2014 11月

まるたま

 

「実は、チップス(ポテトフライ)だけ下さいって言われると、嬉しいんですよね」

 

そんな意外なことを言うのは、フィッシュ&チップスまるたま店主、玉代勢 卓(たまよせ すぐる)さんだ。

 

「魚を食べてもらえなくなったら困るから、そんなこと言わなくていいよ(笑)」とキッパリ隣で諭すのは、奥様の藍さん。

 

「でもっ、僕は、やっぱりチップスが一番…。一番、チップスのことを考えてる。頭の中、チップスのことしかない…」

 

「もうこの人、じゃがいも大好きだから」

 

朴訥と、丁寧に言葉を選ぶように話す卓さんと、ポンポンと言葉が出てきてハキハキと明るい藍さん。そんな話すテンポも(きっと性格も)、正反対の夫婦の掛け合いが楽しい。

 

まるたま

“まるたまプレート”。フィッシュまたはチキンが選べる。チキンの唐揚げは、藍さんのお母様直伝の味付け

 

チップスだけ下さいと言われて嬉しいのは、それだけ卓さんがチップス作りに情熱を傾けているから。

 

「ポテトは自分の手間暇で、美味しくしてる。魚は、魚自体の味の美味しさってあるけど、もちろんポテトもあるんだけど、ポテトの方が、自分がうまさを引き出してる気がする。なんか自分がこだわってやってるものを食べてくれるのが、嬉しくて。『美味しい』って、『家でやってみたけど、おんなじようにできないよ』って言ってもらえるのが、嬉しくて」

 

まるたまのチップスは、ただじゃがいもを揚げただけではない。お店で出すまで何時間もかけて下準備をするのだ。

 

「じゃがいもは、1度茹でてから2度揚げするんです。朝7時から、茹でて1度揚げてっていう作業を11時くらいまでやってます。だからフィッシュ&チップスを出せるのは11時以降。揚げてから冷まして水分を飛ばす時間が必要なんで。7時からお店開けてますけど、朝まるたまメニューは、たまごサラダホットサンドだけになりますね」

 

チップス作りで1番難しいのは、意外にも茹で加減だと言う。

 

「本当は長く茹でたほうが、外はサクサク、中はふんわりで美味しいんです。でもあまり長く茹で過ぎると、湯を切るときに形が崩れてしまったりするんです。だから、形が崩れるか崩れないかギリギリのところで。今ここで上げるのがいいのか、あと30秒待とうかとか。ちょっとの差で味が違うんです。じゃがいもの種類によっても茹で時間が変わるから、茹でている間は目が離せないんですよ」

 

まるたま

 

もちろん、どの種類がチップスに適しているか、卓さんは研究済みだ。

 

「熊本のホッカイコガネという種類が一番美味しかった。外はサクサクで、中がトロッととろけるんです。他のじゃがいもは中がふんわりするけど、トロリとはならない。でもこのホッカイコガネは期間が限定されちゃって。それ以外では、男爵系がポテトフライにはいいよって言われてるけど、メークインのほうが中がもっちりして、美味しい気がする。甘い感じなんですよ。男爵とかはそこまで甘くない感じがする」

 

するとすかさず藍さんが、「じゃがいもソムリエのようでしょ(笑)」と茶々を入れる。

 

「塩加減も難しいですね。味付けは最小限にしたいから、塩は茹でるときしか入れません。小麦粉も使わないです。小麦粉をまぶして揚げると確かにサクサクになるんですよ。でも使いたくなくて。そのままのほうが絶対いい。ポテトだけで美味しくしたいんです」

 

魚にまとわせる衣も、余計なものは入れずに最小限の材料で。

 

「衣の材料もなるべく少なく、小麦粉と塩、こしょう、あとはビール。卵やベーキングパウダーは入ってないです。衣がサクサクしてるのは、ビールが入ってるから。オリオンのサザンスターです」

 

魚もチップスも、揚げるのは注文が入ってから。歯がサックサクの衣を通過すると、水分がしっかり保たれて、とってもジューシーな魚が。フワッフワで身が崩れてしまいそうに柔らかい。

