丸親建設沖縄だから木造住宅。木の特質を生かし、風土に合った家づくりを

丸親建設
 
「健康は家から守られると私たちは考えています。
現在の沖縄ではRC造(=鉄筋コンクリート造)住宅が主流で、その中で育って来たひとがほとんどですから、木造が良いと言葉を尽くしても簡単にはご納得いただけないかもしれません。
 
日本の大学でRC造と木造、それぞれのケージにマウスを放った実験が行われたのですが、その生存率に大きな差が出ました。
古来、生物は木と共存してきましたし、木そのものが生きている。一方、コンクリートは人工の物質で無機質、生物にとってはどうしても不自然な住環境になってしまうため、ストレスの受け方がまったく違うんです。
 
沖縄で生まれ育ったお客様にも木造住宅の良さを体感してもらうため、モデルハウスを建ました。くらしを実体験していただくため、宿泊もできるようにしています。木造住宅の住み心地を体感してもらうには、そこで実際にご飯を食べたり眠ったりしてもらうのがいちばんじゃな
いかと考えたんです」
 
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「まず、空気のクリーンさを感じると思います。また、蓄熱傾向が強いコンクリートと違って室内が涼しい。外壁が熱を持たないのでクーラーの効きも違います。実際に木造住宅を建てられてからはクーラー自体使っていないというお客様も」
 
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一泊大人2,000円、小学生以上1,000円で宿泊体験が可能
 
丸親建設の新垣正明さんは、木造住宅の利点を一度話し始めると止まらなくなる。
以前は多くの建設会社同様、RC造住宅を主に建築していた新垣さんが木造住宅をつくり始めたきっかけは、意外にも「作り手である職人の利益確保」のためだった。
 
「現在の沖縄の住宅はRC造が主流ですが、昔は赤瓦の木造住宅がほとんどでした。
アメリカ統治を境に変わったと言われており、RC造は台風にも強いなど、うちなーんちゅにはありがたい利点も備わっています。
 
しかし、RC造は木造と比べるとどうしてもコストがかかってしまう。使用する資材が高いのです。
私たちは建築屋ですから、最初は設計事務所から発注を受けていました。しかし、RC造に特化した建築屋ばかりなので適正価格が守られにくくなってきたのです。特にバブル後のダメージは大きかったですね。
 
設計事務所は複数の工務店に見積もりを出し、だいたい7〜8社の中から選ぶことが多いのですが、どの工務店も競って値段を下げてくるのです。そうなると、どうやってコストを下げるかが問題になってくる。そこで職人の工賃を下げてしまうと、職人が職人じゃなくなってくるんです。それはなんとしてでも避けたいと感じていました。そこで、設計事務所から仕事を請け負うという流れをやめて設計士を雇い、RC造だけでなく木造住宅の建築も始めました」
 
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また、コスト削減のために、安価な資材ばかりを選択していた流れにも終止符を打った。
 
「資材というのはどんなものであっても、A品〜D品というようにそのクオリティはピンからキリまであるんです。値段もA品なら一つ二万円だけどD品なら七千円という風にまったく違う。
しかし、安いからという理由だけでいつも資材を選んでいると、それは最終的に施主のためにならない選択になってしまいます。値段が安く済んだからといって、必ずしも施主が得をするわけではないのです。そういう家づくりはしたくないといつも感じていました」
 
「健康は家から」という新垣さんの言葉にも通じるように、良い家を建てることは健康なからだづくりにも似ている。値段だけで判断してからだにとってよくない成分を多分に含んだ安価な食品ばかりを摂取していると、そのつけはいつか自分が払うことになる。すべての資材を高級仕様でそろえなければならないというわけではないが、肝となる部分で出費を惜しみ、脆弱な我が家を手に入れようという人はいないはずだ。 
 
「家の善し悪しというのは十年経ったくらいからしか判別できないんです。そのころになると技術がきっちり入っているかどうかが徐々にわかってきます。
私たちは設計も施工も自社でおこなっているので、お客様に寄り添って最初から最後まで責任をもって家づくりに携われます」
 
職人のモチベーションを維持するための努力も忘れない。
 
「美しく仕上げ、長持ちさせること。これが職人の仕事です。でも予算のない工事ばかりさせられていると、職人の意識がどうしても下がってきてしまう。釘一つとっても、ステンレスやめて鉄製に…というように、下へ下へと流れていってしまう。そうなると職人じゃなくなってしまうんです。同じ意識でいられるメンバーでいつも仕事にあたっていますし、意識が低下しないように良いモノを作るという目的を見失わないようにしています」
 
