fleur(フルール)~ヨーロピアン ナチュラル セレクトショップ~ 生活空間や心にうるおいを与えるインテリア家具・照明・雑貨とガーデンアイテム


 
ヨーロピアンな家具やアンティーク雑貨の中に、
バランスよく配された花や緑。
ともすると非日常的な空間にもなり得そうだが、
不思議と日常からそうかけ離れた感じがせず、居心地が良い。
 
ここにあるアイテムを持ち帰ればその雰囲気を自宅でも再現できそうで、
気づくとなにか物色している。

那覇新都心安謝の「fleur(フルール)」、同じく新都心天久の「6月の庭」、
浦添の「die farbe(ディ・ファルベ)」という3店舗のオーナーでありフローリストの平識麻紀 (へしきまき)さんは、
 
「実は、最初から花屋がやりたかったわけではないんです」
 
と言う。
 

 

 
– – – アルバイトのつもりがいつしか10年 
 
「以前はスタイリストの仕事を10年ほど。
 
その前に旅行会社に1年くらい勤めていたのですが、辞め、
知り合いにアルバイトを頼まれたのが広告制作会社。
そこで2週間くらいバイトしてくれないかという話でしたが、
結局、10年近く勤めることになりました」
 
スタイリストとしてこなしていたファッションショー、ブライダルショー、各種撮影といった仕事の中で、花を使う機会も多かった。
 
「花は昔から好きではあったんです。
特に庭を見ることや庭作りに興味があり、
小さい頃から雑誌や図鑑などを見ていました。
自宅にも庭がありましたし、
思い返すとずっと興味のある分野だったようです」
 

 

 

 
– – – 退職、独立。ブライダルのオファーがきたものの…
 
仕事のなかで疑問を感じることもあったと言う。
 
「広告やイベントの仕事でスタイリストとして花を飾ったりしていたのですが、
スチールやビデオの中の世界を作ることと
生の世界を作りあげることの違いを感じ始めました。
 
また、雑誌などで見る花の業界と沖縄の状況に、
当時はだいぶ差があったようにも思います。
雑誌には載っているのに沖縄には入ってこない花も沢山あり、
『どうしてだろう?』と。
 
そういったことから、
もっとお花を勉強してみたいという気持ちに駆り立てられました」
 
会社を辞め、1年ほど休業期間をとった。
 
「今後のことをしっかり考える時間をとりたかったんです。
東京で資格をとったり、
ヨーロッパに行って花屋やインテリアショップを見たりしました。
そうしているうちに『自宅でやろう』と気持ちが固まり、
1999年に自宅で花を教えるようになり、
スタイリストの仕事もフリーで始めました」
 
独立後しばらくすると、ホテルのレセプションの花を飾って欲しいという依頼が入った。

「会場にはお客様としてブライダル関係者も何名かいらしていて、
ブラダイルの仕事のオファーを頂いたんです。
でも、最初は一度お断りしました」
 

 

 

 

 
「そんな大役を一人でこなせるのだろうか?
という不安がありました。
ブライダルの仕事には特別な緊張感があります。
人生の一大イベントで、一回きりですから。
最初に頂いたお話をお断りした後、
また別の機会に同じ会社の方からオファーを頂き、お受けすることにしました」
 
実際にやってみると、
スタイリストとして活躍していた経験も生かせることがわかった。
徐々に仕事のオファーが増え、家中が花で埋め尽くされるようになり、
店舗を構えることを決意、
浦添に「die farbe(ディファルベ)」をオープンさせた。
 

 

 

 

 
– – – 「斬新すぎる」」と、受けいれてもらえないことも
 
その3年後に「6月の庭」をオープン。
はじめのうちは、その斬新なスタイルを受けいれられない人も少なくなかったと言う。
 
「当時も今もやっていることは変わっていないのですが、
オープン当初は私たちのようなスタイルの花屋が少なく、
アレンジメント、ラッピング、リボン・・・すべてが新しすぎて理解できないととられる方もいらっしゃいました」
 
それでも中には共感し、喜んでくれる人もいた。
さらに5年後にはインテリアショップ「 fleur(フルール)」をオープン。
 
「私がこれまで見てきたパリのお店の雰囲気を再現したくて、
フランスやベルギーのテイストを織り交ぜています
当店の商品を置くだけで空間がうるおい、優しい雰囲気になるよう
商品をセレクトしています。
インテリアというトータルで考えると植物も入ってくると思うので、
花や緑もとりいれた空間を提案しています」
 

 

 

 

 
「fleur を立ち上げるときに意識したのは、
私自身が行ってみたい、
こういうところで働きたい、と思えるお店。
置いてある雑貨もそうですね。
私も自分の部屋に置きたいと思えるアイテムを選んでいます。
 
とは言え、私の好みだけだと偏りが出てしまうので、
お客様に喜んでいただけそうなものをさらにセレクトしています」
 

 

 

 
フローリストである平識さんは
「花を飾るということには、別に特別感はない」
と言う。
 
「例えばここに造花を一輪飾るのと、
生きている花を飾るのとではぜんぜん違うんです。
生花にはパワーがある。
リビングでコーヒーを飲んでいるときでも、
テーブルにグリーンがあるだけで違う。
本当にちょっとしたことですが、空気がうるおうんです。
それがあるだけで空間に付加価値がつくというか。
  
それは何も特別なことではありません。
気負ってやる必要はないのです。
花を飾る行動そのものではなく、その時の心の状態がむしろ重要です。
 
花を飾ると心もうるおうんです。
例えば水を換える時、花と向き合っている瞬間は時間が止まるんですね。
その瞬間に自分をリセットすることもできるし、気持ちが優しくなり、心に余裕が生まれます。
教室の生徒さんもよくおっしゃるんです。
『お花を飾るような私って素敵!(笑)』。
『花を飾るからおうちを掃除しよう、きれいな状態をキープしようと思える』って。
 
これはインテリア全般に言えるのではないでしょうか。
この家具や雑貨を置くにふさわしい空間にしたい、という風に」
 

 

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平識さんの話を伺ったあとすぐ、
私は自宅でほこりをかぶっていた造花を捨て、切り花を買った。
フリージアとトルコギキョウ。
2つの花瓶に分けて入れ、リビングと玄関に飾った。
生花を飾ることで得られる効果を、私は初めて実感した。
花が空間に与える影響より、心に与える影響の方が確かに大きかった。
 
花は人と違って見返りを求めない。
文句も言わず、ひたむきにただ咲こうとする。
花は鏡のようにこちらの愛情を映し返すだけ。
手をかけたぶんだけ美しく咲き、
そして、遅かれ早かれ散る。
その無償の輝きが、私たちの心を癒す。
できるだけ長く美しく咲いていられるようにと、
丁寧に世話をしたい気持ちにさせる。
 
思いやりや愛情とは本来こういうことなのかもしれない。
見返りを必要としない想い。
 
空間が変わればそこで過ごすひとの心も変わるのだと、
強く実感した。
 
シャビーな額縁を壁に一つ、
ベッドサイドにアンティークのランプを、
リビングに花を一輪…。
 
さあ、あなたの心にどんな変化があらわれるだろう?
想像以上に大きな心への影響を、
fleur のアイテムとならきっと体感できるだろう。
 

写真・文 中井 雅代

 

fleur(フルール)
那覇市安謝1丁目10-26 #101
098-860-8787
open 10:00〜19:00
close 無し
HP:http://www.d-farbe.com