オランダ展 WHAT IS LIFE?


 
 
オランダという国と「WHAT IS LIFE?」をキーワードに、
オランダのアンティークと現代プロダクトと共に
5名の作家の作品が一同に展示されています。


ジャンルも雰囲気も全く違う5人の作品が、
なぜか違和感無く、
むしろ、その境目が曖昧になるほどに(え?これってオランダアンティーク?それとも作家さんの作品?)
不思議としっくり馴染み、まさに全体となって一つのテーマを表現している作品展です。


その全体から受けるイメージは
薄い膜がかかったように全ての輪郭が不明瞭な、
古くて懐かしい夢の中の世界。


作品そのものは勿論、それを飾ってある空間も含め
全てが架空のモノ達のように見える、ファンタジックな雰囲気。

LANTANA 杉本麻友さんの作品。
 

 
を触れるのもためらわれるほど繊細なネックレスとピンキーリング。
華奢なフォルムながらダイヤもしっかり入っていて、女性なら垂涎必至。
 

 
夢の中の光景をそのまま形にしたような
メリーゴーラウンドモチーフのネックレス。


沖縄に移住する以前はアクセサリーを作る会社で企画・デザインを担当していた杉本さん。
当時は会社の要求に沿ってデザインしていたので、
自分のアイディアや好みは封印していたそう。
独立した今は、これまで封印していた「個」を存分に発信できる上、
元から「創る」作業が好きだったので、とても楽しいという。
 

 
杉本さんの制作過程で一風変わっているのが
CAD(コンピュータ設計・製図ツール)という、設計士などが使用するツールを用いているところ。
それによってより繊細なジュエリーを制作することができるんだとか。
確かに、杉本さんのブランド「LANTANA」のジュエリーは
顔を近づけてじっと目を凝らしたくなるほど細やかなデザインのものが少なくない。


「便利ではあるんですけれど、職人さん達はその技巧を長年かけて磨き上げるのに、
私はCADで一足飛びに自分の目的を達成している気がして・・・
そういうのってちょっと違うのかなって悩むこともあります。」


本人には葛藤もあるよう。
全てに対して真摯な人なんだなぁ、と思う。
 

 
LANTANAのジュエリーを見ていると、
小さな女の子だった頃の自分に戻ったような気持ちになる。
それは、幼い頃に抱いた夢や、こうだったら良いなという理想が
ジュエリーという形をとって具現化しているからかもしれない。
そんな憧憬にも似た感情を呼び起こす作品が、
CADという、いかにも現代的なツールを介して誕生しているというミスマッチが、
なんだかとても不思議で面白い。


「ジュエリー制作はすごく楽しいんです。
でも、『これが天職!』って思っているわけではなくて・・・
他にもやりたいこと、あります。色々。」


杉本さんの視線はただ先を、ではなく、様々な方向の未来を向いているよう。
作品にもその人柄が見てとれる、純粋で少女性も併せ持つ杉本さんが
今後どんなフィールドで私達の、つまり、私達大人の女性がまだ少女だった頃の夢を具現化してくれるのか、
すごく楽しみです。
 

 
先日、個展を取材させていただいた梅原龍さん。
(前回の記事はこちら→梅原龍 作品展 ”三つの太陽”)
今回は立体作品のみを展示なさっています。


2Dである「絵」は、その世界の中で一度完結している印象を受ける。
完結した上で、見る側に判断を委ねるような、
一定の絶妙な距離をとって、語りかけて来る気がする。
 

 
かし3Dである立体は違う。
それを創ったのは紛れも無く梅原さんなのだけれど、
それに自分が手を触れ、更には手を加えることもできるのだという
限りなく実現可能に近い「可能性」を感じるからか、
自分と作品との距離は「0」で、ともすると、
これは本当に不思議なのだけれど、
自分もその創作に関わったような錯覚に陥る。
 

 
例えば、
この蝶は、むかし、どこかで見たような気がする。
それはまだきっと自分がすごく小さかった頃のこと。
いつかの夏だったか、いや、秋だったか。
あの時に見た蝶が、何かの加減で現実の世界に紛れ込んで来たんだ、
そして、こうして作品の中に収まり、自分の目の前にまた、現れてくれたんだ。
そんな気持ちになる。そして、
「いつか」の記憶に思いを馳せ、蝶以外の記憶を探ろうとしている自分に気づく。
普段は殆ど表に出てくることのない、深い所に眠った記憶を
梅原さんの作品がゆさゆさと揺すり、目覚めさせようとしているのかもしれない。
 

 

 
ci.cafu 喜舎場智子さんの金細工。
ネイティブアメリカンジュエリーの分野でも活躍なさっていた喜舎場さん、
金細工なのに、作品からは「土」や「自然」を感じる。
素朴でシンプルなのに、大人っぽいラグジュアリーな魅力が備わっている。
 

 
若い人が背伸びしてつけるのも可愛いけれど、
これはやっぱり、凛とした成熟した女性がつけるとカッコ良い。
 

 
金城ひとみさんによる、タイルに描かれた絵。
ROOmに髪を切りに来ていたお客さんとして、オーナーと知り合ったという。
無類の愛猫家だそうで、
タイルにも鳥を追う無邪気な猫の姿が。
 

 
窓枠のような針金が張り付けられ、
自宅の窓から外でじゃれている猫を眺めているような、和やかな気持ちに。 

作品には値段がつけられ、購入可能。
オランダフリークのオーナーが買い付けて来るアンティークや現代プロダクトも必見。
そのお話は次回に続きます・・・
 
 
オランダ展 WHAT IS LIFE?
10月25日(月)〜27日(水)
時間:11:00~20:00
場所:ROOm hair & organicworks
   那覇市牧志2-13-12 TKハイム1F 
問い合わせ:098-866-8860