文 関根麻子
Shokaはごはんを食べる店ではない。
けれど、食いしん坊の私たちプラス、とってもワクワクするうつわが揃っている。
たまに家族、友人などを交えてごはん会をする。
そんなある日の風景とおはなし。
クワンソウ 固めの穂先は日干ししてお茶に、幾重にも巻かれた根元は料理に。
ごはんの、こと。
コミュニケーション。
はい。
食材とはまずそれをする。
私は沖縄に来てから
それを知った。
今まで見たことのない色とりどりで、様々な形状の野菜たち。
目ん玉ぐりぐり、お口あんぐり。
生でかじる。
うひょー!
途端、すごいスピードで心が動き出した。
何かありがたかった。
とにかくありがたかったのだ。
基礎なんぞ全くもたない、包丁の持ち方も今にも指を落としそうな私が
お店を何年か持てたのも、沖縄食材に出会えたからだと思う。
素材をじっとじっと眺め、きゅっと指先で触れ、そして想像することから始まる料理をさせてくれた。
想像してこしらえていくという作業は、とても楽しい。
私にとって心が動く恋のようなものだ。
何とも言えない渋い光を放ってます。
うつわの、こと。
食材もさることながら、料理を支えるうつわにも恋をする。
しっとりとした肌あい、いぶし銀のような表情、こちらのざらっとした子もかわいいわーなどと。
あらまぁ、相当な浮気性ですな。
そんなに数多くないうつわ達だけど、よしと出会えばこの子と添い遂げちゃいます、わたくし。
なんて、毎回思う。
うつわを好きになったのは、いつなんだろ?
食いしん坊だからかな?うーん。
実際の料理の時と、うつわを前にし出来上がったものを盛りつけるときと、若干気持ちの方向が違うように感じる。
料理をし始めると、まじめーに淡々とする方だと思うが、いざ盛りつけの段階になると、うつわがキャンパスに見えてくる。うきうきする。
昔から料理うんぬんというよりも、食事の時間というものを一番に考えていた。
質素でも簡単でも、とっても時間のかかったものでも、
食事の時間をより豊かな時間へと導いてくれるうつわは
道具だけど単なる道具ではない。
一緒にその一瞬一瞬をもり立ててくれる、たのもしいパートナーだ。
自然と楽しい会話が生まれてくる。
漆に緑がよく映えること。
蒸しただけのあつあつターンムにピリ辛ハママーチみそを添えて。
上の2点と一番上の写真は、赤木明登さんの漆皿。
2点が銀杏で、上が楡の木で作られてる。
材質によって肌合いももちろん変わり、銀杏はきめが細かいが柔らかな雰囲気。
楡は、木目が少しだけ見え隠れし、味のあるものだ。
とても使いやすい。そして、何より気持ちが自由になるうつわだと思う。
この黒いうつわたちは、6年間毎日のように使っていて、漆が焼けてきたのを最近また塗り直してもらったそうだ。
買ってもらったらそれでおしまいではなく、無料で塗り直しをしてくれる赤木さん。
こうした作家さんの姿勢にとても敬意を感じる。
すばらしいなぁ。
銀彩の八角皿は安藤雅信さん。
4月、Shokaでの展示の際には、食事会をさせていただいたのだが、
安藤さんのうつわは、まさに美しいキャンパスそのものだった。
姿勢がピンと張り、描きに描かせてもらった。
あの時のうきうきがまたよみがえってくる。
これからも続く、日常の一瞬を
とても豊かに、美しい広がりを見せてくれるうつわたち。
ここでもまた、ありがたいなぁ。
って思う。
さてさてと。
料理が出来たらすぐさまShokaの食器棚を両手でぐわーと開ける。
うつわたちがこっちを見ている。
選ぶ時がまた楽しい。
さぁさぁ、おいしいうちに盛ってくれーと。
ほかほか湯気と一緒にうつわをテーブルに運んだら
ごはんだよ!
と声をかけ、皆で手を合わせて
いっただきまーす。
赤木明登さんの展示会予定
2012年3月2日(金)~11日(日)
安藤雅信さんの展示会予定
2012年5月11日(金)~20(日)
この展示会は、安藤雅信・三谷龍二・皆川明の3氏によるコラボ展となります。
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Shokaの次回の展示会
「mina perhonen 私の中の特別に会う」
12月16日(金)~25日(日)
12:30~19:30
*展示会期間のみ営業しています*
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Shoka
住所:沖縄市比屋根6−13−6
電話:098-932-0791
HPとブログ:http://shoka-wind.com
年に10回ほど、それぞれ10日間の展示会形式でシンプルで、自然で、美しいものや、暮らしを楽しむものやことを提案しています。
Jurgen Lehl・Babaghuri・ギャルリ百草・mon Sakata・mina perhonen・Vlas Blommeなど