「やがて」「あんなに」「1名、2名」これもウチナーヤマトグチ?

「うーまく〜」、「でーじ」、「あぎじゃびよ」・・・
うちなーぐちは数あれど、私の心に響くのはこんな「いかにも」なうちなーぐちではない。


標準語にも同じ表現があるのに、意味や用法が微妙に違う沖縄弁というものがある。
そんな方言が私のツボ。


例えば「正座」と「ひざまづき」。


沖縄に来たばかりのころ、
「沖縄では車が運転できないとなんにもできないよ、就職も難しいよ」
と言われ、すぐに自動車学校(=自練←この沖縄的言い回しもなかなか好き。)に通った。


担当の先生はなかなかユーモアのある先生。
講習の最後に先生が
「では、正座!」
と言う。
私たちが座っているのは椅子。


椅子の上に正座?あ、これって先生の冗談?面白〜い、あはは!


・・・笑ったのは私だけ。
周りを見回すと、みな姿勢を正して普通に椅子に座っている。


そう、沖縄において正座とは
「姿勢を正して座ること。」


この話をすると、
「え?!内地では違うの?!」
と、驚くうちなんちゅがほとんど。


本土において正座は
「膝をそろえて畳んだ座り方」
を指す。


がしかし、辞書をひくとこのどちらの意味も載っているので、沖縄での用法は誤りではないのだ。


では、「膝をそろえて畳んだ座り方」のことを沖縄ではなんと言うかというと、


「ひざまづき」


という。元は「ひざまんちゅー」と呼んでいたそうだが、これがウチナーヤマトグチ化して「ひざまづき」と言うようになったとのこと。


本土では、辞書の「ひざまづき」の欄にあるように、「両ひざを地につけて腰を伸ばした姿勢。また、その姿勢をとること」の意味で用いられることが多い。





また、沖縄では「そんなに」という言葉をあまり使わず、「あんなに」と表現する。
「あんなに」と本土で表現される場面では、沖縄でもやはり「あんなに」という。
つまり、「こそあど」言葉の「そんなに」だけが欠落し、「あんなに」が兼務しているのだ。


例えば、大好きなアーティスト(例えば)のライブを観るために、県外まで行ったという話を聞いて、


「あんなに好きなの〜?」(そんなに好きなの?)


誰かに言われた一言をずっと引きずっている友達には


「あんなに気にさんけぇー」(そんなに気にするな)


これも最初聞いた時にはちょっとびっくりした。
でも、聞いているうちに使いたくなる、使っていると、やはり慣れてくる。





これは間違いじゃないの?と思ってしまうのが、「この前、先日」などの意味で使われる
「去った」。
例えば、
「去った12月、◯◯が沖縄市役所を表敬訪問した」
など、公式な文書や声明でも用いられたりする。
本土ではもちろん、「去る」と表現するところだ。


最後に、私がもっともお気に入りな表現は「やがて」。
「ほとんど、もう少しで」という意味で用いられ、
・「やがて終わるはず」(もうすぐ終わるだろう)
・「やがて溺れよったさー」(もうちょっとで溺れるところだった)
などと用いられる。
「やがて」自体は本土でも用いられる言葉だが、使い方に微妙な沖縄独特のニュアンスが加わる。


そういう「微妙な」用法のちがいがある方言が「とっても」可愛い。
そういえば、うちなんちゅは「とても」と言わず「とっても」という場合が多い気がする。


さらに、「〜してた」ではなく、「〜していた」と、「い」を省略せずに言う(「待っていた」「怒っていた」等)とか・・・


そうそう、人数の数え方も「ひとり、ふたり」ではなく、「一名、二名」・・・


枚挙にいとまがないのですが、語尾に「さ〜」を付けるだけがうちなーぐちではないのです。
こういう「本土との違いが微妙なうちなーぐち」を、おそるおそる使ってみて、
通じると結構、快感☆
うちなんちゅとも、より親密に接することができるような気になるのは、私だけ?

やまとぅー撫子