 

まるたま

魚は、沖縄近海で穫れるシイラ(定期的に放射能検査を実施)か、ニュージーランド産ホキ。両方あるときは、1切れずつ

 

ここまでこだわる卓さんだから、当然フィッシュ&チップスの食べ方にもお勧めがある。

 

「まずは、チップスにモルトビネガーをかけて、ケチャップをかける。カップも用意してるんだけど、それは使わず直接ダーッとかけて。それで魚にはタルタルソース。あとコーラ。このセットが多分最強です。でも一番お勧めなのは、チップスだけとコーラ(笑)。フィッシュよりもチップス。みんなそうだと思ってた(笑)」

 

まるたま

 

卓さんは、チップス&コーラが大好きだが、もっと好きなものがある。フィッシュ&チップスサンドだ。柔らかな食パンに、フィッシュとチップス、タルタルソースが挟まっている。

 

「サンドイッチに使うチップスと、ポテトフライとして出すチップスは、同じじゃがいもだけど、使う部分が違うんですよ。サンドイッチに入れるのは、じゃがいもの端っこの細々したところで、ポテトフライとして出すのは、きれいなスティック状になる中心のところ。端っこのほうがサクサクしてて、僕は好き。自分が食べるのはいつも端っこのところです。このサンドイッチはチョーオススメ。これが一番好きかな」

 

このメニューは、パンやご飯と一緒に食べたいという客の要望から生まれたんです、と藍さん。

 

「『フィッシュとチップスだけじゃ、ご飯にならない。パンかご飯をつけてくれ』ってお客様からすごく言われて。じゃ、パンに挟んでみようかと、苦肉の策からできたオリジナルメニューなんです。私も主人も、フィッシュ&チップスって完全食だと思ってて。ポテトが主食で、それに魚がついて。これだけで、ご飯になるし、おやつにもなるし、お酒のおつまみにもなるって。だからご飯かパンをつけるのは、最初はすごく抵抗あったんですよね。でもやってみたらサンドイッチも美味しいし、ご飯にも合う。主人もまかないで、ご飯の上に魚とタルタルソース乗せて、お醤油垂らして食べてますもんね」

 

こうして、ご飯が添えられた“まるたまプレート”も生まれた。「主人は、フィッシュ&チップスで満足しちゃって、新しいメニューを開発しないから(笑)」と藍さんのアイディアだ。

 

まるたま

 

まるたま

 

「フィッシュ&チップスって、僕が住んでたニュージーランドでは、決しておしゃれなものじゃない。魚もやたらでかくて、新聞を大きく広げて、真ん中にボンって置いて、それで包むみたいな。ポテトと魚と塩、それだけ。シンプルでそれだけの方が絶対いいなと思ってる。だから飾りみたいなのも付けたくない。素っ気ないくらいがいいんです」

 

お店も同じく、おしゃれじゃないのが好きで、ちょっと鈍臭いくらいにしたいのだと言う。

 

「チップスだけとかだと小さい紙コップで出すんですけど、学生さんや近所の人たちなんかが、200円とか300円で気軽に買って、食べながら帰るような。町の駄菓子屋さんみたいな店になったらいいな」

 

実際、駄菓子屋のように小学生が通ってくる。ここ曙という土地は人との距離が近くて、子供たちもみんな人懐っこいと藍さんは目を細める。

 

「そこにウォーターサーバーがあるでしょ。近所の小学生が学校帰りに5,6人でゾロゾロとお店に入ってきて、水を飲んでるの(笑)。何度か来てて、あるとき水飲んだ後、1人の子が『えーと、チキンでも買おうかな』って、急にお客さんになっちゃって(笑)。そうやって小学生がお客さんになってくれるのは嬉しいですね。チキンって2ピースで売ってるんですけど、なぜか3ピース買いに来る子もいて。『うちね、2ピースずつなんだよー』って言っても『3ピース』って。3人兄弟なのかなと思いつつ、3ピースで売ってあげたりして」

 

1日に何度も来られる気軽さも駄菓子屋のよう。昨日は3回来てくれたお客さんがいたと嬉しそうな卓さん。いつも声をかけてくれる常連さんとのふれあいも楽しみの1つだ。

 

