文/ボーダーインク 編集 池宮紀子
文・写真 安里肇栄(あさと・ちょうえい)
A5判/128頁オールカラー/定価1,785円(税込み)
発行:ボーダーインク
私は子どもの頃から花が好きだった。その頃田舎に住んでいたこともあり、少しさんぽに出かけるといろいろな花を目にした。そんな花の名前が知りたくて調べたりもしたが、分からずじまいの花も多かった。
その後、植物に詳しい理科の先生に教えてもらったり、大人になって手にした沖縄の植物図鑑などで名前を知るようになった。
昔は沖縄でタンポポを見かける事はほとんどなかったし、四葉のクローバーと言えばムラサキカタバミの事かと思っていた。そんな新しい(?)花から、誰でも知っていると思うユウナ(オオハマボウ)やブッソウゲの花まで、本当に身近な花がたくさん載っているのが、『おきなわ野山の花さんぽ』だ。花は知っているけれど名前は知らないという方も多いのでは? それまで見ていた花も名前を知ると、以外な発見があったり、ぐっと身近になったりして不思議です。
本書には普段よく見かける道ばたの花から野山の珍しい花まで294種の写真が載っていて、パラパラ頁をめくると「あっ、この花は知っている」とか「こんなきれいな花が咲いているんだ、見てみたいな」と、さんぽをしながら見ている気分になる。
種が服に付いて大迷惑なあのサシグサの本当の名前がアワユキセンダングサとか。ルリハコベの花は、よく気をつけて見ないと気づかないかもしれないぐらい小さいけれど、とてもきれいな瑠璃色をしているとか。野菜として知っているンジャナ(ホソバワダン)にどんな花が咲くか見たことがないとか。そんな新しい花との出会いを楽しめる本です。
昔の子どもたちは野山が遊び場で、そこにある植物を利用して遊んだり、おやつ代わりにしたり自然と親しんだ生活を送っていました。本書の著者も子どもの頃久米島で植物で遊んだ話や食した話がちりばめられています。専門家でなはないけれど、沖縄の自然と親しんできた著者の自然に対する優しい視線が感じられます。
毎日、歩く道ばたの植物も季節により新芽を付け、花を咲かせ、実が成ったりしています。それらの植物に目をやると、通い慣れた道も今までと違うものが見えてきます。この本を手にあなたも「花さんぽ」を始めてみませんか?
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