沖縄にある材料だけを使い、本場イタリアの味を教えてくれる料理教室がある。
手づくりパスタ麺の材料は、
強力粉、卵、オリーブオイル、塩。
どのスーパーでもそろう材料だ。
材料をボールに入れてよく混ぜ、表面が滑らかになるまでこねる。
先生がこねるのを見ていると簡単そうだが・・・
これがなかなか一筋縄ではいかない。
「結構、かたいんですね!」
「体重をかけて、こうやってこねるといいのよ。」
頑に身を縮めていた生地も、
徐々に気をゆるし、やわらかくなっていく。
ホールトマトは業務用の大サイズ。
にんにくをいためるオリーブオイルは、臆せずたっぷりと。
野菜を加えて炒めたら、トマトも入れて煮込む。
「煮込み終わって取り出した野菜は、
それだけでもおかずになるくらい美味しいの。
子どもも大喜びよ。」
冷蔵庫に貼られたお孫さんからの手紙。「赤木へ♡」で始まる内容にみんな爆笑、キッチンでは笑いが絶えない。
イタリアに何度も通いつめて自分のものにしたイタリアの味を、
自宅を開放して教えている赤木先生。
イタリアンマンマも顔負けの、
豪快、パワフル、チャーミング!な人柄と、きらきら輝くような笑顔。
まるで太陽のような先生だ。
名刺には「手づくりパン教室」と書いてあるが、
パンだけでなく、パスタも含め、イタリア料理も教えている。
iTunes(アイチューンズ)に入れた大好きな音楽(ほとんど洋楽!)をマッキントッシュからオーディオシステムに無線でとばし、
片手にはi-Pad(アイパッド)。
沖縄に来る前はロックバンドを組んでいた。
最先端機器もあやつるロックな料理家。なんて素敵!
次から次へと飛び出す赤木節に、生徒さんもみなトリコ
今回作るのは、甘いだけのトマトソースではなく、
スパイスががっつりきいた大人のパスタ「プッタネスカ」。
にんにく、パセリ、赤唐辛子をたっぷりのオリーブオイルで炒める。
「オイルに香りを移すような気持ちでね。」
自家製トマトソースを加えたら、
ケイパー、オリーブ、アンチョビも加え、煮詰める。
「さっ!食べようっ!」
マンマの一声にわっと歓声があがる。
引き出しからさっとクロスを取り出し、テーブルにかける。
皿を並べ、サラダを盛る。
塩、バルサミコ酢、オリーブオイルを順番にサラダにかける。
混ぜる手間もいらない、簡単で美味しいドレッシング。
アルデンテにゆであがったパスタを空鍋に戻し、手早くソースと和える。
つややかなプッタネスカ
正式名称「スパゲティ・アッラ・プッタネスカ (Spaghetti alla Puttanesca) 」の意味は「娼婦のパスタ」。
大人の女性が集まって食べるのにはもってこい。
煮込んだ野菜の旨味が凝縮されたトマトソースは、香辛料でびりりっと味が締まり、たっぷり入れたオリーブが程よいアクセントに。
「お、美味しい〜!!」
みな、その奥深い美味しさに驚きつつ、満面の笑み。
美味しいには違いないが、日本のイタリアンレストランで食べる味とはまったく違う。
もっと・・・豪快、野性的!
でも、丁寧に「きちんと」作られ、家庭の温かさががじんわり染み入る味。
一言で言えば、これぞ「イタリアンマンマの味」なのだろう。
美味しさをかみしめる生徒さん達の様子を見て微笑んでいたマンマが、
パンっと手を叩き、
「さっ!麺を作ろうっ!」
寝かせておいた生地を切り分ける。
「あ、柔らかくなってる!」「最初と全然違う〜」
「なんか・・・愛しい☆」
自分たちでこねた生地、可愛くてたまらない。
あこがれのパスタマシンで生地を伸ばす。
「あ、出てきたっ!」
「すごい!あ〜・・・感動〜!」
粉から作った愛しの生地がついに麺に。
幅が広めのタリアテッレ。
お次は生クリームのソース。
「カルボナーラはコツがあって少し難しいけれど、
このソースは最後さえ気をつければあとは簡単。」
タマネギと生ハムをオリーブオイルで炒め、味付け。
ここでしっかりと塩をふる。
一旦、火をとめて熱を冷まし、
生クリームを加えて煮詰める。
「目を離さず、火を止めるタイミングをちゃんと見極めてね。
煮詰めすぎると生クリームがただの透明の油になっちゃうから。」
あんなに小さかった生地が、こんなに沢山のタリアテッレに!
「私、タイマーは使わないのよね。」
何度か麺を口に運び、ゆで具合を確かめる。
「・・・よしっ!いってみよう!」
ここぞというタイミングで麺を取り上げ、先ほどのソースとあえる。
「卵がいっぱい入ってる手づくり麺だから、
黄色くてカルボナーラみたいに見えるわね」
しっかり腰のある、もちっとした食感のパスタ麺、
それに絡むソースは、タマネギ、ベーコン、生クリームだけで作ったとは思えない、奥深い美味しさ。
「わ・・・でーじ、美味しい!」
「今夜、絶対作ります!」
食後はたっぷり砂糖を入れて飲むエスプレッソでほっと一息。
話術に長けた先生の身の上話にみな引き込まれ、時間を忘れて大笑い!
それにしても、イタリアの家庭の味を沖縄でこれだけ美味しく再現できるとは。
もっともっと、赤木先生から学びたい。
「先生、今度はリゾット作りたいです!」
「いいわよ、いつにする?」
イタリア家庭の絶品の味に、そして、
イタリアの太陽のような先生の人柄にひかれ、
生徒たちは集まってくる。
自宅のキッチンでの料理教室なので、
人数に限りがあります。
興味のある方はメールにてお問い合わせください。
素敵なキッチンや居室の様子は、
後日、おたく訪問コーナー「家は人なり」にてご紹介します。
お楽しみに。
写真・文 中井 雅代
手づくりパンの教室
那覇市松尾
(詳しい住所等はメールにてお問い合わせください)
お問い合わせ:acaghiyoco@hotmail.com
tumblr http://angiari.tumblr.com