おもてなし料理教室 HEARTY PARTYプロの味を家庭で再現できる、レストラン主催の料理教室

HEARTY PARTY

 

県産素材をつかった創作イタリアンが評判で、予約なしでは入れないほどの人気店「コザの創作キッチン IPPEI(イッペイ)」。
その店内で行われる「おもてなし料理教室 HEARTY PARTY 」も好評で、開催日が決まるとすぐに定員に達する。

 

主宰の新崎亜子さんが教えるのは、店で出しているような本格的な味わいながら、自宅でも再現しやすい料理ばかりだ。
近所のスーパーで簡単に調達できる食材や調味料を使い、調理法にも工夫を凝らしている。

 

「おもてなし料理がテーマではありますが、素材も調理法もがちがちじゃないんです。
他の素材で代用できたり、アレンジしやすかったり。
ポイントさえしっかり押さえておけば、きちんと美味しくできる。
そんなレシピを毎回考えています。

 

今日のメニューは『ケイジャンチキン&ライス』『トマト&アボガドのタルティーヌ」』『サーモンとクリームチーズの簡単生春巻き』『メロンのスムージー』の4品。
まだまだ暑い日が続いているので、食欲が落ちている方も多いのではないかと思い、スパイスたっぷりの食欲増進メニューを考えました。

 

では、早速チキンの下ごしらえに入りましょう」

 

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「鶏もも肉をつかいます。火の通りを均一にするため、厚みのある箇所は切って開きましょう」

 

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「開いたもも肉に切り込みを入れ、フォークを使って皮に穴をあけます。こうすることで下味が染みこみやすくなるんですよ。フォークをがしがし刺しますが、怒りではなく愛をこめてね!(笑)」

 

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鶏肉を漬け込むスパイスを調合する。

 

「クミンやタイムなど、どこのスーパーにも置いてあるようなものばかりです。
すべて揃えるのが面倒なときは、ガラムマサラだけでもOK。
ガラムマサラは様々なスパイスを用いた混合香辛料なので、それだけで奥深い味わいに仕上がるのよ」

 

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塩こしょうをまぶして、しばらく置く。その間に鶏肉を漬け込むための別の材料を準備する。

 

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玉ねぎ、生姜、にんにくをすりおろす。「私はいつも、生姜は皮のまますりおろすんです。栄養が豊富に含まれているし、美容にもいいのよ」

 

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スパイス、すりおろした玉ねぎ・生姜・にんにく、レモン汁とオリーブオイルを鶏肉と一緒に袋に入れてよく揉む。そのまま30分程置いておく。

 

「朝のうちにここまで仕込んでおけば、夜は焼くだけ。昼間ゆっくり外に出られますよ。
そのときは塩・こしょうは控えめにね。漬け込む時間が長いとしょっぱくなりすぎちゃうから。

 

ついでに炊飯の準備もしておくと家に帰るのが楽しみになりますよ。
ターメリック、バター、お好みで塩を炊飯器にいれて、タイマーをセットするだけ。
水加減だけ注意してね。内釜についている規定ラインより1ミリ程水を減らすと、ケイジャンチキンによく合う硬めのライスに炊き上がります」

 

新崎さんのアドバイスには、プロとしてだけでなく忙しいひとりの主婦としての視点も生かされている。

 

「鶏肉に味がしみ込むのを待つ間、タルティーヌを作りましょう」

 

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斜めにカットしたフランスパンに、オリーブオイルをかける。

 

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トッピングのアボカドをスライスする。「できるだけ薄く、薄く、ね」

 

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「カットしたアボカドの残りを保存するときは、こんな風に元のかたちに戻してからラップをかけると、黒く変色しにくいですよ」

 

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スライスしたトマト、ピザ用チーズも乗せる。

 

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タルティーヌとはフランス式のオープンサンドのことだ。

 

「今日はアボガドとトマトをトッピングにしたけれど、季節の野菜ならなんでもOK。
乗せて焼くだけと簡単なのに華やかでおいしいので、ホームパーティーにもおすすめの一品よ」

 

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「チーズにパプリカを振ってから焼くと、焦げ目がきれいに出るのよ」

 

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「そろそろチキンに下味がついた頃ね。
今日は店の厨房にあるガスオーブンで焼きますが、一般家庭の電気オーブンを使う場合は15分ほど焼いてひっくり返し、更に10分ほど焼いてね。
オーブンがなくても、フライパンでもいけますよ」

 

さまざまなキッチン環境を想定して教えてくれるので、自宅で復習するときも困らない。

 

