宮古、来間、伊良部島。島を代表するオーガニック賢者に会ってきた!(後編)

宮古日記後編

 

こんにちは。同じ沖縄でも島によってこんなに雰囲気が違うんだと感動中のスタッフ、田中です。宮古、来間、伊良部島の3島をまたぐ旅。初日の宮古島では、”キッチンじゃからんだ”の、色彩と生命力に溢れたアートのような島野菜料理を堪能しました。

 

前編 宮古島キッチンじゃからんだ 小原千嘉子さん
http://calend-okinawa.com/staffdiary/miyakodiary2015-5.html

 

この後編では、小学校の校長先生を定年退職されてから、小麦栽培に挑戦されている、来間島の国仲富美男さん、そしてスパイラルハーブベラ畑でハーブとアロエを育て、その隣でこれらを使ったランチを提供している、伊良部島の近角敏通さんをご紹介しますね。

 

宮古日記後編

国仲さん(中央)。キッチンじゃからんだの千嘉子さん(右)、食と農のプロデューサー糸洲正子さんと

 

まずは、来間島代表、小麦農家の国仲富美男さんです。

 

国仲さんの夢は、来間島を無農薬の島にすること。最近はモチキビの栽培にも挑戦されていて、小麦やモチキビは当然無農薬でと、栽培方法にこだわっていらっしゃいます。小麦収穫祭にお誘いいただき、私たち一行は喜んで出かけました。

 

宮古日記後編/

 

宮古日記後編

 

「収穫祭って何するんだろ?」と、ワクワクしながら会場へ。到着すると、コスモス畑の隣に一面の小麦畑、収穫祭を告げるのぼりが見えます。国仲さんが満面の笑みで迎えてくれました。

 

「どうぞゆっくりしていって。食べていってね!」

 

わーい! 何が食べられるんだろ? ほどなくして、国仲さんの挨拶が始まり、地元ミュージシャンの演奏等が続きます。皆で賑やかに小麦の収穫を喜び合い、ほどなくして運ばれてきたものは…

 

宮古日記後編

 

小麦のミキです。玄米を発酵させたミキという飲み物が沖縄にありますが、その小麦版です。発酵の優しい酸味と小麦のまろやかさが感じられる、飲むヨーグルトに似た味わいです。

 

宮古日記後編

 

次に運ばれてきたのは、来間小麦で作ったすいとん。むんぎゅっという歯ごたえがあって、これも小麦の優しい甘みがほんのりと感じられます。

 

「しっかり捏ねないとこの歯ごたえは出ないんだよ。美味しさの秘訣は、たっぷりのカツオ節でとっただしだね」

 

調理を担当したお母さんが教えてくれました。濃い目のかつおだしがすいとんにしっかり染みて、他の具がなくても充分満足な美味しさ。溶け出した小麦でとろみがついていて、すいとんと汁の相性もバッチリです。食べ進めていると、ちくわぶが頭に浮かびました。関東ではおでんの具としてお馴染みの、弾力ある歯ごたえがたまらない、”ちくわぶ”。大好きなんです、私。

 

「この小麦でちくわぶを作って、ぜひ沖縄おでんに入れてほしい〜〜! 力強い小麦は、豚のだしとも絶対合うはず〜」

 

心の中の叫びです。最近では本島でも小麦の栽培が始まっていますが、来間島小麦で作る、来間ならではの特産品ができたらいいなと願わずにはいられません。私の好みはさておいても、です。

 

宮古日記後編

 

料理上手な友人が是非買って帰りたいと、国仲さんに直談判。しかし収穫できた分はもうないとのこと。次回の収穫は数ヶ月先になるそう。まだ販売できるほどの充分な量を収穫できないのだとか。にもかかわらず、見ず知らずの私達にまで、無料でミキやすいとんを惜しみなくたっぷりと振る舞ってくれるなんて…。

 

国仲さんの心意気に痛く感動した私たち。次の予定があるからと、後ろ髪を引かれる思いで島を後にしたのでした。

 

宮古日記後編

伊良部大橋からの眺め

 

少し早めに来間島を後にしたのは、伊良部島の近角敏通さんご夫妻のハーブベラランチを食べに行くため。小麦収穫祭に続き、この日のハイライトの1つです!

