数日、曇り空が続いた。
かといって、雨が降る様子はない。少々冷たい風が吹く程度だ。
こんな時はテーブルと椅子を外に出して読書や、メールのチェックをして過ごすことにしている。
日差しの強かった季節には出来なかった外での生活を楽しむのだ。
もちろん、好きな器を引っ張りだして半日を屋外で過ごすのも悪くない。
近所に迷惑をかけない程度に音楽も聞きたい。
この時期に決まって聴きたくなる2枚のCDがある。
一枚は『ニーナ・シモン リトル・ガール・ブルー』。もう一枚は『ナラ・レオン 美しきボサノヴァのミューズ』だ。
二人の女性ボーカルの歌声が、秋から冬の乾いたや空気やカサカサと音を立てて舞う落ち葉に何ともぴったりなのだ。
ハスキーで哀愁漂う歌声が曇り空に響くのは決して悪くない。
ニーナ・シモンは、クラシック音楽を目指しながらも生計のためにバーで働き始めたことがきっかけで、ジャズの道に進むことになったシンガーらし い。
そのためか、音楽性はクラシックをベースに、ソウルやブルースなど様々なテイストがミックスされていてパンチがあって聴きごたえがある。
どこか土っぽい雰囲気も良い。
綺麗にまとまっているというより、粗々しさが残っていて味わいがあると思う。
ナラ・レオンのボサノヴァはカフェで流れているような、ほのぼのとした音楽を想像すると痛い目に合う。
キュートなジャケットとは裏腹に結構ダークでしんみりとした音楽だ。
家の中で聞くよりも少し位肌寒い屋外で聴くのがちょうどよかったりする。
カフェオレよりも濃いエスプレッソが合うと言うと伝わるだろうか。
どちらも、女性が社会で生きにくかった1960年代、人種差別や独裁政権に反対して社会と戦った女性達でもあるのだ。
力強さと寂しさのある歌声はまさにその生き方を映しているのかもしれない。
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いつの時代も女性の活躍には目を見張るものがあるけれど、最近はますます加速しているような気がしてならない。
沖縄の工芸の世界でも若いながら、魅力的な物つくりをしている女性達が多い。
miyagiyaで取り扱う女性作家も、繊細さと大胆さを合わせもつ方たちばかりだ。
絵付けが中心の沖縄の陶器で、無地の焼き物を作る芝原雪子さんはちょっと異色の存在だ。
一見、やちむんには見えないけれど、その作りや技法は沖縄のまさに伝統的な製法なのだ。
粒子の荒い赤土を使い、素朴ながら存在感のある作りが特徴的。
今では少なくなった象嵌(ぞうがん)という手の込んだ技法を使う作家でもある。
赤土の素地に白化粧土の白いラインが細かく施されている。
日々、沖縄の焼き物に挑戦している。
久しぶりに美しく魅力的な唐草を見た思いだった。
大胆でありながら淡く優しい色調は、見慣れたはずの伝統柄を気持ちよく裏切ってくれた。
当山友紀さんは、読谷北窯の後、金城次郎の作った次郎窯で修行を重ねて2013年に独立した若手女性陶芸家だ。
安定感のある力強い器作りが特徴で、その器作りは男性的でさえある。
反面、描かれる絵柄はとても女性らしい。
当山さんの器を見ていると、伝統工芸の世界も少しづつ変わっていくのだなと実感する。
珈琲豆やココナッツ、サーカス柄にビル柄、牛柄、、、
絵付けのネーミングを聞くだけで、ウキウキとする。
沖縄のやちむんに新風を吹き込む工房十鶴は、今や全国から注目の工房だ。
その特徴ある絵付けを支えているのが柄溝康助さんの奥様でもある聖子さん。
朗らかでニコニコとしながらも、器の話になると時折厳しい目つきになる。
甘すぎず、大胆さとユーモアのバランスは、まさに聖子さん自身の人柄のようだ。
そしてそれは器も同様で、使う度に楽しく幸せな気分になるのだ。
ガラス作りの若手で注目されている一人が小野田郁子さんだ。
琉球ガラスは本来リサイクルガラスで作られる。通常のガラス製品とは作り方も異なり、その工程も多く、手間がかかる。
反面、昔ながらの作りはぬくもりがあり、ひとつひとつ作られるゆえに、個性があって一つとして同じものが出来ない。
小野田さんは窯に火を入れると、休むことなく一定期間作り続けるという。
ガラスを溶かして、成形して仕上げるまで全てお一人だ。
そんな製作の話を聞くたびに、こちらの気持ちもシャンとしてくる。
伝統工芸でもある陶器やガラスの世界は、力と根気のいる職人仕事です。
燃え立つ窯の火を前に、女性も男性も同じように物作りをしています。
それでも女性達の作る器は、優しさに溢れ、普段使いしやすいものが多い。
毎日の生活の中で、家族の生活を支える女性達だからこそ、男性には気付かないような心遣いが器に表れているような気がするのです。
そんな女性にスポットを当てた企画展が11月27日よりmiyagiya-bluespotで開かれます。
この機会に力強さと優しさに溢れる彼女達の作品に触れてみてください。
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four leaves -4人の女性作り手による作品展-
小野田郁子 工房彩砂(ガラス)
柄溝聖子 工房十鶴(陶器)
芝原雪子 工房コキュ(陶器)
当山友紀 工房虫の音(陶器)
協力 Delphi(花)
2014年11月27日(木) – 12月9日(火)
11:00-20:00 (12月3日のみ12:00-17:00)
text 宮城博史
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