» MIMURI(ミムリ)目で見たものを大切に描きたい。他の人とは違う、自分だけの絵を。


 
パパイヤ、スターフルーツ、シークヮーサー、
フーチバー(よもぎ)、ネリ(オクラ)、シブイ(冬瓜)。
沖縄の果物や植物がパズルのように細やかに配置された楽しいテキスタイル。
 
「『絵を描きたい、人と違う絵を』
と思うようになったのは沖縄に戻ってきてから。
それまでは私、逃げてたんです。絵を描くことから。」
 
デザイナーのMIMURIさんの口から出てきたのは
「逃げていた」
という意外な言葉。
 

 

 
大学時代から「MIMURI」として活動を開始したが、
当初の作風は現在とはまったく異なっていたという。
 
「東京にいたときは幾何学模様ばかり描いていました。
描きたい題材も周りに見当たらなかったし、
絵の自信もなかった。
それで幾何学模様に逃げていた感じですね。
 
絵を描くようになったのは東京から故郷の石垣島に戻ってから。
石垣には描きたいものが沢山あって。
 
まずテーマを決めるんです。
例えば『海を描こう』と思ったら、
海の生き物なんかを見てばーっとスケッチをやって描き貯めておく。
 
つい描いちゃう題材は、自分が普段から目にしているもの。
石垣にいたときは周りに自然があるから
雑草や生き物を多く描いていて、
沖縄本島に引っ越して来てからは、店舗が市場の中にあったこともあって
『あ、野菜描こうやっさー、フルーツもー。』
って。
自然と目に入ってくるものを描きます。
市場ともなると、やはり沖縄を代表する食材が並ぶので、
そこから選んで。
 
色で選ぶこともあるかな。
でも、『この色合いがあったら良いかも』と思うときは
自然と沖縄産のものを選んでいたりします。
 
だから、沖縄への想いが強くて、というよりも、
実際に目にしてるから描くという感じですね。」
 
今は描きたい題材にも描くモチベーションにも困らないMIMURIさんだが、
その気持ちがしぼんでいた時期もあった。
 

 

 

 
「幾何学ばかり描いていた時は、
題材が見当たらないだけでなくて自信もなかった。
何を描いても自分の絵っていう感じがしなかったんです。
 
というのは、大学受験で一浪してるんですけど、
その時、受験用の絵を予備校で1年間びっしり描かされました。
その絵がすごくいやで。
 
『形を捉える』とか『こうでなきゃいけない』とか
『構図もこの方が受かりやすい』とか・・・
個性を抜きにしていかに上手く見せるか、という描き方がいやだったんです。
希望の大学に受かるためにしょうがないことだったかもしれませんが、
そういうことをやっているうちにどんどん絵が好きじゃなくなってしまって。
 
入学したのは絵を描くばかりの大学ではなかったので、
高校からやっていた油絵を続けていくのも違うな、
本当にやりたいことはなんだろう?と考え直しました。そして、
『私は油絵をやりたかったんじゃない、洋服を作りたかったんだ』
って思い出して。
 
昔は『テキスタイル』という言葉自体は知らなかったけれど、
自分の描いた絵が洋服になって動くっていうことが昔から『良いな〜』って思ってたんです。
布で終わらず、洋服まで仕立てるのが素敵だなって。」
 
大学ではテキスタルから衣服を制作するまでを勉強した。
 

 

 
沖縄に戻ってからは身の周りにあるものを描き始めたが、
最初から野菜や植物を描いていたわけではなかった。
 
「実は、最初は虫をよく描いてたんです。
それも蝶とかトンボみたいなのじゃなく、
みんなが嫌うような虫。ダニとか蛾とかムカデとかをいっぱい。
 
可愛く描けば、手に取ったお客さんも『可愛い!』って言ってくれるんですけど、
『その絵、ダニですよ』と言うと、『えー!』って(笑)。
 
そういうことから描くことがどんどん楽しくなってきて、
ちゃんと絵を描こう、幾何学だけじゃ面白くない、
人とは違う、自分の絵を描こうって思うようになりました。」
 

 

綿生地に特殊なペイントを施し、独特な質感に仕上げている。「よく革と間違われますが、綿素材です」 
 
MIMURIの商品は、最初は手描きだった。
 
「するとオーダーがあまりにも混んでしまって。
対応しきれなくなってお待たせしちゃうことになるので
今現在は新規のオーダーはお受け付けしていません。」
 
その後プリント生地のデザインも始めたが、
それもすぐに人気を博し、忙しさが軽減されることはなかった。
 

 
「身近にない題材を選んで描いたこともあります。
ハイエナや孔雀、見たことのないアフリカの鳥とか。

でも、そうするとちょっと『違うなー』っていう感じになるんです。
なんとなく抵抗があるというか。
目で見たものを大切に描きたいと思っていて。
 
それは沖縄のものじゃないとだめ、という意味ではなく、
ヨーロッパに行けばヨーロッパのものを描きたくなると思います。」
 

 

 
本来の夢であった洋服の制作も行った。
 
「自分のオリジナルテキスタイルで服を作れるというのは嬉しいけれど、
洋服って大変なんですよ、作るの(笑)。
やっていくうちに自分は服のパターンを起こしたりする作業は好きじゃないな、というのもわかってきたので、
誰か良い方とめぐりあったら一緒にやりたいなと思っています。」
 

 
「これからはまず、まだ納品していないオーダーの商品をしっかり仕上げたいです。
受注段階で『これを描いて』というのは既に決まっていますし、
必ずお客様の手に渡るということもわかっていますから
『これで良いか!』と適当なものは作れません。
一旦仕上がっても、納得できずに破棄してやり直すこともあり、
とても集中して制作しています。
そういう意味でもすごく良い経験になりますね。
 
でも、このままだと新規のお客様を受け付けることができないので、
ちゃんと仕上げてお渡しして、次に進みたいですね。

実はもう『これを描きたい!』っていう題材はあるし、
スランプに陥ったり行き詰まった時はこれをやろうっていうアイデアのストックもあります(笑)。」
 
 
「以前は描くことから逃げていた」というMIMURIさんだが、
現在は?と訊くと、
 
「逃げは無いですね、今は。だって楽しいから。」
 
自分だけの絵を求めて紆余曲折を経験したMIMURIさんには今、
やりたいことも描きたいものも山ほどあるという。
沖縄の枠にとらわれることのない、鳥のように自由なその感性は、
これから私たちにどういう世界を見せてくれるのだろう。
 

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