P+(ピープラス)良質なプロダクトから始まるインテリアづくり

P+ ピープラス

 

「何か1つお気に入りのアイテムを見つけていただくこと。
まずはそこからスタートして、空間づくりにまで意識を広げてもらえたらと思っています」

 

「P+(ピープラス)」のオーナー・平良玄峰(はるたか)さんの言葉を聞き、ぐるりと店内を見渡す。

 

まず惹かれたのは、窓際に吊るされていたペンダントライト。富山県の真鍮ブランド「FUTAGAMI(フタガミ)」の作品だ。
落ち着いたゴールドの光を放つランプシェードは、塗装を施していない真鍮の「鋳肌(いはだ)」が美しい。
黒い円すい型のシェードは、近づいてみると複雑な色をしていることに気づく。漆ベースの塗料で着色したのちに、「おはぐろ」を擦り込んでムラを出していると言う。
いずれも、明治30年創業の老舗が培った技術を生かし、生み出した逸品だ。

 

和の古道具のような味わいがあり、どこか温かみを感じさせる。また、主張し過ぎないデザインで、どんなテイストの空間にも合いそうなところがいい。

 

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古材をパッチワークしたチェストも面白く映った。ところどころにある黒が良いアクセントになっていて、部屋の雰囲気をぴりっと引き締めてくれそうだ。
「ざくざく作りました」という態でいて、色味の違う板の配置やシンプルな取っ手・脚とのバランスなど、細部まで計算し尽くされている。

 

厳選されたアイテムを一つ一つ丁寧に見ていくと、知らぬうちに「これがうちにあったら…」と想像していた。
ここに置いてある品にはどれも、そんな力がある。

 

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「セレクトするときには、センスの良さと質の高さが両立されているかを見極めるようにしています。また、あえて特定のスタイルにはこだわっていません。どんなテイストの空間にも対応するためです。
可愛いカフェに合いそうなmini foresti(ミニフォレスティ)の照明もあれば、伝統工芸品である波佐見焼のカップもあり、ベルベットのパッチワークが面白いHALO(ハロー)のソファもあれば、真鍮でできた楊枝なんてものも。
ジャンルもスタイルもさまざまですが、デザインや素材に作り手の想いが透けて見えるものばかりですね」

 

2013年8月にオープンした「P+(ピープラス)」には、国内外から選りすぐった家具、照明、器、雑貨が所狭しと並ぶ。
平良さんはこれまで、個人住宅から店舗まで幅広く建築デザインを手掛けるだけでなく、家具や生活雑貨を含め、空間をトータルでデザインすることを提案してきた。その豊富な経験を活かし、くらしのアイテムたちをセレクトしている。

 

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「こちらの革張りのソファも、そういう物差しで選びました。
どうぞ、ちょっと座ってみてください」

 

平良さんに勧められるまま腰を下ろす。岡山県の「アカセ木工」のソファだ。
使いこめば更に味わいが増しそうな牛革が柔らかく肌に馴染み、背もたれに身体を預けると、沈みこむというよりも包まれていく感じがする。
柔らか過ぎず、硬過ぎず、このままの姿勢でぐっすり眠ってしまいそうだ。

 

「本当に良いソファは、年月を経てもシート部分がへたらないんですよ。
またアカセ木工の家具は、ウォールナットの質の良さにも定評があります。このソファのフレーム部分も、丁寧に使えば百年は保つと言われています」

 

百年という長い耐用年数に本革製とくれば、それなりのお値段なのでは…と、水を向けてみた。

 

「品質が高く、丁寧に作られたものですから、大量生産品のような価格ではご提供できません。でも有名インテリアブランドの商品のように、デザイナーの名前だけが一人歩きしているものと比べるとずっと良心的な価格です。また、『子の代、孫の代まで使えると考えたら安いぐらいだね』と言って購入されるお客様も多いですね」

 

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家具のサイズ変更など、要望がある際はメーカーとの窓口にもなってくれるとも言う。

 

「こちらのダイニングテーブルもアカセ木工のものですが、脚の位置が理由で購入を迷われているお客様がいらっしゃいました。聞けば、手持ちの椅子が4脚ちゃんと入らないとのこと。そこで私たちがメーカー側と交渉し、強度に影響しない範囲で脚を外側にずらして付けてもらったんです。
天板の長さを変更してもらうことはたまにあるのですが、脚の位置を変えるのは初めてで、話し合いも数回に渡りました。でも、私たちがセレクトした家具を心から気に入ってもらえるほど嬉しいことはないので、常にできる限りの努力はするつもりです」

