旅の記憶

 

通りのほとんどの店が閉まっているなか、その小さな酒屋はまだ灯りに満ちていた。
入ってみると酒屋というよりも町の商店という趣きで、パンやチーズ、缶詰、懐かしい感じの歯磨き粉、洗剤といろいろな物を売っている。
赤ワインと、翌朝飲むジュースを買った。
ベッドサイドに、部屋に備え付けのグラスを用意して本を取り出す。
読むつもりで持ち歩いているにも関わらずまだ一度も開いていない本を、今日こそはと決めていた。
ワインを一口飲む。安いワインを勧められるがままに買ったのだけれど、ことのほか美味しい。
酒屋の無愛想なおじちゃんの顔が思い浮かぶ。

 

遠くのほうでカランカランと鐘が鳴っている。
鐘が鳴り止むと同時に静寂が訪れた。

 

 

 

miyagiya

 

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旅の思い出は曖昧だ。

 

以前、ヨーロッパのどこかを旅した時のことだと思うけれど、いまひとつよく思い出せない。
さほど楽しい旅ではなかったのかもしれない。
それでも赤ワインの美味しかったことと、酒屋の灯りが残像のように残っている。
陽が少しずつ短くなって、その逆に夜の時間が長くなる頃になると赤ワインがほしくなるのは、この旅の印象があってのことだと思う。
ところどころ美化されているのだろうけれど、それでも時折古いアルバムを開くように旅の記憶を遡る。

 

 

 

*
奥原硝子製造所でカシス色のグラスを見た時、ふとその旅の風景が頭をよぎりました。
カシス色のグラスなら赤ワインやアルコール類を飲む時、雰囲気が出てとても良いかもしれないなと。

 

 

 

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店頭に商品が届くと必ずすることがある。どうやって使おうか、ひとつひとつの器を眺めたり触れたりしながら思い描くのだ。
時には実際に盛り付けてみたり、自分用にひとつ購入して使ってみる。

 

今回選んだカシスシリーズの中に片くちの器があるのだけれど、なんだか今一つイメージが湧かない。
どうしよう?サラダボウルとして使えるだろうか?
とりあえず、庭先のミントの葉を摘んで入れてみる。うんうん、いい感じだ。

 

 

 

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写真はミントだけなので料理にはなってないけれど、例えばフレッシュハーブのサラダの盛り付けにはぴったりの器ではないだろうか。
フルーツヨーグルトや冷製のポタージュスープも美味しそうだよね。
ワインやアルコール用にと考えていたグラスだけれど、もちろんノンアルコールにもよいと思う。
炭酸水にミントを浮かべただけでも、とても美味しそうです。
いえ、実際美味しかった。不思議と味がまろやかに感じるのです。

 

カシス色は派手な赤や黄色とは違ってシックな色合いだから白い洋食器にもよく合うし、やちむんや和食器との相性も良い。
店頭に届いたグラスを手に取り気付いたいのは、カシス色のガラスって寒い季節にぴったりの色ってこと。
大人っぽい雰囲気であたたかみの感じるガラスだと思う。

 

 

 

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これからの季節はプレゼントにも喜んでもらえるのでは。
コースターやCDを添えれば、くつろぎセットとなります。

 

 

 

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奥原硝子製造所の作るガラス製品は、昔ながらのリサイクルガラス製法と、職人による手吹きの製造に一貫してこだわっている。
ポッテリとした厚み、微妙に異なる大きさ、製造工程で自然に入る気泡や傷がグラスひとつひとつの個性になる。
これらの手仕事の物は、使うほどに愛着が湧いてくるもの。

 

 

 

*
キャンドルも、旅で印象に残ったもののひとつ。
海外に行くと、日常生活の中でキャンドルを使うシーンをよく目にします。
知人の家でもあちこちにキャンドルが置かれていて素敵でした。
全部のキャンドルが点いているというのではなく、必要に応じてその都度点けたり消したり。
それはいたって自然な行為で、生活空間がとても豊かに感じられるのです。

 

夕食の時、リビングでくつろぐ時、読書の時、お風呂の時、、、、
キャンドルはおもてなしの時にも良い小道具になるけれど、普段使いとして使いたい。
自分の中でオンからオフへ切り替わるスイッチのような感じ。

 

 

 

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西牧隆行さんが作るキャンドルは、大豆とパーム原料からなる植物素材で作られ、オリジナルに調合した香りが含まれています。
植物性ワックスは、一般的なキャンドルに使用されるワックス(パラフィンワックス)に比べると、格段に煙や煤の発生の少なく、香りがクリア。
さらに、大豆ワックスはゆっくり燃えて、炎が明るい性質があるから、キャンドルの魅力を長く楽しむことができます。
さらに、特筆すべきはそのボトルデザインの良さ。
ジャム瓶のようなシンプルな蓋付きの容器は、キャンドルホルダーを兼ねていて、ゆっくりと瓶の中で火が灯る。
また、消した後蓋をすれば香りも必要以上に飛ばないし、収納にもうってつけというわけ。
取り扱いしやすいので、何種類かの香りをその日の気分に合わせて使うのもよいと思う。

 

shinano…信州をイメージ。林檎ベースに花とグリーンの香りを加えた甘酸っぱい香り。
kodama…(株)ひのき精香製の木曽ヒノキ精油を配合した、森のイメージの穏やかな香り。
magnolia…フローラルの王道を行くような、甘さや軽さの少ない芳醇な花の香り。
honeysuckle…蜜のような甘さを感じるやさしい花の香り。
rose&lavender…ローズの華やかさとラベンダーの爽やかさをバランスよくブレンドした香り。
neroli…ビターオレンジ(ダイダイ)の花の香り。甘さと柑橘とフローラルの個性的な香り。
chamomile…カミツレの花。爽やかさの中に土や緑の香りも感じられる花の香り。
(handmade candle lifart…のHPより抜粋)

 

個人的にお勧めの香りは森の香りのようなkodama、西牧さんのお勧めはchamomile。
気品のあるmagnoliaも捨てがたいです。

 

 

 

miyagiya

 

 

 

キャンドルにマグカップや木の器、おすすめの写真集を一緒に、名付けて「寒い時期を楽しむセット」を、いつも頑張っている方への贈り物にどうだろうか。

 

 

 

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暮らすように旅をしたい。
旅するように毎日を過ごしたい。

 

その思いはmiyagiya-bluespotの店作りにも繋がっているのかもしれない。

 

 

 

 

 

text&photo 宮城博史

 

 

miyagiya-bluespot
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