海燕社の小さな映画会

 

作  品 『草・つる・木の恵み』(57分)

日  時 2019/5/11(土)

場  所 沖縄県立博物館・美術館 講堂 (3F)

時  間 18:00開場、18:30開始 (19:45終了)
     ※途中入場はできません。

料  金 1,000円(要予約)
     ※当日1,100円、上映4時間前まで受付け致します。

電  話 098-850-8485(海燕社/カイエンシャ)

https://www.facebook.com/1589550734592252/videos/1681843508696307/

 

(作品解説)
冬に数メートルもの降雪を記録する白川郷では豊かな雪解け水も加わり、多彩な草木がある。
このフィルムは、その多彩な草木を活用した白川の生活文化を記録したものである。
白川郷の先人たちは自然に対する知恵を培ってきた。自然から適材をとりだすには、ふだんの
山入りの時からそれぞれの材料のある場所を目にとめておくことだという。また、材料を採取
するのに適切な時期や方法など、先人からの経験によって培われていった。

 

≪ 水辺の草 ≫
 スゲやガマは長い葉を重なり合わせて一本の草として立つ構造を持つ。その構造の見事さ。
また節がないために折れることが少なく長い繊維を持つ。これを利用して、ムシロやテンゴ
(リュック状のもの)、ハバキ(脛あて)がつくられる。

 

≪ 樹木の利用 樹皮をとるもの ≫
木質部を使うもの、木全体を使うものとがある。樹皮を使うのは、ウリハダカエデやシナノキ。
驚くほど薄い樹皮の内皮から、雨具のバンドリや背あてとなるニノモなどがつくられた。

 

≪ 木質部を薄くへいでつかうもの ≫
 しなやかで粘り強い性質をもつ樹木ハナノキが、その典型。細い板状にしたもの(ヒデ)を組み、
ヘンコという腰カゴを作る。この性質は雪に圧されては立ち上がるという環境の中で育った、
雪国の樹木ならではのものだと言われる。ヒノキ笠は捩じって笠や駕籠などの立体的な形を。
ネソ(マンサク)の潅木は合掌造り民家の結束材に利用。

 

≪ 木そのもの ≫
 割れやすさに、その樹木の持つ繊維の性質が現れた。他に、伐採後、何十年もたって樹脂の
よっていったアカマツの根からアカシという明かり材料も掘り出した。

 

≪ つる ≫
  サルナシ、マタタビなどの細いつるで、ショーケ(水切りザル)を作る。捻じ曲がりの少ない、
なるたけ真っ直ぐで節のないものを選び、それを割ってヒゴ状にして使う。竹の育ちにくい
白川ならではの、つるの利用法である。山ブドウ、マフジなどの太いつるは、主に縄や綱となった。

 

≪ 山国雪国ならではの民具 ≫
  ソリ。手ゾリは雪の斜面を一人で大木さえ運ぶことができる。フタハソリは平地用のソリ。
雪国に暮らす工夫がソリの種類を生み出した。今回の作業では、文献に残っている深い渓谷を
渉るための交通用具、「籠の渡し」を復元した。白川郷の人たちの先人への想い。草やつるや木は、
実際に生活の資をもたらしてきたばかりでなく、白川の風土に育つ植物とともに、知恵と工夫を
もって力強く生きてきた、この土地の先人の姿を伝えてくれたのである。

 

海燕社ホームページ
http://www.kaiensha.jp/theater.html