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木造住宅の良さを知る新垣さんだが、建築実績の6〜7割ほどは鉄筋住宅だと言う。
 
「高温多湿な沖縄の気候には本来木造建築の方が合うと思うんです。実際、戦前の住宅のほとんどは木造。通気性も良く、風土の特質に合った家を建てていました。
沖縄で木造住宅を選ばない人の多くは、その理由を『台風』に言及します。
しかし、今では工法が進化し、構造材や集成材も多様化しており、木造でも強度は十分あります。また、台風時の強風を受けたとき、木造住宅だと木がしなるのでインパクトを分散させる効果もあります。

木造住宅が避けられないのは音の漏れです。コンクリートに比べると気密性が弱いからです。しかし、逆に捉えるとそれは通気性が良いというメリットにもなります。空気が行き来するのでカビにも強い。鉄は気密性が高いため、外からの音だけでなく空気も遮断します。近年は『高断熱、高気密』をうたった住宅が多いのはそのため。家の外と内を完全に別の空気にしてしまうので、外の影響は受けないけれど、魔法瓶の中で生活しているような感じになります。
エアコンを頻繁に稼働させないと、壁内結露が出てカビも発生しやすくなります。
外の空気を中に取り入れて循環させながら生活する木造住宅の良さは一度体感してもらいたいですね」
 
また、丸親建設では室内の壁、床、天井で使われる木材にすべてFFC加工という技術を施している。
 
「FFC(=水溶性二量体鉄塩)を建材の組織内に浸透させることで、からだにとって有害な化学物質を分解除去します。実際にお住まいの方からは、鼻炎が治った、アトピーが改善したなどの嬉しい報告も。加工費用は40坪あたり20万円ほどと安価なのも魅力です」
 
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沖縄では「木造はシロアリが心配」という声もよく聞かれる。
 
「RC造だからといってシロアリの害と縁がないわけではありません。シロアリはコンクリートのちょっとした継ぎ目やひびからも簡単に侵入してきますし、実際沖縄でも多くのRC造住宅のシロアリ被害が報告されています。
床下を高くしたり、一階部分のみRC造にするなど、構造面からの対策もできますし、室内の木材には化学物質を使わないよう心がけていますが、土台にはしっかりと防虫処理を施します」
 
実際、木造と家度毎年訪れる台風にびくともしない赤瓦の古民家はいくつもある。
その理由は人がもぐり込めるほどの高さのある床下。湿度や温度が一定に保たれた場所にしか生息できないシロアリにとって、通気性がよく外敵にも見つかりやすい床下は決して居心地のいい場所ではないのだ。
逆に、コンクリートで覆われた気密性の高い床下は、一度入り込めば格好のすみかとなる。
 
「木造がシロアリのエサになりやすいという点は否めません。しかし、そのデメリットを補って余りあるメリットがあると思っています」 
 
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事務所に併設された「nokoto cafe」では、添加物等を使用しないカフェメニューが人気。店内には様々な材質や色合いの木材が使われ、家づくりに興味を持つ人も多数訪れる
 
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「他社で建築中の方も多くいらっしゃいますよ(笑)。実際の木材を見て触れられるので、多くの方にご利用頂きたいですね」
 
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「RC造の良さもありますし、木造のデメリットもあります。どちらを優先するか、どちらがより魅力的かはお客様によって違いますし、ご自身にご判断いただいています。
ですがどちらを建てるにしても、家づくりは何でも話せる人たちととことんやってほしいと思っています。
家づくりは普通の買物感覚ではできませんよね。お客様にも色々とご説明した上で深く知っていただく必要があります。
 
値段を重視したローコスト住宅もいいでしょう。実際私たちも『この値段の範囲でできませんか』と頼られると俄然燃えます(笑)。ただ、言われるがままの業者であってはいけないと思うんです。住むひとのことをしっかり考えて、ただコストを抑えるだけではない、こういう作り方をすれば安全に予算を下げられますよと提案できる会社でありたいと思っています」
 
家づくりに関わってもらうために、建築中であっても施主に鍵を預けているという。完成した家に対する満足度はいずれも高い。
 
「みなさん建築中のご自宅をこまめに見にいらっしゃるので、仕上がってから『なんでこんな風になったの?』ということがないんです。気になることがあればその場で指摘できますし、10年以上同じ業者・職人とともに工事に当たっていますから、施工側であるこちらのやりとりもスムーズです。
家づくりは財産づくり、失敗してほしくないからお客様にも色々知ってほしい。私たちもそのためにこれからも努力を続けます」
 

写真・文 中井 雅代

 
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有限会社 丸親建設
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