ポップでキュートなジャズ・アルバム

今年の9月にjazz in NANJOのイベントで来沖も果たした
クラブ・ジャズ・ディーヴァ青木カレン

青木カレン / voyage


幼少を海外で過ごし、
慶應義塾大学在学中に本格的に音楽活動を行い
ウランという名前でJ-POPシンガーとしてもデビューしていた事も


現在は、ラジオのパーソナリティやジャズ番組のメインキャストを務めたりと
多彩な才能を持つ彼女がジャズと出会ったのは20代も半ばの頃
たまたま耳にしたジャズに心奪われ
その日のうちにジャズクラブを検索し,
たまたまそこで行われていた
フリーセッションにヴォーカルとして参加した所スカウトされたという


青木カレンとしてデビューしたのはジャズシンガーになってから。
常に新しい事にチャレンジする彼女が今回挑戦したのは
「ヒップホップや打ち込み」といったジャズとは無縁なものばかり!
とはいえ、打ち込みと他ジャンルの融合なんていままでにもいろいろあったはず
今作が他とちょっと違うのは、打ち込みも一つの楽器と捉えて生音とセッションするように作られている所!
そのせいか打ち込みのビートがある事も気づかないくらい
リアルでライヴ感のあるアルバムに仕上がっている。


正直ジャズアルバムと言うにはだいぶPOPというか、ジャズかな?と思う曲も多いけれど、
彼女自身ジャズにこだわっているわけではなく、
ジャズを聴く入り口になれればと思いこのアルバムを作ったのだそう。

とくにオリジナル曲の「PaPiPa」「Passenger」なんてジャズというよりポップソング!
聴いていてウキウキ心躍るナンバーです。
かと思えばもう一つのオリジナル曲「Sugar Cake」は、
昔からあったかのようなジャズ・スタンダードナンバー!

もちろん、ジャズの名曲もカヴァーされていて、ジャズ・ヴォーカリスト、
フランク・シナトラの歌唱で有名な「アイヴ・ガット・ユー・アンダー・マイ・スキン」は、
アルバムの中でも雰囲気が少し違って彼女のヴォーカルも
いつにも増してクールで高貴な印象な曲。

他にライヴでの定番曲というクイーンのカヴァー
「ウィー・ウィル・ロックユー」や
ソウル・シンガーのデズリーの「ユー・ガッタ・ビー」
レディガガの大ヒット曲「ポーカーフェイス」のカヴァーも!
この曲をジャズで?!オリジナルの印象が強すぎてどうなんだろう?
なんて勝手に心配してましたが
意外にとってもジャジーでカッコいいナンバーに仕上がっています。
彼女のヴォーカルスタイルが曲毎に違うのも面白い!

キュートだったりクールだったり
ホントに同じ人が歌ってるの?!なんて思う事も。


こんなに様々なジャンルをカヴァーしているのに、なぜかしっくりくるのは
彼女自身が、ジャズに先入観があまり無かったからかも
「良い曲はいい!」
それがロックであろうとソウルであろうと歌う本人や演奏者にジャズのスピリットが入っていれば、
それはもう立派なジャズスタンダードなのだから…
そう思えるほどに違和感なくカヴァーされた曲達は、
ジャズを聴いたことのない人はもちろんそうでない人にもビビっときてもらえるはず。


彼女自身が、何気なく耳にしたのがジャズだったように
リスナーにも「この曲いいね!」「これがジャズなの!?」と気軽に聴いてもらえればいいのかもしれない。


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Shima & ShikouDUO / Poetry



今回、青木カレンのライヴに一緒に来沖するのが伊藤 志宏 (ピアノ)
彼と島裕介(trumpet,flugelhorn)からなるDUOがShima & ShikouDUO
トランペットとピアノのジャズ・ユニットとしてクラブシーンで注目のDUO
次世代のジャズなんて称される彼らのサウンドは、渋くて味わい深い大人なジャズアルバムです。




桑江成美