「隣の酒屋のお客さんがさ、ここでチップスだけを注文して、酒屋の店主とおしゃべりしながら缶ビール飲んでる。隣におじさんの席があるわけ。昨日もお店閉めようとしてシャッター下ろしてたら、『ひとつ〜!』って言われて。『はいはーい』ってチップス持って行った。隣だけは配達してます(笑)」

 

まるたま

 

卓さんがフィッシュ&チップスの店を始めた1番の理由は食べて美味しいなと思ったからだが、2番は生まれ故郷である宜野座の名産、じゃがいもを使えるからだ。

 

「勝手に宜野座のアンテナショップにする。誰にも頼まれてないけど(笑)。宜野座、じゃがいもの産地指定受けたけど、あまり知られてないでしょ。そのうち、ホッカイコガネとか紫色のじゃがいものシャドークイーンの種芋見つけて、宜野座で農家やってる父親や他の農家さんに育ててもらいたいな。あ、じゃがいも入りサーターアンダギー、食べたことあります? サクサクでフワフワでチョー美味しい。大好きで僕達の結婚式の引き出物にしたくらい。今度宜野座で見かけたら是非食べてみて下さい。ここでも出したいんだけど、反対されてるから。『揚げ物に揚げ物のスイーツはいらないんじゃない』って」

 

そう言って、藍さんを見やる(笑)。

 

宜野座出身だし、王道じゃなくてマイナー、その上ちょっと鈍臭い。これが僕の生き方だと言う卓さん。そうだとすれば、この店は、卓さんの生き方そのものだ。

 

素朴だけど、味があって、ドスンと構えていて、誰からも好感を持たれる。これが卓さんだろう。あれ、とここで気がついた。これってまるで卓さんが愛してやまない、じゃがいもそのものじゃない、と。

 

文/和氣えり(編集部)

写真/青木 舞子(編集部)

 

まるたま
fish & chips まるたま
那覇市曙2-15-12-102
098-955-2093
火〜木 7:00~20:00
金 7:00~21:00
土 9:00~21:00
日 9:00~19:00
(LOは、それぞれ閉店時間の30分前)
close 月

 

http://marutama.ti-da.net

 

2014 11月

 

宮城正享(みやぎまさたか)さんは1950年、那覇市生まれ。
1075年より山田真萬氏に師事。1990年に松田米司、松田共司、與那原正守らと県内最大級、13連房の共同登り窯「北窯」を開きます。
分厚くずっしりとした器の重みは、使い込んでいくほど手に馴染み、安心感を与えてくれます。
イッチンという泥漿や釉薬を絞り出し盛り上がった模様をつける装飾技法が美しいのも宮城さんの特徴。
力強くあたたかみ溢れる宮城正享の世界を、桜坂劇場ふくら舎にて存分にご堪能ください。

 

期間:2014/11/7(金)~11/27(木) (開店時間10:00~20:00)
場所:桜坂劇場 2F ふくら舎

 

http://www.sakura-zaka.com/  (桜坂劇場HP)

 

2014 11月

 

可愛い雑貨屋さん、わくわく体験、癒しのマッサージ&占い
おいしいフード、60店舗以上の多彩なお店が大集合。

 

移動遊園地もやってきたり
ステージでは琉球ドラゴンプロレスのプロレスショーから歌にピエロにダンスとステージパフォーマンスも目白押し。

 

キッズには先着でアイスのプレゼントがあったり「いい夫婦の日」にちなんで、仲良しご夫婦には先着でビールやステーキのプレゼントがあったり企画内容満載です。

 

今回はオレンジリボン運動を啓発している「いっさいがっ祭」と障がい児を支援している事業所のイベント「LIFE IS BEAUTIFUL FESTA」のコラボ開催となっています。

 

健常児と障がい児、そしてそのご家族みんながふれあい、楽しめる、理解し合う場所として新しいスタイルのイベントとしてたくさんの方に会場に足を運んで頂き笑顔あふれるイベントになってほしいと心より願います。

