イギリスでも過酷な土地として知られる北海に面した東南部エセックス州、ロンドンから列車で1時間ほど、コルチェスターの町の中心から車で15分ほどのところにあるベス・チャトーガーデンを訪れました。
ここはもともと石ころだらけで地層は重い粘土質のやせた土地。
こんな不毛な土地を草や木でつくった自家製の有機肥料を混ぜ合わせ、試行錯誤しながら土壌改良をするところからはじまったそうです。その後半世紀をかけてこの美しい庭をつくり出してきたといいます。
これはベス・チャトーさんが今は亡き夫、アンドリューさんの植物への深い知識に支えられ、並々ならぬ情熱と愛情、そして自然への敬愛によるものだと知ると、この庭がよりいっそう輝いて見えました。
「世界一のプランツウーマン」として知られるベス・チャトーさん。ここにある小さな家に住み、90歳を過ぎた今でも植物に愛情と情熱を注ぎつづけています。そんな情熱は遠く沖縄に住む僕の所にも届きました。
高い生垣に開けられた小さな入り口を抜け、目の前に広がった広々とした美しい庭には「おお〜」と思わず声が出てしまうほど。
「優しさに包まれるような庭」
そんな庭を僕らの写真の腕では到底伝えることが出来ないと思いますが、
とにかく感動した風景の一コマを。
朝、早めに着いたので、あまり人がいませんでしたが、良いお天気に誘われたのでしょうね。
人がつぎから次へとやってきて、カフェでランチを楽しんだり、ナーサリーでじっくり植物を選んだりこの春先の庭を皆にこにこしながらゆっくりとした足取りで楽しんでいました。きっと何度もここに訪れている人には四季折々の発見や驚きがあるのでしょう。表情からもこの庭が好きなんだなあというのがわかります。
こんなプレートを見つけたらうれしくなりますよね。
この日はちょうど復活祭、ヒントが書かれた地図を見て、子供達は隠されたタマゴをさがし走り回っていました。
駐車場だったこの場所に、乾燥に強い植物を集めてつくられたグラベル・ガーデン(砂利の庭)
イギリスでは近年雨が少なく、半年以上の干ばつに見舞われることもあるというこの土地には、一部政府から水まき禁止区域が出るほど。水やりを一切しなくてもよい庭をつくりたいという想いから植え込む場所の土壌を改良し、エセックス州の気候に適した乾燥に強い植物を集めてつくられたグラベル・ガーデン(砂利の庭)。砂利を敷き詰めることにより雑草を生えにくくし、乾燥と雑草に水を奪われるのも防いでいます。
看板には「ここでは水やりをせず、どの植物がストレスに耐えられるか実験中です。水まき禁止区域の皆様にお役に立てればと願っています」と記されています。
ナーサリーでは2000種を超える苗が販売されているそうです。
鳥が空から降るように歌い、葉擦れの音がサラサラと聞こえ、どこにいるのかも忘れてしまうような、穏やかな時間が流れるベス・チャトーガーデン。
あまりにも気持ちよくて、気づいた時には閉門間近、二人合わせて撮った写真が735枚(笑)
もし天国というのがあるとしたらこんなところかもしれないですね。
文・写真 葉棚達也・由真
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