暮らしの中の旅日記 「いいお天気ですね お靴のお手入れいたしましょう」

写真/文   田原あゆみ

 
 
Shoka
Shoka
 
 
2月最後の日。
今日はとてもいいお天気でした。
 
靴のお手入れがしたいと思っていたので、朝早起きをしていざ。
 
窓を開け放して、道具を並べていたらボール好きのぽぽさんがスタンバイ。
 
・・・・
そんな目で誘わないでね。
何だか切ないわ。
 
 
さて。
 
3月1日から雪の積もっているという、厳寒の輪島へ行くことになっています。
雪の中を歩けるように、trippenのヌバックのブーツに防水を施したいと思っていたのです。
 
 
Shoka
 
こちらがお気に入りのブーツ。
牛皮の表革を起毛させたヌバック仕上げになっています。
バックスキンよりも短毛で、シルキーな感じになるのがヌバックの特徴です。
 
去年からかなり頻繁に履き、5日間の台北旅行でも毎日履いて朝から晩まで歩き通し。
今まで履いたどの靴よりも履きやすくて、疲れない、歩く旅行にもってこいの素敵な靴。
 
もう手放せません。
 
 
 
防水加工を施す前に、まずは今までの汚れを落とします。
 
Shoka
 
雨染みや、食品関係の汚れ、摩擦で毛並みが潰れてしまったカ所を発見。
まずは全体を、豚の毛や馬野家で作られたブラシで、優しくブラッシング。
埃や、小さなゴミを取り除きます。
 
そのあとに、右上の柔らかめのヌバック用のゴムスポンジで、全体を優しく擦って汚れを落とします。
このゴムブラシはかなりおすすめ。
毎回脱ぐ時に、このお手入れが出来たら、きっとかなりきれいな状態が維持出来ることでしょう。
 
このゴムで7割近くの汚れは取れそう。
 
摩擦で毛の潰れたところは、左下の天然ゴムブラシとセットになっている、スチールブラシでブラッシング。
これも状態をみながら力加減を調整しつつ、潰れた毛を起こすようにブラッシング。
 
完全には元に戻せませんが、柔らかなゴムスポンジとこのスチールブラシでケアすると結構目立たなくなってきます。
 
 
道具は大手の靴やさんや、東急ハンズその他、DIYショップにある靴のケアーコーナへいけば売っています。
 
Shoka
 
摩擦で出来た傷、大分目立たなくなっています。
 
Shoka
 
こちらは全体のブラッシングが終わった状態。
ずいぶんきれいになりました。
 
それでも少し、雨染みや、取れなかった汚れがあったので防水スプレーをかける前に、以前から試してみたかったヌバック用のクリーナで洗ってみることにしました。
ほとんどの防水スプレーは、シリコンなどを吹き付けることで革にコーティングするタイプのもの。
汚れた上からだと、汚れも一緒に封じ込めてしまいます。
 
 
革を洗うなんてちょっと勇気がいりますが、天然素材のものが見当たらず迷ったあげくに買ったこちらのクリーナーをトライ。
 
クリーナーが肌につかないように、ゴム手袋でいざ
 
Shoka
 
古布に泡を乗せて、ブーツ全体に広げていきます。
革にどんどん吸収されてゆくので、ムラにならないように全体に、手早く。
 
 
Shoka
 
 
汚れがあったところはブラシでちょこっと擦ったりしながら。
全体をクリーニング。
 
 
ぽぽさんがボールで遊んで欲しそう。
ホイ!
Shoka
 
 
 
Shoka
 
 
作業をみているのではありません。
じっと、ボールを見つめているのです。
執念の犬、ぽぽ。
 
 
 
Shoka
 
一通りクリーニングし終わったら、乾いた布で余分な液体を拭き取っていきます。
 
 
 
Shoka
 
 
 
ここまでで使った道具たち。
ブーツと一緒に乾くのを待ちます。
 
さてさてお茶を戴いて一休み。
 
 
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台湾で買ってきた中国茶用の小さなポット。
こちらは、陳正川氏という陶芸家の作品。
かなり気に入って、思い切って購入したものです。
このポットで淹れる初お茶。
 