 

開催日;11月22日(火)
時間:10時~16時 
場所:うるま市石川屋内運動場

 

http://onna2010events.ti-da.net/

 

2014 11月

 

木工デザイナー 三谷龍二
陶作家 安藤雅信
ミナ ペルホネンデザイナー 皆川明
三氏による企画展「シゴトアソビ」に合わせて、トークイベントを開催します。

 

一部の人たちからはレジェンドと呼ばれているこの三氏。自分の感覚を信頼して才能を社会に差し出し続けて来た事で、今の立ち位置を築いてきました。私から見た3人は、それぞれ個性豊か、好奇心旺盛、少年のように遊び心を忘れない、様々な経験からぶれない骨太な芯を持つ、何とも人間味が溢れる人々です。その三氏による2回めのトークイベント。一体どのような展開になるのやら。
今回、集中して聴いて欲しいので、Roguiiの前にある私の実家「安里家」のリビングにての開催です。
Roguiiでの軽食付きなので、小腹を満たした後、トークは19:00からのスタートです。Roguiiは17:00から開場しています。
そして三氏のエッセンス満載の小冊子がついてきます。いろいろ乞うご期待!

 

日時:2014年11月7日(金)
場所: 安里家 (住所等詳細は参加決定後にお知らせいたします)
開場: Roguii 17:00  安里家開場 18:30  開演 19:00 ~ 20:30
参加費:Roguiiの軽食&小冊子付き 1500円

 

*〈完全予約制〉*
定員に達し次第閉め切らせて頂きます。
※当日のみShoka: は17:30にてクローズいたします。
お申込み方法
1.参加者名(全員のお名前を書いて下さい)
2.人数
3.連絡先 (代表者メールアドレス、ご住所)
4.代表者携帯電話番号
5.車の台数(駐車スペースに限りがございますので、出来る限り乗り合わせのご協力をお願いいたします)
メールのタイトルに「トークイベント参加希望」と必ず書いて下さい。
申し込み先 Shoka: スタッフ 金城&佐野
liferesource@me.comまでお問い合わせ下さい。
以下の点にご注意下さい。
◯必ずメールにてお申し込みください。
◯Shoka:の展示期間中はお子様連れも大歓迎ですが、お話に集中していただきたいことから大人のみの参加とさせていただきます。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
◯駐車スペースが限られていますため、車でいらっしゃる方はできるだけ乗り合せのご協力をお願いします。
○当日は立ち見の可能性もございます。予めご了承下さい。
○先着順で定員に達し次第、締め切りとさせて頂きます。
○ご予約のメールを頂きました後、こちらから返信を持ちまして予約完了といたします。
○2日たっても返信が届かない場合は、お手数ですが、098-932-0791 Shoka: までご連絡下さいますようお願いいたします。

 

トークイベントお知らせブログ
http://shoka-wind.com/2014/10/talkeventsigotoasobi/
暮らしをたのしむものとこと
Shoka:
http://shoka-wind.com/

 

2014 11月

 

進学前に知っておきたい、専門学校選びの大切な情報
保護者のみなさま、お子様の進路はもうお決まりになりましたでしょうか。

 

専門学校に進学を考えているお子様は、各学校の説明会などに参加し、情報を得る機会がありますが、保護者の皆様は専門学校の情報を得る機会はなかなかありません。
専門学校生活は高校生活とは大きく変化し、進路選択前、入学前に知っていれば良かった、というお話をよく耳にします。
たとえば入学金や授業料、奨学金制度、入学後の就職対策などなど。高校の先生方も、なかなか説明できない部分も多くあります。
そこで本校では進学前の不安を解消し、夢と希望を持って専門学校生活へのスタートを踏み出してもらうために、「保護者対象説明会」を開催いたします。
参加費無料となっておりますので、この機会にぜひご参加ください。

 

開催日:2014年11月8日(土)
時間:14:00~16:00
場所:専門学校那覇日経ビジネス(那覇市安里)
専門学校日経ビジネス(沖縄市諸見里) 両校同日開催

 

http://www.n-nikkei.ac.jp/notice/parents.html