「チキンを焼いている間に、残りのメニューをすべて作っちゃいましょう!
まずは生春巻きの具を準備します」

 

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「タレをつけなくてもおいしく食べられるように、具にしっかり味をつけます。
オリーブ油・塩こしょう・お好みのハーブで作ったマリネ液に漬け、しばらく置いてね」

 

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生春巻きの具材にかけるクリームチーズソースは、ヨーグルトを混ぜるのがミソだ。

 

「そうすればカロリーダウンできるし、とろりとした食感になって具材と絡みやすくなるんです。
口当たりも軽くなるし、いいことずくめでしょ。

 

クリームチーズは持ちが悪いので、残ったら冷凍保存しましょう。
解凍する時はレンジで10秒くらい加熱すればOK。
ただ、飛び散ってしまうことがあるので、必ずラップをかけてね」

 

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「最近はほとんどのスーパーでライスペーパーが手に入るようになりましたね。生春巻きは手の込んだ料理に見えるかもしれないけれど、作ってみるとものすごく簡単なのよ」

 

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「ライスペーパーには裏表があります。触って確かめてから巻いてね。
ざらざらした触感の方に具材を置きます。
皆さん1つずつ巻いていただきましょうか」

 

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「まずはライスペーパーを水にさっとくぐらせます。こんな大きなボウルはなかなかありませんから、フライパンを使うと便利ですよ」

 

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巻いたときに綺麗に見えるように葉を置く。その上に具材を重ねていく。

 

「遠慮せず、たっぷり具材を置いていいわよ。
その方が、出来上がりをカットしたときに断面が綺麗に見えるから」

 

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両端をおりまげたら、手前から奥へ巻いてぎゅっとおさえる。
「そうするとペーパーがしっかりくっつくので、綺麗に巻けるんです」

 

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「ね、意外と簡単でしょう?
ライスペーパーは乾きやすいので、できたらすぐにラップをかけます。
カットするのは食べる直前。
持ち寄りパーティーなら、ラップした状態で持っていくようにしてね」

 

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生春巻きの巻き方のようにコツの必要な工程は、必ず全員に体験させ、一人ずつ丁寧に指導する。

 

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「初めての方も、皆さん上手に巻けましたね!
では、そろそろテーブルをコーディネートしましょうか」

 

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あらかじめセッティングされたテーブルを使うのではなく、生徒も一緒にゼロからコーディネートする。
料理だけでなくテーブルコーディネートが学べるのも、HEARTY PARTYの特徴のひとつだ。

 

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「これ、実は100円均一のお店で買ったものなのよ」花を活けたグラスなど、テーブルを飾る小物類にはリーズナブルなアイテムも上手に取り入れている。

 

「テーブルコーディネートの教室に参加したとき、初めてのクラスで『こんな世界があるのか!』と驚いたんです。
アイデア次第で食卓の雰囲気が変わっていくのが楽しくて。
生徒の皆さんにもその楽しさを味わって頂きたくて、教室でも取り入れています。
高価なアイテムをそろえる必要もありませんし、自宅でもぜひ実践していただきたいですね」

 

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「ちょうどタルティーヌが焼きあがりましたね。ソースをかけて仕上げましょう」

 

新崎さんが料理教室をはじめたのは2005年のことだ。

 

「料理はずっと好きだったんです。和食店でアルバイトをして、魚のさばき方を覚えたりしていました。
結婚してからは、主人の両親が営むホテルの調理場を手伝っていたのですが、もっと専門的な知識も学びたいと思い、勉強して調理師免許を取得しました。

 

けれど、そのうち子育てに追われるようになり、仕事のことなんてすっかり考えなくなってしまったんです。
毎日の料理も、時間や気持ちに余裕がなくて適当なメニューしか作らなくなって…」

 

調理師免許だけでなく、ジュニア野菜ソムリエ、食育指導士、沖縄食材スペシャリストなど、新崎さんは料理に関する数々の資格を保持している。しかし当時はまだ、自分のなかで料理が特別な存在になるとは思っていなかったという。

 

変化がおとずれたのは、次男が産まれ、さらに育児に奮闘する日々が始まったころのことだった。

 

「子ども達はもちろん可愛いけれど、自分の時間がまったく持てないことが辛くて。
そんなある日、突然『きちんと料理がしたい!』という激しい衝動に駆られたんです。そのことで自分にとって料理がどんな存在なのかがわかり、本格的に料理を仕事にしようと決めました。
人ってね、自分の時間が無くなって極限まで追い詰められると、本当にやりたいことがわかるんですよ!」