Shoka
 
 
中国茶も日本のお煎茶と同じように、お茶は全部出し切るのがコツ。
そうすることで、二煎目三煎目とおいしく味と香りの変化を楽しめるのです。
 
 
Shoka
 
茶葉が開いて、蜂蜜のような香ばしい香りが漂う台湾の高山茶。
かなり心奪われてしまいました。
 
文化は茶とともに。
うんうん、そうだそうだ、
なんて思いながら、ほっと一息二息。
 
休憩しながら、靴の一連のお手入れの行程のことを思い出してみる。
そこで私が感じたこと。
 
うちは食器を洗う洗剤や、ケア商品も殆どが天然のもの。
なので、クリーナーの匂いや使い心地が今ひとつ辛い・・・。
ということ。
 
 
実は革製品を今までにも洗ったことがある私。
自分の使っているシャンプーとリンスで、かなりいい感じに仕上げたことがあるのです。
が、しかしヌバックは初めてということで、市販のクリーナーを恐る恐る使ってみたのでした。
 
何だか納得いかない感が募ります。
手袋しなくても使えるものがいいのではないか??
私にも地球にも優しいケア商品がないのか??
 
ネットで色々調べてみました。
どうやら、下の写真の TAPIR – タピールというブランドのシューケア商品が天然素材で作られているようです。
じっと見ていると・・・・わたしこれ知っているわ!うちにある!と、
以前探しまわって、東京の路面店で天然素材のヌバック用防水スプレーを買ったことを思い出したのです。
 
 
Shoka
 
天然素材で出来たものは、やっぱり見た目も気持ちがいい。
お花の横に置いても違和感がありません。
 
成分は蜜蝋や、天然オイル、アンモニア等。
 
タピールの創業者は、靴のケア商品に天然素材のものがないことに気づいて、昔の革のケアについていろいろと調べ手、ついにある文献からヒントを得て、このシリーズを作ったの出そう。
 
 
ヌバック用の良さそうなクリーナーはまだ見つけることが出来ずにいますが、この防水スプレーをまずは使ってみたいと思ったのです。
 
蜜蝋や、オイルはもしかしたらヌバックの起毛を潰してしまうかもしれない・・・けれど、これを使ってみたい。
考えてみたら、昔は石油系のものはなかったはず。
防水をしようと思ったら、オイルで水を弾くか、蜜蝋で塞ぐかだろう、とやはり思うのです。
 
 
 
Shoka
 
 
・・・・・庭ではぽぽがお待ちかね。
 
 
 
Shoka
 
 
私のブーツもすっかり乾いています。
 
何だか最初よりも、艶が無くなって白っぽい感じになってしまったのは、クリーナーで油分が抜けてしまったからでしょうか。
ぱさぱさな感じにちょっとしょんぼり。
 
 
が、めげて入られません。
決心して乗った船です、港につかねば。
 
TAPIRの防水スプレーに入っているオイルが、ブーツの艶と色の深みを呼び戻してくれるかもしれません。
 
ということで、もしかしたら毛が潰れてしまうかもしれないけれど、天然の防水がどのような感じに仕上るのかをみたくて、どんどん船を漕いでみたのでした。
 
 
 
TAPIRの防水スプレーは、ガス充填式ではないので、よく降った後ポンプ式の霧吹きのような感じでの吹き付けになります。
すると、どうしても霧の粒がまちまちの大きさになり思うように均一にスプレーをすることが出来ませんでした。
 
 
 
Shoka
 
こんな感じです。
 
それで、豚毛のブラシに吹き付けて、ひたすらひたすらブーツの革をブラッシング。
 
 
Shoka
 
スプレーしたり、豚毛で撫で付けたりと、かなりせっせとブラッシング。
いいのか?
自問自答しながら。
 
このスプレーは天然成分なので、香りもいいし、手についても全く気になりません。
けれど、最初に懸念していたように蜜蝋成分が、撫でた端からヌバックの毛を潰していく感覚がありました。
 
