季節を感じる日々の暮らし

文/写真 関根麻子

 
 
Shoka:
 
どんな季節にも、その季節にしか訪れない宝物のような瞬間がある。
寒くて足が冷たくて眠れない、なんて冬の夜はお気に入りのレッグウオーマーを重ねてぬくぬくホッとする喜びがあるし、
うだるような暑さの夏の日中パーラーを見つけ、ビールにするか、ぜんざいにするかを迷う喜びもある。
 
 
 
日々の暮らしのなか。
 
今ここにある季節を楽しむということ。
私は焦りんぼであるがゆえ、毎日の時間に流されそうになった時や心がざわついた時、
すっと意識するようにしている。
 
その季節その時を、五感を開いて感じながら、自分なりの楽しみ方を見つける作業を。
それを大事にしたいなと意識する。
 
 
季節を楽しむ瞬間は、衣食住を基本とした暮らしの中には、数えきれないほど転がっている。
 
ただそのたくさんある中で1つだけ選ぶとしたら、やはり私は「食」を選ぶだろう。
食材を丁寧な姿勢でこしらえ、季節にあった楽しみ方で器にそっと盛る。
そうすると、「いただきます」という言葉も何だか重みを増してくるような気がする。
 
 
 
 
 
 
 
Shoka:
 
 
台風も去って、梅雨もあと少しで明ける。
本格的な夏を前に、毎年恒例の梅ジュース作り。
ついでにすももジュースも一緒に仕込む。
 
 
梅酒は古酒状態のものがたんまりあるため、今年はジュースのみ。
ころころとまんまるなお尻に、きれいに切り込みを入れ、きび糖と交互に詰めてびっちり埋めたら、
あとは毎日振りまぜながら、おいしくなぁれと声をかける。
10日ほどでもう飲める。
 
 
食は丁寧に向き合えば向き合うほど、本当に美味しくなるものだ。
人に見られたら少し恥ずかしいが、静かに声をかけることも大事と、私の持論。
 
 
 
 
 
Shoka:
 
 
最近、金継ぎから帰ってきた安藤雅信さんの鉢器。
これに梅ジュースを氷とともに。
酒のように昼間からちびちび飲むのが、今の暮らしの中でもっとも粋なものと感じている。
つまみは、あがらさー(黒糖カステラ)
最後に、しわくちゃになった甘酸っぱい梅を、かりかりとかじるのがささやかな幸せ。
 
 
 
 
 
器選びは、季節を感じながら自分のその時の気分にあわせる。
冬は温かみを感じるざっくりした土ものの器が多く登場するが、やはり今の季節は自然と白い器やガラスが多くなる。
凛とした空気を漂わせて、涼しげな風をくれる。
 
 
Shoka:
 
ある日の朝早い時間。
これにはちみつをかけてぐるぐるかき混ぜて食べると、エネルギーがふつふつ湧きだす。
最近のお気に入り、朝の定番になりつつある。
簡単だがグレープフルーツをむく作業が、この朝食全体に気持ちをそそぐ事ができ、食べる時間を豊かにする。
実はかなりの大盛り。午前中を気持ちよくしてくれる満腹感。
 
 
姿勢が正される美しい安藤雅信さんの器に、さじは口当たりのよいフォルムと渋い錫仕上げの木漆工とけしのもの。
器選びも、丁寧に。
より豊かな時間が待っているから。
 
 
 
 
 
Shoka:
 
 
 
夏野菜ピーマン。
赤いピーマンをじっくりじっくり炒めてペーストにし、こしらえた冷たいスープ。
ゆっくりと時間をとって作るものから生まれる味は、とてもありがたい気持ちになる。
 
コロンとした薄地のヨーガンレール ババグーリの陶器に盛る。
器が手に触れれば、ひんやりと。貫入が美しい。
その季節、その気分で、お茶にも小鉢にも、カレーのルーを入れることもある。
 
ぺろりと一杯、ごちそうさま。
 
 
 
Shoka:
 
 
ハンダマサラダをおおやぶみよさんのガラスボウルに。
光を吸収し、放つ、みよさんのガラス。
冬の時期は、漆にサラダを盛る事が多かったが、今の季節、やはり涼しげでいいな。
ハンダマはもともと好きな食材であったが、鉄分豊富で女性にいいらしいと聞いてから
ほとんど毎日食べている。
 
 
 
 
 
以前読んだ本で、一人だから適当でいいやという食事の仕方を作者が怒っていた文述があった。
自分の体を大事にできない人は、他の人のことも大事に出来ないというのがその理由だった。
豪華にするとか、絶対自炊しなくてはいけないとかいうことではない。
質素でもいい、少しでもいいから、自分や誰かの手が感じられる丁寧に作られたものを「食べる」ということを楽しむ。
 
はっとした。
時間がないから今日はご飯いらないや、などと言っていた自分に猛反省した。
それからはおかゆ一杯の時も、サラダだけという朝も、料理する時間、器に盛る一瞬を意識するようになった。
もちろん楽しんで、気負い無く。
食事を丁寧に豊かにする時間をつくるよう心がけるということが、こんなにも楽しいものだとも気づいた。
 
 
 
 
Shoka:
 
 
大家さんが丹精込めて育てているうずら豆をいただき、グリーンオリーブ、ソーセージで蒸し炊き。
お酒にもよくあう。
夜は、一日ありがとうという感じで、どどーんと大皿に盛る。
 
最近我が家で一番登場の多い三谷龍二さんの白漆。
外側は黒漆だが、内側が白で微妙なグラデーションの料理に、品を与えてくれる。
三谷さんは、器が欠けたり漆がはげてきても無償でお直しをしてくれるそうだ。
そうした真摯な対応も、器と食事の関係をより豊かにしてくれる。
 
 
気持ちのよい時間をともに過ごす、料理と器。
お風呂あがりのビールも美味しい。
 
 
 
季節を楽しみ、その瞬間を楽しめる食事のありかたで。
宝物と呼べる時間がある日々の暮らし。
みなさんの食卓にも、たくさんの宝物時間が訪れますよう。
 
 

 
 
 

 
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Shoka:だより
 
Shoka:は常設展準備のため、8月までは裏方仕事。
NO BORDER,GOOD SENSE の企画展の時には県外からもたくさんのお問い合わせをいただきましたこと感謝しております。
その時には時間が無くて対応出来なかったお問い合わせに、やっと応えられる様になりました。
ブログにて、お問い合わせの多かった商品について記事をアップしています。
数は少ないのですが、通販にも対応出来るものもありますので、どうぞホームページをご覧くださいませ。
 
http://shoka-wind.com
 
 
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8月3日(金)~12日(日)
「赤木智子の生活道具店」
エッセイストで塗師 赤木明登さんのパートナーの赤木智子さんが、輪島で暮らす生活の中で出会った使い勝手のよい生活の道具たちを集めた、全国で人気の生活道具店が沖縄で初めて開催されます。
衣食住、どの分野も、こんな風だと使いやすいなあ、道具の使い手ももっと楽しく生活を支えられるんじゃない?、この人の作るこの道具は最高にいい、そんな智子さんの視線が感じられるセレクトです。
私たちもわくわく、待ち遠しいです。
 
夏の再会までは、こちらカレンド沖縄の連載と、Shoka:のブログをお楽しみ下さいませ。
 
Shoka: 田原あゆみ&関根麻子