンレスのもつ存在感を巧みに引き出したキッチン。
無機質、冷たい、シンプルというイメージを覆し、
ユニークでキュート、カラフルな小物との相性も抜群なキッチンが誕生した。
 

 
ライフスタイルにこだわりを持つ人々がステンレスを選択するというケースが、確実に増えてきている。
 
「ステンレスは滅多に錆びない。
中から腐ることはなくて、表面に錆がつくことはある。
その時はスカッチ(やすり)でみがけば良いんです。
ステンレスは傷がつくから・・・というお声もありますが、
逆にその傷も良い味になります。
 
うちで使ってるステンレスは鏡みたいにピカピカなものじゃなく、
最初から細かな傷をつけた種類のものが殆ど。
だから、万が一錆びてもその傷の目に沿ってみがけば、
みがき傷は殆ど目につきません。
何より、錆びにくくて清潔っていうのが良いんです。」
 
と、LITTAIの仲地さんは語る。
 
「ステン:STAIN」とは「汚れる、さびる」、
つまり、「ステンレス:STAINLESS」は「さびない」という意味である。
 

クリックで拡大します 
 
仲地さんがもともと専門的に扱っていたのは、ステンレスではなく鉄だった。
 
「僕は長いこと遊んでいたんです。ふらふらと。
そんな折、友人が経営している設計事務所から
『内装を手伝ってくれないか』と声がかかって。
その時たまたま居合わせた業者さんがステンレスを扱っていたんです。
それからしばらくお世話になることに。
 
ステンレスと鉄とでは、扱う上で共通点もあるけれど
もちろん相違点が多い。
やり出したらやっぱり面白かったですね。
火をいれたときのひずみの出方なんて圧倒的に違う。
 
実は、もともとはステンレスにそこまで興味を持っていたわけじゃなかった。
やるとなると設備も大掛かりになるし、一人だと色々大変だと知っていたので。
 
でも、それからしばらくして知り合いから
『まだステンレスやってる?』と声かけしてもらうことが増えて。」
 
鉄の仕事と平行して、ステンレスの受注も行うようになった。
 

 

 
これまで取材で様々な店を訪れてきたが、
無骨ながら温かみも併せ持ったカーテンレールのように、
気の利いた鉄製什器を見かけると
「これ、LITTAIさんに特注で作って頂いたんですよ」
と教えてもらうことが多かった。
 
「鉄を使った仕事だと、
建築に使うような重量鉄骨ではなく、
店舗の什器や装飾、アイアン加工の門扉やてすりなどを作る事が多いですね。」
 
もちろん、依頼主はショップオーナーばかりでなく、
一般住宅のひさしから小さなフックまで、
幅広く、また種類も様々なオーダーを受け付けている。
 

 

 
素材や形は違えど、
そこにはある種の一貫性が見受けられる気もする。
見る人に「これってLITTAIさんが作ったのでは?」と思わせるような。
 
「オリジナリティは、その注文によって出したり出さなかったり。
完全に図面があがってきて『この通りに作って』と言われることもあるし、
『どういうのが良いかな?』とアイディアを求められることもあります。
 
デザイン事務所や設計事務所の方の場合はある程度図面がかたまってるのですが、
プライベートでも付き合いのある人ならお互いに案を出し合ったり。
 
だから、自分が作家なのか、それとも職人なのかと訊かれると難しい。
オリジナリティを押し出しすぎると仕事に結びつきづらい場合もあるので、
状況次第で顔を変えています。
相手のヴィジョンが固まってる時は職人に徹し、
提案してほしいときはLITTAIとして考えさせてもらってます。」
 
ステンレスの人気が出て、「職人」としての仕事も増えてきた仲地さんだが、
 
「本当は・・・アートが好きだったりするんですよ(笑)。」
 
と、内緒話をするように打ち明けてくれた。
 

 

 

 
アート(美術)にも関心がある。
多くの作品を創り、個展も開いていた。
 
独立してからは事務仕事のような雑事も増え、
ステンレス制作の依頼も多く、
以前ほどはアートに時間をさけなくなってきた。
 
「独立すればやりたいことができるようになるかと思ったら、逆(笑)。
僕だけじゃなくてみんなそうなのかもしれないけれど。
やりたいことがあって、制作する環境も整っているのに・・・
と、ジレンマに駆られることもあります。
 
歳はとる一方だし(笑)、
やっぱり、やりたいことはやらないと。
 
もちろんこの仕事が好きで、楽しんでいます。
アートをやるならプロダクトもしっかりやりたい。
というか、プロダクトは好きなんですよ。
ですから、両者をもう少しリンクできたら良いなと模索しているところです。」
 
