アンダーソン・夏代 著 アノニマ・スタジオ ¥2,310
ここ最近、ご近所さんからの差し入れが多い。どれも新鮮な採れたての野菜。春先の野菜は瑞々しい。昨日はもらった皮つきトウモロコシを塩茹でして、バターをのせて、アルミホイルに包んで温めた。湯気の立つそれを取り出すと、一粒一粒が際立って色も鮮やか。一口齧ると実がジューシーで柔らかい。シンプルな調理でこんな幸せな気持ちになれるとは。
個人的に料理のプロセスは簡単な方が好み(腕の問題もありますが)。今回ご紹介する『アメリカ南部の家庭料理』は、表紙に打たれた「プロセス多数、求めていた味。実用アメリカ料理の本」という言葉に魅かれて手に取った。
この本の冒頭で著者も言っているように、アメリカ料理のイメージが特に美味しい、というイメージはそんなにない。それよりも量が多い、味付けが大ざっぱ、あとはとにかく「肉」!という勝手な偏見が横行している気がする。「確かにそういう部分はありますけど、家庭料理はまた別ですよ」というのがこの本のポイント。
正当なレシピ本の趣きがある大判のこの本を開いて見てみると、まずはアメリカ南部というのがどこを指すのか、丁寧な図解があり続いて目次。南部料理の説明に、それに使われる食材に調味料の紹介のページ。それを見てちょっと安心する。これなら自分でも作れそうだと。
よくありがちなのは、レシピを見て作りたいと思っても、食材などが近くのお店で手に入らず(変わったハーブの種類だとか)他で代用してなんだかな、というときがある。でもこの本で出てくる食材や調味料は、思ったほど入手が難しくなさそう。というのも、ポークチョップ、コーンブレッド、パングレービー(グレービーソース)、レモネードなどお馴染みのものもたくさん出てくるから。
前菜、スープ・サラダ、メイン、デザートといったようにコース料理順に章立てされていて、写真が大きくて見やすく、プロセスが具体的で分かりやすい。
プラス朝食・ブランチの章、コラムもあってボリュームたっぷり。ケイジャンポップコーン、バターミルクビスケット、バナナプディング、パンケーキシロップ、見てると食欲が刺激されてくる。もちろん肉料理も多数取り上げられていて、アメリカ南部(アメリカ合衆国南東部16州)が主に豚肉文化というところは沖縄に少し似ている。
ちなみに、県内のスーパーマーケットでよく見かけるEggo(うちではマヨネーズと一緒にマッシュポテトに入れます。よりクリーミーに。) 。もしやアメリカ南部製品かなと調べたら、製造元はカルフォルニア州で違った。ただし、沖縄向けに作られたブランドらしく、アメリカ国内には無いのだそう。不思議。
写真を見ているだけでも楽しい、実用的なレシピ本。これは使えます!
OMAR BOOKS 川端明美
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