 

真新しい伊良部大橋を渡って伊良部島へ。近角さんは、かつて公民館だった場所を利用して、1組限定のレストランを営まれています。そのすぐ隣に、近角さんらが丹精込めて育てているハーブベラの畑が広がっています。

 

近角さんが、畑を案内してくださいます。1歩足を踏み入れた瞬間、ここだけ空気が違うと感じました。らせんを描くスパイラルのハーブ畑は、エネルギーが集まりやすいのでしょうか? ハーブが元々持っている力と、慈しみ育てている近角さんの愛情が重なって、パワースポットのようなのです。蝶が連れ立って、踊るように軽やかに舞っています。

 

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「好きなだけ摘んで、匂いを嗅いでみて」

 

ディル、コリアンダー、ホーリーバジル(サンスクリット語でトゥルシー)…、思い切り鼻から香りを取り込んで、体中に行き渡らせます。香りを嗅ぐだけじゃなく、葉をつまんで口に含ませたり。特にディルは、普段私が使っているものと全く違う味がしてびっくりしました。ディルの味はもちろんしっかりとするのだけど、味が尖っていないのです。独特のクセは、ほとんど感じられません。

 

スパイラル畑にはところどころに腰掛けが置いてあります。ある椅子を指し、近角さんが穏やかな口調で教えてくれました。

 

「この椅子の向いている方角は西。この先にあるインドを思いながらここに座ってるの、楽しいよ」

 

宮古日記後編

ビニールハウス内には、一面にトゥルシーが

 

宮古日記後編

 

宮古日記後編

 

トゥルシーの原産国であるインドに思いを馳せながら、焦ることなく丁寧に畑作業をされている姿が目に浮かびます。彼の地では奇跡のハーブと呼ばれるホーリーバジル、その香りを逃すまいと手に軽く握り、匂いを吸い込む近角さん。毎日しているであろうその行為を、飽きることなく今日も繰り返します。匂いを嗅ぐことが初めてかのように、「いい香りだね〜」と感動されているのです。

 

清らかで優しいホーリーバジルの香り。今後、この香りを嗅ぐたびに、近角さんを思い出しそうです。

 

宮古日記後編

 

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「準備ができましたよ」との声に、待ってましたとばかりにレストランに移動する、妙齢(?)の女子6人(笑)。

 

テーブルには、”春のヴィーガンハーブランチ・小原さま御一行様”と銘打った、この日のお品書きが置かれています。前菜3品から始まり、スープ、パン、サラダ、メイン、デザート、ドリンクまで、初体験のハーブのコース料理です! お品書きには材料も記されているので、どの料理にどのハーブが使われているのか一目瞭然。期待で胸が高鳴ります。

 

前菜。左から、わさび味のじゃがいもソテー、塩麹豆腐ローゼルソルト、パパイヤ・ラペ

 

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豆乳ヴィシソワーズ

 

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自家製ハーブペーストをディルシードのパンに載せて

 

どれも、奥様みどりさんの心尽くしの優しい味がします。1品1品が丁寧に作られていることは、見た目にも口にしてもよくわかります。特に目を引くような高価な食材が使われているわけではありません。けれど、”おいしい料理”というのは、こういう心のこもった料理だと、しみじみと感じるのです。

 

近角さんのハーブは、優しくて尖っていない味だから、料理にすうっと溶け込んでいます。けれど味わったことのない新鮮さも与えてくれるのです。例えば、前菜のじゃがいものソテーに添えられているのは、ナスタチウムの実。普段道端でよく目にするそれは、なんとわさびに似た味がするのです。醤油味の気取りのないソテーが、ナスタチウムの実でピリリとしたアクセントを纏い、食べる者を楽しませてくれます。

 

宮古日記後編

アロエベラの入ったアボカド・ポケ・サラダ

 

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メイン。上から時計周りに、ゴーヤの島豆腐キッシュ、茄子バーグ、ラタトゥイユ、雑穀ごはん

 

パンプキンムース・ローゼルコンフィチュール添え、ローゼルティー

 

いつもは姦しい6人が皆、言葉少なにじっくりと味わっていました。近角さんが手塩にかけて育てたハーブを、採りたて新鮮のまま、みどりさんが心を込めて料理し、それを口に運べるシアワセ。ありがたくて大切に箸を進めました。味覚だけでなく五感全てをフル稼働させて味わい尽くした、春のハーブ料理の数々でした。

 

宮古日記後編

 

この旅を通して、気がついたんです。美味しい料理を作る人って、農と食の距離が近いって。自ら野菜を生産している農家さんでなくても、ちゃんと野菜の栽培や生産のことまでを目配りできている人。じゃからんだの千嘉子さんだって、ハルサーさんではないけれど、普段から地元のハルサーさんと頻繁に交流されています。農と食の距離が近い人は、野菜1つとっても、ただの材料と思っていなくて、生き物のように思ってるんですよね。友人が目撃したそうです。千嘉子さんが、「かわいい〜〜」と言いながら野菜を撫でていたと。野菜を慈しむ思いがあると、野菜の扱い方や切り方が変わってきます。野菜の気持ちになって、素材を丁寧に扱うようになると思うんです。料理に愛情を込めるって、食べる人を思ってその人に対する愛情を注ぐだけではないんですね。素材に対する愛情も込めるということ。宮古、来間、伊良部の島々をまたぐ旅は、そんなことを感じた旅でした。

 

写真・文/田中えり(編集部)

 

宮古日記後編

 

 

近角さんのハーブベラランチ
NPO法人いらうゆう
宮古島士体験滞在交流施設
宮古島市伊良部長浜1657
0980-78-5150
要予約
http://www2.bbweb-arena.com/herbvera/