 

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また、これまで培ったトータルデザインの経験を活かし、メーカーにデザインを持ち込んでコラボレートしたり、自社オリジナルの家具や照明を作ったりもしている。

 

「家を建てるときって、最終的に予算を削減されがちなのが家具・インテリアなんですよね。建物には隅々までこだわっているのに、予算が足りなくなって家具で妥協してしまうのは悲しい。ですから設計を承る際も、僕らは必ず家具・インテリアの費用まで込みでお見積もりを出すようにしているんです。
もちろん、施主様ご自身で選んでくださって構わないのですが、『オリジナルで作って欲しい』というご要望も多くて。TVボードやダイニングテーブルなど、家具のほとんどを作ることもありますが、設計段階で価値観をしっかり共有しているのでご満足頂いています。また、施主様のご友人が『同じものを作って欲しい』とご依頼くださったこともありましたね。
お気に入りの空間づくりを、家具づくりの面からもお手伝いしたいと思っています」

 

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店内には家具だけでなく、こだわって集められた器たちも並ぶ。器選びの指揮を任されている石神瑞紀さんは、「主婦目線」も大事にしていると話す。

 

「見た目の美しさはもちろんですが、日常使いできることも大切ですね。ひと目惚れして勢いで手に入れても、使いにくければ結局飾りになってしまいますから。
また、使うのに気後れするような高価なものでは意味がないので、取り入れやすい価格帯のものを中心に選んでいます」

 

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オブジェかと思いきや、真鍮製の鍋敷きだという。これも真鍮メーカー「FUTAGAMI(ふたがみ)」のもの。左から、「月」「星」「太陽」「銀河」と、それぞれに付けられた名前も美しい。真鍮は使いこむうちに緑色の深みが加わり、それも味となる。キッチンにただ置いていても絵になる品だ。

 

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長崎の焼物の町・波佐見町で生まれたブランド「HASAMI」は、日常に溶け込む器づくりに定評がある。良い意味で伝統工芸品らしくない、さりげない存在感は、たとえば北欧の食器とでも馴染んでくれそうな愛嬌を感じる。色が豊富に揃うのも魅力だ。

 

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1つの器に目を奪われた。
今にも垂れ落ちそうな水色の釉薬が、作りたてのまま時を止めたかのようで面白く、また美しい。
有田焼の陶芸家・西 隆行さんによる雫(sizuku)シリーズだ。

 

「実は、この器は置くかどうかとても迷ったんです」
と、石神さんは語る。

 

「スタッフの中でも意見が割れて。『繊細な作品だから日常使いするにはちょっと・・・』という声もありましたが、『こんなに美しいのなら、少しぐらい手入れが面倒でも俺頑張る…置きたい!』と、この器に惚れ込んだオーナーの平良が結局押し切りました(笑)。器ひとつセレクトするのにも、みんな熱くなるんです。

 

このように繊細な作品もありますので、手入れ方法などについてもしっかりお話するようにしています。例えば雫シリーズの器は、白い部分が素焼きなので色素が沈着しやすいんです。その時は、サンドペーパーをかけるとまた美しさが戻ります。
また、真鍮の製品は使い込むほど味わいが増しますが、手垢などが気になったら専用の研磨剤で磨いていただくようお話しています」

 

長年建築デザインに携わってきた平良さんが「P+(ピープラス)」をオープンさせた背景には、空間への熱い想いがある。

 

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「デザインをもっとトータルで見てほしいなーと、いつも思ってきました。
建築デザインを長くやってきて、バランスの取れた美しさが大切だと身に沁みて感じています。建物をどんなに一生懸命作りこんでも、価格重視で選んだソファひとつ置いたために、残念な空間になってしまったケースも何度も見てきました。これって、ファッションと同じだと思うんですよね。 いくら上質な服を身にまとっていても、靴に手を抜いてしまうと全てが台無しになってしまうでしょう?」

 

家や店を設計する際、平良さんはまず「その空間にどんなアイテムを置きたいですか?」と、施主に尋ねると言う。

 