 

そこで、新崎さんは料理教室を開くことを思いついた。

 

「その頃はまだレストランを営んでいなかったので、自宅を開放して行うことにしました」

 

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スムージーに使うのは、凍らせたメロンを半解凍させたもの。「果物ならなんでもいいんですよ。冷凍しておけば傷まないので、お盆でフルーツが余った時などにもおすすめ。そのままで冷たいから氷を入れなくていいし、味も薄まらないでしょ」

 

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「牛乳とヨーグルト、はちみつをお好みで入れてミキサーにかけるだけでできあがり!」

 

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2011年、料理人である夫・盛也さんとともに「コザの創作キッチン IPPEI」をオープンさせたのを機に、料理教室も店内の一角を使って行うことにした。

 

「自宅ではなくレストランで行うからこそ生まれるメリットが沢山あるんです。

 

まず、料理を作り終わった後、生徒さんにお客様気分で試食を楽しんでいただけること。
夫にも協力してもらい、IPPEI で提供する料理と同じように盛り付け、私が席まで運びます。
料理教室でしっかり学んだあとは、お客さんとして料理を堪能し、リフレッシュしていただきたくて。
また、自分たちで作った料理だけでなく、夫が作ったスープやデザートなどの料理をもプラスしてお出ししているんですよ。

 

更に、食後の後片付けしないでいいという利点も生まれました。
厨房には業務用の食洗機を備え付けてありますからね。
料理をじっくり堪能したらサクっと帰れるので、私の教室は時間が短め。10時に始まり、遅くとも12時半には終わります。
そうしたら、午後は別の予定を入れられるでしょう?

 

育児に追われていた時期の経験から、生徒の皆さんが時間を有効活用できるようにできるだけご協力したいんです」

 

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「すべての料理が完成しましたね。では、皆さんエプロンをとって!席についてお待ちくださーい」新崎さんの一言を合図に、生徒はお客さんに早変わり。食前酒代わりのスムージーと、盛也さん手製のスープがオードブル。

 

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おしゃべりを楽しみながら料理を食べるその様子は、IPPEI のランチを楽しみに来たお客さんのよう。

 

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料理を運ぶのは新崎さんの役目。

 

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メインのケイジャンチキンが運ばれてくると、わっと歓声があがった。

 

「自分たちで作った料理が、美しい一皿になって出てくるのが嬉しいのよね」
「盛り付けもすごく参考になります。プロの技、盗んじゃうぞー!って(笑)」

 

プレートを見てうっとりした後は、チキンを口に運んで目を丸くする。

 

「材料を揉み込んで焼いただけなのに、こんなに本格的な味になるなんて!」

 

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おもてなし料理だけでなく、沖縄料理、薬膳料理、お弁当などをテーマにすることもある。
また、リクエストすれば、IPPEI で提供しているメニューを習うこともできると言う。

 

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盛也さん手製のデザート。「ティラミスは生地がベチャッとしないよう、シロップに浸す一般的な方法ではなく、生地にエスプレッソを混ぜ込んで作ったこだわりの一品です。シークワーサーシャーベットと一緒に、さっぱりとたべられますよ」

 

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「ほとんどの生徒さんがリピーターになるのよ」
と、常連さんが初参加の方に声をかけていた。

 

「先生の教えてくれるレシピは毎回美味しいし、この特別な試食タイムを一度経験したら、次も申し込まずにはいられないのよー(笑)」

 

試食タイムが終了すると、みなテキパキと身支度を整えて店を後にする。

 

「どれもこれも美味しかったー!」
「また来ますねー」

 

生徒たちのの表情はとても晴れやかだ。

 

だれかのために、おいしいご飯をつくりたい。多くの場合、みなそんな気持ちで料理教室の門を叩く。
HEARTY PEARTY はもちろん、そんな生徒の想いにしっかり応えてくれるが、それだけではない。

 

美味しい料理と、なによりも新崎さんのおもてなしの気持ちで、生徒がリフレッシュできる教室なのだ。

 

写真・文 編集部

 

おもてなし料理教室 HEARTY PARTY
おもてなし料理教室 HEARTY PARTY
沖縄市越来2-25-3
090-4536-6492
時間 10:00~12:30頃
費用 1回2500円~4000円程(使用する食材による)

 

ブログ http://heartyparty.ti-da.net

 

コザの創作キッチン IPPEI
098-939-922
open 日暮れ時~22時ころまで
close 火

 

ブログ http://kozagenjin.ti-da.net