– – – クラシックだけど柔らかい、そんな服が作りたくて。
今シーズンは「クラシック」をテーマにしました。
今までやったことのないテーマでもあったし、
ちょうど古い物に興味がわいた時期で。
「クラシック」と言っても、人によって解釈はそれぞれだと思うんですが、
新しく作っていくほうのクラシックを追求してみようと。
洋服の線の入りかただったり、布の地の目が伸びるようにバイアスを下の方へもっていったり、
昔の服の優れた部分を生かし、
でも古いままだと今は着られないので、
気軽に着られてリラックスできる服ってできないかな?と思って作りました。
だから、ジャケットもウールのかっちりしたタイプじゃなく、
逆に昔のスカーフの素材を探してきて、それを使って作ったり、
裾に分量をもっていって揺れるようにしたり。
「クラシック」という言葉が持つかっちりしたイメージとは逆に
リラックス感のある柔らかい雰囲気の服作りを目指しました。
– – – この世界に入ったのは、たまたま。
ショップをオープンさせて、今年の6月で2年。
服は自分がデザインしたオリジナルのものを中心に、
アクセサリーや小物類は海外ブランドが多いです。
洋服の業界に入ったのはたまたま。
高校卒業したとき、
「働きたくないなー」と思って専門学校に入りました。
特別やりたいことはなかったし、
当時から洋服は好きだったから、こういう方向で良いかなーって。
もちろん、その時は服作りのことなんて全く知りませんでした。
学校での勉強自体は大変だったけど、
面白かった部分もありました。
僕、絵を描くのは割と好きで、デザインのコンテストが結構沢山あって賞金も大きかったので
「よっしゃ!」って応募するようになったんです。
遊び半分でやりはじめたんですけど、賞もいくつかとったりして。
そういうことしているうちに、いつの間にか逃げられなくなったというか(笑)。
専門学校卒業してからアパレルメーカーで働いてたんです。
県内にある、東京コレクションにも出たりするコレクションブランドで。
もとは、学校の研修で行ったブランドでした。
当時、そのブランドが人手が足りなかったみたいで、
担任の先生に「ちょっと研修行かないか?」と言われて。
それで行ったんですけど、研修期間が終わってもバイトしたりしてたので、今も仲良くさせてもらってます。
卒業してまた別のメーカーに入ったんですけど、
そこがまた忙しくて。
コレクション期間中は毎日徹夜だし、
そこで3年くらい働きました。
それから独立したんです。
– – – 服が出来上がると、最初は一旦幻滅する(笑)。そこからの作業が楽しい。
服作りの中で一番楽しいのは、
コンセプトを決めてイメージ膨らませて、
「こういう服ができたら良いな〜」
とデザインしている時。
で、実際できあがると一旦幻滅するんですよ(笑)。
「これちょっと違うな」ってなって、
そこから理想に近づけるように修正していくんです。
頭の中に描いていた理想とは違うところで完成して終わることもあります。
理想通りにできるときと、割合的には半々くらいかな。
想像と違ったり、逆に想像超えてくる場合もあるし。
最初は、自分一人で作ってたので大体満足してたんですけど、
今は自分ができない部分を人に任せてるんで、一緒に作り上げるという感じ。
パタンナーさんや作り手さんと話し合いながら作業を進めるんですが、
僕のアイディアを相手なりに解釈してレスポンス返してくれる、
その時の想像を超えてくる感じも好きなんです。
「こういうの、どうかー?」
って提案してくれて、
「あ、それ良いっすね!」
って、コミュニケーションしながら膨らんでくる時が面白い。
– – – 理想ばかり追い求めて作ると、エゴの固まりに仕上がっちゃう
洋服はレディースが約9割。
どうしても自分はど男だから、デザインしてる段階では
「これ、本当に実際着てもらえるかな?」
っていう点がわからないときがあるので、
最終的には女性に意見をきくこともあります。
理想ばかり追い求めてると、エゴの固まりに仕上がっちゃう。
「実際はこんな服着ないよな」
みたいな。
自分で判断できるときもあるけど、できない時もある。
そういう時は、女性の意見を元に、現実のニーズに歩み寄って行くようにしています。
というのも、昔はまさに「エゴの固まり」を作っちゃってたんです(笑)。
店を出す前はフリーのデザイナーやりながらオリジナルを作って、
色んな店に卸してたんです。
でも、その時は接客もやらないもんだからお客さんの顔は全然見えてなくて。
ある日、どんな人が自分の服買ってくれてるのかなっていうことに興味がわいたんです。
当時はただ「自分の服、面白いでしょう?」みたいなことしか言ってなかったと思います。
「何がどう面白いのか」ってきかれたことがなかったから。
最近は、そういう部分をもっと突き詰めた方が面白いと思うし、
どんどん違うことをやっていこうとも思うようになりました。
見えない物から自分達の解釈で見える物へとつくりあげていきたいなって。
– – – ニーズを意識するだけではなく、こちらからの提案も。
お客さんの顔が見えるようになって、服作りの意識も変わりました。
一回買ってもらって終わり、じゃなくて、長いお付き合いにもなるし。
「期待されてる」っていうのがダイレクトに伝わってくる。
卸でやってた時は無かった感覚ですね。
「新しいの出た?」って聞いてもらえたりとか、
あと、お金を出して買うかどうかっていう最終判断も目の前で下されるので、
そういうシビアな部分もしっかり見えるのは良いと思います。
そのおかげで、
「もっと面白いことやるにはどうしたらいいかな」
って毎日探すようになりました。
お客さんからの反応は自分にとってはかなりプラスになってます。
昔は本当にエゴの固まりみたいな感じだったんで(笑)。
お客さんの声や反応の良さを意識しながらつくっている部分もありますけど、
でもそればっかりだと面白くないので、
プラス「こういうのどうですか?」っていう提案を含めてデザインするようになりましたね。
– – – 服は自分とお客様の間にあるコミュニケーションツール。だからこそメッセージ性を持たせたい。
ブランドを立ち上げて3シーズン目なので、まだまだこれからです。
行き着くラインはこれなのかなっていうのが、なんとなく見えて来た感じ。
ベーシックなのも好きなんだけど、
実際に作るのはちょっと崩れてて完成されてないような雰囲気の服。
これまではモノトーンが多かったんですが、
最近から少し他の色が入って来るようになりました。
今は来年の春夏を考えてるんですけど、ちょっと土臭くいこうかなって。
去年から藍染めも研究してて・・・。
日本ぽいものもやってみたいなって、ぱっと浮かんだんです。
これからは、シーズンごとにちゃんと自分のメッセージを打ち出していけるコレクションを目指しています。
モノを介してお客様とコミュニケーションをするわけだから、
そこには何かしらメッセージがあったほうが良いんじゃないかな、って。
そういうこと、卸やってた時の自分ならまず思いつかなかったでしょうね。
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