「建築のこととなると話が難しくなりがちですよね。でも、好きなアイテムなら答えやすい。例えば『北欧系の椅子を置きたい』、『カントリー調のウッディーな家具が好き』、『ヴィンテージの革のソファが欲しくて』というふうに。そうやって具体例をうかがうと、一気に建物全体のイメージがつかめてくるんです。

 

箸置きひとつからでもいいんです。ご自身がどんなものが好きなのかをじっくり見極め、そこから徐々に『この箸置きだとこういうお皿が合って、こんなテーブルがしっくりきそうだな。じゃあ、キッチンの雰囲気は…』という風に意識を広げてもらいたいんですね。
面から点へと意識を向けるよりも、点から面へと向けていった方が、妥協のない良い空間がつくれるからです。

 

そこで、質の良い家具や器をじっくり見ていただくためにこの店を始めました。空間づくりを、普段のくらしの部分からお手伝いしたいんです」

 

感度の高い人たちを惹きつけている「P+」は、宜野湾店につづいて宮古店、福岡店もオープンした。

 

「宜野湾店・宮古店では、セレクトの基準として『沖縄ではほとんど見かけないもの』であることも重視しています。通りすがりに、ショーウィンドウに展示してあるイタリア製のバッグを見て、『東京か大阪でしか手に入らないと思っていたのに!』と飛び込んでこられた方もいますし、沖縄では当店でしか取り扱っていない、GILD design(ギルドデザイン)による携帯電話のカバーケース目当てに来られた方もいました。
逆に、福岡店では沖縄の作家ものも多くご紹介しているんです。

 

やっぱり、色んなものの中から選びたいじゃないですか? 県外では当たり前に知られているものが沖縄にはなかったり、もちろんその逆のケースもある。上質な選択肢を、できるだけ沢山ご提案したいと思っています」

 

P+ ピープラス
店内の一角。板をつぎはぎ状に組み合わせた大容量の収納は、P+のオリジナル家具。

 

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デニムをパッチワークして作ったチェアもオリジナルのもの。

 

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主に販売を担当している本庄桃子さん。「家具はじっくり選ぶもの。ユンタクだけでも大歓迎ですよ」。石神さんも本庄さんも、普段は設計デザインの仕事にも携わっている「空間のプロ」だ。

 

雑貨でも家具でも、お気に入りのものと暮らせるのは嬉しいことだ。眺めるだけでも気分が華やぐし、使うたびにワクワクする。
ただ、空間全体で捉えるとどうだろう?
今、うちにあるソファとテーブルは調和が取れている? 照明はどう? 妥協して買った大型家具が、部屋の雰囲気を台無しにしていない?
そう考えていくと、自分の部屋がイマイチ決まらない理由に気づいた。

 

P+ では、上質のものに触れて審美眼を養えるだけでなく、空間のプロであるスタッフからアドバイスを貰えるのも心強い。

 

店名の「P」 は、プロダクトからとっている。
日本には、優れたプロダクトが沢山ある。それをただ普段のくらしに取り入れるだけでなく、私なりの色を「+(プラス)」できたら。
そのための沢山のヒントを、P+ は教えてくれる。

 

写真 中井雅代/文 石黒万祐子

 

P+ ピープラス
P+GINOWAN
宜野湾市宜野湾3-1-2
098-894-4282
open 11:00~19:00(土日祝は20時まで)
close 不定休
HP http://pplus-lsd.jp
facebook https://www.facebook.com/ppluslsddesign
ブログ http://ameblo.jp/ppluslsddesign

 

P + MIYAKO
宮古島市平良字西里311-3
0980-79-5445
open 11:00〜20:00
ブログ http://ameblo.jp/ppluslsddesign-miyako

 

P + FUKUOKA
福岡県福岡市中央区大名1-2-36 selva西大名Ⅰ103
092-791-5722
FAX : 092-791-5822
ブログ http://ameblo.jp/ppluslsddesign-fukuoka

 

<運営会社>
LSD design co.,ltd
HP http://www.lsd-design.co.jp
Mail info@lsd-design.co.jp

 

OFFICE+SHOP
宜野湾市宜野湾 3-1-2
TEL : 098-894-4282 FAX : 098-894-4334

 

SATELLITE SHOP
宜野湾市我如古 2-8-3-1
TEL : 098-943-7975 FAX : 098-943-7976

 

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