仲地さんの作品はいずれも金属を用いているにも関わらず、
冷たさや無機質さに支配されていない所以はここにあるのかもしれない。
プロダクトを作りながら、心にはアートへの想いも秘めているから。 
 

 

事務所に隣接した工場。 
 

 

 

 
「オーダーメイド=高いっていうイメージがあると思うんですが、
一概にそうとも言えません。
大きさや種類に関わらず、どんな商品であってもしっかり話をして詰めていくと良いものができるし、余計なコストを省くこともできます。」
 
例えば、ステンレスのキッチンを作って欲しいと、
イメージを持参して仲地さんに相談しに行く。
一枚板の状態から立体物を作り出す仲地さんには、
依頼主が目指しているイメージを実現するために必要なこと、
逆にこだわりすぎてデザインの邪魔になることなどが手に取るようにわかる。
 
「だから、『この部分はわざわざこういう形をとらなくても、こうすれば簡単にできますよ』と提案すると、『あっ!なるほど』と納得してくださる。
難しい工程は手間がかかる分コストも高くついてしまう。
シンプルにすればコストも下がるし、イメージ以上の形に仕上がることもあります。」
 
製作物と依頼主の間に入るのは仲地さんただ一人。
それゆえ、依頼主のイメージが仲地さんに完全に伝わればゴールは近いし、
デザインとコストの両方を、お互いに納得しながら話を進めて行くこともできる。
 
「製作しているところを工場に見に来て頂いても良いんです。
その方が細かいところも詰めやすいですから。」
 

アイアンにカーブをつけるのもすべて手作業で。
 

 

 

 

 
「オーダーメイドといっても、何もキッチンや洗面台のような大きなものだけ扱っているわけじゃないんです。
キッチンのサイドワゴンだけ、というようなオーダーもお受けしているんですよ。
ただ、小さすぎるのは買った方が安くつくことが多いのでその点は必ずお話します。」
 
小さいもの・・・というと、例えばティッシュボックスのようなものでも?
と訊くと、
 
「オーダーを受けて作ったことありますよ、すでに(笑)。」
 
シンプルで洗練され、なおかつ温かみもあるLITTAIのステンレス製ティッシュボックス・・・
想像しただけでも欲しくなる!
値段を伺うと予想以上に手頃。
製品化して下さい!と言ってしまってから、
ああ、こうして仲地さんがアートに費やす時間が失われていくんだ、と思い至った。
 
「でもね、LITTAIのオリジナル商品は作りたいと思ってるんです。
これがLITTAIです、とお客様にちゃんとお伝えできるような
オリジナルのプロダクトを生み出したいなって。」
 

 

 

 
ある発注を、途中で再検討したことがある。
 
「自分がステンレスを扱っているからといって、
ステンレスが一番だと思ってるわけじゃないんです。
適材適所が一番気持ちいい。
だから、せっかくお話を頂いたけれど、おうち全体の雰囲気もみて、
『やめた方が良いんじゃないでしょうか?』
と提案したことがあるんです。
そしたら相手の方が 
『えー?! 仲地さんから反対されるとは思わなかった!』って。
そりゃそうですよね(笑)。
でも、どうしてもその時はお客様の提案がベストだとは思えなかったんです。
あまりにも加工費がかかる案件だったし、
『ここはそこまでこだわって価格をあげるべきところではないんじゃないでしょうか?』と。」
 
加工費がかかるということは、仲地さんにとっては売り上げが上がるということだ。
にも関わらず、客の利益を優先し、計画の見直しを提案した。
 
「とはいえ、お客様の希望はもちろん叶えたいと思っています。
ですから、ステンレスが好きな方が『総ステンレスで!』とおっしゃったら、
『雰囲気だけであれば外側だけステンレスでも十分ですよ、
内側までステンレスじゃなくても』と提案することもあります。
そうすることでコストが大幅に削減できるので。」
 
ステンレス製作だけに従事していた人ではない。
だからこそ、他の金属の良さもわかる。
注文通りにプロダクトを製作するだけでなく、
全体を見渡した上でベストな道を提案できる。
 
その実直な仕事ぶりと製品は、
私たちに「LITTAIと共に新しいインテリアの世界を見たい」と思わせる。
 

文 中井雅代

 

LITTAI metal works
宜野湾市赤道1-5-26
tel&fax 098-893-8218(仲地)
E-mail littai06@yahoo.co.jp
ブログ:http://littai.ti-da.net