じっくり煮込まれたキャベツが固まりで入っている「ごろっとキャベツのトマト煮」。
野菜とひき肉から出た旨味とトマトの優しい酸味でじっくり煮込まれたキャベツは、芯までしっかり味がしみこみ、とろけるような美味しさ。
ふにゃふにゃかと思いきや、少し残った歯応えも嬉しい。
がつんとパワフルな一品にもなりそうなメニューだが、キャベツ本来の甘さが引き立った、じんわり染みる優しい味。
そうそう、小さい頃にお母さんがよく作ってくれたロールキャベツのような、家庭の匂いのする一品。
一口飲むと、最後の一滴までノンストップで飲み干したくなるにんじんのポタージュ。
心がほっとするような甘みの正体は、にんじんとじっくり炒めたたまねぎ。
豆乳を使用しているからかクセもなく、胃にスーッと落ちて行く。
見た目ふっくら、噛むともっちり、そして甘い!・・・玄米ってこんなに美味しかったの?
「玄米そのものにもこだわってるんですが、遠赤外線の出る圧力鍋で炊いてるので、玄米がプチッとはじけてもちもち感がでるんですよ」
前菜も三品ついて嬉しい。
サワークリームオニオン風味のポテトサラダ、茄子の冷製、そして、
大豆を砕き、タピオカの粉をつけて揚げたという風変わりな一品、大豆のもちもち唐揚げ。
もちもち感と大豆の歯応えが楽しい。
「不思議そうなお顔で召し上がる方が多いんです。」
今まで食べたこと無い味なのにこんなに美味しいんだもの、そりゃ不思議な顔にもなります。
今年1月にオープンしたばかりの実身美(さんみ)の本店は大阪にある。
「祖母が本部、父が今帰仁出身なので、いつか沖縄にお店を出したいとずっと思っていました」
と、オーナーの大塚三紀子さんは嬉しそうに語る。
三つの「み」で実身美(さんみ)という一風変わったネーミングは、お店のコンセプトに由来する。
「『実』は最も大事にしているコンセプト、『実のあるご飯を作りたい』という想いから。例えば、1300円の食べ放題でパン、ケーキ、パスタに前菜ちょっとだと、お手頃かもしれないけれど炭水化物ばかりになってしまいます。支払った金額相応の栄養は摂りたいですよね。でも、外食自体、健康にあまり良くないイメージが定着しているので、私たちは『毎日食べて健康になれる外食』を目指しています。家で食べるよりもさらに健康的な食事をお客様にお出しできないというのは、プロなのにおかしい。『お母さん達には負けられない!』という気持ちでやっています。それが二つ目のコンセプト『身』に繋がります。『身体に良いものを作りたい』。だからといって健康志向にだけとらわれるのではなく、センスが良い、料理が美しい、美容にも良い、そういうおしゃれ感も大切だと思うので、それが三つ目のコンセプト『美』です。」
かぼちゃの半生チーズケーキ。さとうきびからとれるモラセスシュガーを使用
口に入れた瞬間にとろける繊細な口当たり、
ぶわっと香るチーズとかぼちゃの濃厚な風味、
今まで食べたことの無い食感はまさに、「半生」チーズケーキ。
ぎゅっと目をつぶって
「お・美味しい〜〜〜!」
食べた人を満面の笑みにしてくれる幸せスイーツだ。
880円のランチセット「実身美の健康ごはん」に270円プラスするとデザートと紅茶が付くのだが
この美味しさを一度知ってしまったら、デザートを食べずしてお店を出ることはできなくなる。
オーナーの大塚三紀子さん(左)と、オープンに際し家族で大阪から沖縄移住した田中さん
ランチセットのメニューは、大阪では日替わりだが沖縄店は週替わり。
「沖縄店はメニューにとことんこだわりたかったんです。週替わりにすることで考える時間も増えますから、一つの作品を作るような気持ちで考案しています。」
財布に優しい値段設定は、「週に一度来て頂いてもご負担にならないように」。
これだけ味わい深いランチなら、「来週は何かしら?」と毎週通うのが楽しみになる。
国産の旬の野菜を中心に使用し、ヘルシーな上にとびきり美味しい料理を、信念を持って提供し続けている実身美。
「お客様の笑顔を見たり、『ありがとう』『美味しかったよ』の言葉を頂くことが何よりも一番嬉しい」と、顔をほころばせながら語る大塚さん、
「今度は是非お子さんも連れていらしてくださいね」と温かな人柄が伝わって来る田中さん。
料理の出来ってもちろん、素材や作り手の技術にも左右されるのだろうけど、きっとそれだけじゃない。
決め手は、作り手の心の温かさと食べる人のことを想う気持ちなんだ、絶対に。
実身美のごはんを食べると、そう強く実感する。
おうちでも(もちろん!)ヘルシーな料理作りを目指します。が、
心と身体に良質な栄養をチャージするために通います、きっと来週も。
写真・文 中井 雅代
実身美(さんみ)okinawa
沖縄県那覇市牧志2-17-44
098-868-8726
open:11:30~21:30(LO)
close:日
駐車場有り
HP:http://www.sangmi.jp
blog:http://sangmi.ti-da.net