「手で見る 目で触る」小関康子の器

文/写真 関根麻子

 

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30日まで開催の「手で見る 目で触る」
小関康子の陶器、喜舎場智子の彫金、木漆工とけしの漆器の企画展。

 

この原稿がアップされるころは、もう始まっていることだろう。
一年以上も前からとても楽しみにしていた企画展。

 

 

 

それぞれの作家さんの今の感覚が溢れ出ている作品たち。

 

見て、触れた方の感覚もぱぁーっと開くような空気感が広がっている。
そんな予感がしています。

 

 

 

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そう、前回までの記事は木漆工とけし、喜舎場智子さんとご案内してたので
今回は陶作家小関康子さんの作品を少し紹介しますね。

 

 

 

さて、この原稿を書いている展示会前日の今日。
昼間は作家さんも一緒に会場の準備を。

 

外は打ち付ける雨、台風が海の向こうを通過中。
会場内の気温は皆の熱量であがっている。
先に到着の木漆工とけしのお二人も、喜舎場智子さんも、それぞれ自分の作品をディスプレイしながら持ち場で没頭。
台風の中無事フライトしたという小関さんも、瀬戸からもうすぐやって来る。

 

什器をよいしょよいしょと運び、たくさんの作品を箱から出し、
あっちがいいかな、こうしたらいいよと考えながら、相談しながらのディスプレイ。
そうこうしながらも、黙々と各自会場作りを進める。

 

 

 

 

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私は小関さんの陶磁器を担当。
数日前まで窯の中にいたという、できたてほやほやがぎりぎりに届く。
DM用のサンプルを見てからというもの早く他の作品が見たいと、ずっと楽しみに待ちかねていたのだ。

 

丁寧に荷をほどきながらも、かなり鼓動が波打っているのがわかる。
どきどき、どき。
高鳴る鼓動よ、沈まれ、手は震えるな!そんな声を自分にかけつつ、作業へと。

 

 

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包みを開き、驚いた。

 

丁寧で精密な象嵌のライン。
人の手で施されたものであるのに、自然界にしか存在しないような美しい色合いのグラデーションとフォルムを持つ。
何なのだろうか。
緻密に意図して出来上がる美しさと、意図しないところから生まれる美しさのバランスに、ため息がもれた。

 

 

どんな人なのだろう、どんな仕事場なのだろう、どんな表情をしてこの作品と向かい合っているのだろう。
包みをひとつひとつ開けていくたびに想像が広がってゆく。

 

 

 

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私には陶器を見る時のクセがある。
裏を表以上にじっくり見るのだ。
陶器は、高台や、器の底の仕上げがフィニッシュだと勝手に思い込んでいるからかもしれない。
なので、高台の裏まで美しく丁寧な仕事を見るととたんに嬉しくなってしまう。
この作り手に会いたい!と感じるのも、裏の美しさから思うことが多い。
小関さんの器は、裏にして飾りたいと思ったほど。

 

 

 

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もうひとつ。食いしん坊の私にとってゆずれない要素がある。
料理を盛りつける時に素敵なキャンバスになるということ。
使う側に余白を与え、想像力を駆使させてくれるもの。

 

小関さんの器はそれだけでも、風景のひとつとして日常に色を添える。
けれども、どうだろう。
器だけの時は凛とした静けさを放っていたはずが、料理を盛ったとたんいきいきと生命力を持つ。

 

使い手とともに表情が変化する器。
そんな器が私は大好きだ。

 

 

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さて、話を戻しましょう。

 

夕方に小関さんも到着。
可愛いひと。
全てを一人でこなす小関さん。
瀬戸の古い家を工房兼住まいにし、毎日毎日作品と真摯に向き合い制作し、小さな窯でこつこつと器を焼き続けているという。

 

自分一人での思いでやり続けているせいか、たまにこれでいいのかなと思う事もあるそうだが、
Shoka:に着いて皆で話をしていた後に「意見を言ってくれると安心するし、何だか嬉しいです」と一言が。
それを聞いて私も嬉しくなった。
と同時に、沖縄のたくさんのみなさんにも見てもらいたいと強く思った。

 

 

 

小関さんの内面に在るものを、今の瞬きの中にこつこつと生み出す。
きっと美しい光景なのだろうな、とその瀬戸の工房に思いを馳せてみた。

 

 

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今回は、3組の作家の展示。
ひとつの会場を使ってのディスプレイだったので、準備する前は少し悩むのかなと思っていたら、全くその心配はいらなかった。
それぞれの個がしっかりあるのに、一つの絵のようにしっくりと収まったのだ。

 

日常使いの道具を作る上で、感覚的なうつくしさと一緒に、機能性も追求する3組の作品だからだろうか。

 

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ディスプレイも終了。
今Shoka:は皆様をお迎えすべく、楽しく素敵な空間になっています。
開催がとても楽しみなのは、いらっしゃる方々より私達なのではと感じてしまうほど。

 

 

 

私達の感覚も広がってゆく。
想像力がむくむくと湧いてくる。

 

日常使いの道具、器とアクセサリーを集めた道具展。
「手で見る 目で触る」は30日まで。

 

 

 

光溢れる夏のShoka:へと、どうぞみなさま遊びに来て下さい。

 

 

 

 

 

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手で見る 目で触る
6月21日(金)~30日(日)12:30~19:00
手で見るように素材を感じ、目で触るようにフォルムを探す
ものを作ることが人生そのもののように暮らしている作家たち
思わず触れたくなるような肌の器を生み出す小関康子の陶器
ウイットとユーモアのある作品をつくる彫金作家喜舎場智子のアクセサリーとモビール
暮らしに寄り添う素材と形を追求する木漆工とけしの漆器たち
様々な感覚を楽しむ暮らしの道具たちが Shoka: へやってきます。

 

 

今回の企画展は、何だか不思議なタイトルです。
けれど、もしかしたら私たちが何かに意識を集中している時、自然とやっていることではないでしょうか。

 

お料理をする時に、素材を感じて何を作ろうかと考えている時。
ものづくりをする時に、材料の中に眠っている形を探り当てる時。

 

自分の中にある感覚を描いたり、形にする時。
大好きな人と親しくなる時に。

 

 

 

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暮らしを楽しむものとこと
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