何だか革の表面が表側のような艶を帯びてきたのでした。
 
trippenの違うシューズの革に似てきたのです。
それはヌバックをオイルで仕上げた風合い。
まさしく、今私はヌバックを蜜蝋とオイルで磨いているのだな。
という感じです。
 
 
仕上がりは以下の写真。
 
 
Shoka
 
色の深みは戻りました。
しかし・・・・これは、何だか別のブーツでは?というくらいに雰囲気が変わってしまいました。
 
かっこいいような気もしますが、ヌバックのシルキーな感じが好きだった私の心は、ちょっとブレイク。
水には強くなったように見えます。
 
実際、ヌバックに防水加工をすると表革よりも水を弾くいいます。
それは、輪島に行った時に試してみましょう。
 
 
 
 
ではと、違うヌバックのブーツをブラッシングして違う防水スプレーで仕上げてみました。
みなさんの参考になりますように。 

Shoka
 
同じ手順で汚れを落として。
 

 
丁寧にブラッシングと汚れ落とし。
起毛させて、毛並みを整えます。
 
 
そして
 
 
 
Shoka
 
30cmくらい離したところから、防水スプレーを全体に均一に吹き付けていきます。
LPガスを使用しているので、必ず野外で。
製品にもちゃんと「吸い込むと有害・必ず野外で使用」と書いてあります。
 
 
Shoka
 
そして仕上がりはこちら。
ヌバックの毛は潰れていません。
ムラがあるのは、15年くらい履いているうちについてしまった雨染みや色々。
 
ふむふむ。
 
 
シルキーな風合いを残すのなら、クリーナで洗わずにブラッシングした後に防水スプレーというのが良さそうです。
 
 
みなさんがヌバックの革靴に防水スプレーをする時には、
ブーツを買ってすぐに、軽くブラッシングをした後に防水スプレーを上記のように野外で30cmのところからむらなくかける。
というのがおすすめです。
 
私のように天然素材が好きな方、一緒に情報交換しながらいいケアを探しましょうね。
私もめげずに色々試してみます。
 
 
 
 
TAPIRのスプレーは、表革に試してみたらとてもいい感じでした。
 
 
Shoka
 
吹き付けてよく馴染ませます。
こちらは香りも良くて、オイルが革を生き生きと蘇らせてくれます。
 
 
 
Shoka
 
革に張りが出て、艶もナチュラルでいい感じです。
少し位雨に降られても、心強い気がします。
 
 
今回色々試してみて思ったこと。
 
ヌバック
◯普段からのブラッシングが大切。
◯クリーナーは艶を奪ってしまうので、表示をみてリンス効果も兼ね備えているものを選ぶべし。
◯クリーナーは最後の手段。あくまでもブラッシングと、天然ゴムでのケアが大事。
◯天然素材を選んだ場合、風合いが変わることがあることを認識すること。
◯どちらを選ぶかは自己責任で判断。
 
 
 
今度クリーニングする時に試してみたいことがあります。
それは、天然成分の洗剤でクリーニングをしたらどうなるかということ。
いつか、「松の力」で試してみようと思います。
 
ネットやyoutube等で検索してみると、革製品のクリーニングが出てきます。
じゃぶじゃぶ洗って、リンスをしたり、ワックスをかけたり。
 
現代はほんと便利、色んなことを調べてトライすることが出来る。
 
私の失敗もいつかの成功につながるし、誰かの約に立つかもしれないと思ってシェアしました。
今回お手入れしたtrippenのブーツを履いて、明日から輪島へ行ってきます。
 
毛並みは変わってしまったけれど、ますます愛着の湧いたこのブーツ大切に履きますよ!
 
 
そうつぶやいた横で、ぽぽは
 
 
Shoka
 
楽しそうだね、良かったね、
 
で、そろそろ遊ぶ?
 
と。
 
 
いい陽気の一日でした。
 
 
 
 
最後に
 
Shoka
 
明日からの3日間、私はShoka:にいませんが、関根が楽しくお店番。
みなさまゆっくり遊びにいってくださいね。
 
 
 
 
 
 
 
Shoka
 
 
 
暮らしを楽しむものとこと
Shoka:
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